【第二種衛生管理者過去問】2024年10月公表問題|問25|体温調節とホメオスタシス|甲状腺ホルモンと熱放散の仕組み|労働生理を解説

出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)10月公表問題|労働生理第25問

問題

体温調節に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。

(2) 暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢(こう)進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

(3) 体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。

(4) 体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散のバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。

(5) 甲状腺ホルモンの分泌により、代謝が亢進し、体温は上昇する。

第二種衛生管理者|第二種衛生管理者過去問|体温調節とホメオスタシス|甲状腺ホルモンと熱放散の仕組みを解説を解説

体温調節では、暑いときは熱を逃がし、寒いときは熱を逃がさず産生を高めるという身体の反応を理解することが重要です。正しい選択肢は(5)です。甲状腺ホルモンは全身の代謝を高める作用があり、代謝が亢進すると熱の産生が増えるため、体温は上昇しやすくなります。

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(1) 寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。

不適切です。寒冷な環境では、身体は熱を外へ逃がさないように働きます。そのため、皮膚の血管は拡張するのではなく収縮します。皮膚血管が収縮すると、皮膚を流れる血液量が減り、体表面から外気へ奪われる熱が少なくなります。寒いときに手足が冷たく感じるのは、皮膚や末梢への血流を減らして、体の中心部の温度を保とうとするためです。

(2) 暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動が亢(こう)進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

不適切です。暑熱な環境では、身体は熱を外へ逃がす必要があります。このとき増加するのは主に皮膚の血流量です。皮膚血管が拡張し、温かい血液が体表面近くを多く流れることで、放射や対流などにより熱を外へ逃がしやすくなります。また、発汗による気化熱も重要な熱放散の仕組みです。内臓の血流量が増えたり、代謝活動が亢進したりすると、むしろ体内で熱が多く作られる方向になるため、暑熱時の体温調節としては適切ではありません。

(3) 体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。

不適切です。外部環境が変化しても、体温、血糖値、血液のpHなど身体内部の状態を一定の範囲に保とうとする仕組みは、同調性ではなく恒常性、またはホメオスタシスといいます。体温調節はホメオスタシスの代表例です。また、体温調節には神経系だけでなく、内分泌系、自律神経、発汗、皮膚血管の収縮や拡張、筋肉のふるえなどが関与します。

(4) 体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散のバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。

不適切です。体温調節中枢は小脳ではなく、間脳の視床下部にあります。視床下部は体温の変化を感知し、暑いときには皮膚血管の拡張や発汗を促し、寒いときには皮膚血管の収縮やふるえによる熱産生を促します。小脳は主に運動の調整や姿勢の保持に関係する部位であり、体温調節中枢として覚えるべき場所ではありません。

(5) 甲状腺ホルモンの分泌により、代謝が亢進し、体温は上昇する。

適切です。甲状腺ホルモンには、全身の細胞の代謝を高める作用があります。代謝が亢進すると、栄養素をエネルギーに変える働きが活発になり、その過程で熱の産生も増えます。そのため、甲状腺ホルモンの分泌が増えると体温は上昇しやすくなります。試験では、甲状腺ホルモンは代謝亢進、熱産生増加、体温上昇に関係すると整理しておくと判断しやすいです。

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この問題で覚えるポイント

体温調節は、身体内部の状態を一定に保つホメオスタシスの代表例です。暑いときは、皮膚血管の拡張と発汗によって熱を外へ逃がします。寒いときは、皮膚血管の収縮によって熱の放散を抑え、筋肉のふるえや代謝の亢進によって熱の産生を増やします。体温調節中枢は小脳ではなく、間脳の視床下部にあります。甲状腺ホルモンは代謝を亢進させ、熱産生を増やし、体温を上昇させる方向に働きます。暑熱環境では内臓血流や代謝を高めるのではなく、皮膚血流を増やして熱を放散する点が重要です。

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ひっかけポイント

この問題では、暑いときと寒いときの血管反応を逆に覚えていると誤答しやすくなります。寒いときに皮膚温を上げるため血管が拡張する、と日常感覚で考えてしまうと間違いです。実際には、体の中心部の温度を守るために皮膚血管は収縮します。また、体温調節中枢を小脳とする誤りも頻出です。小脳は運動調整、視床下部は体温調節と整理しておくと混同を防げます。さらに、ホメオスタシスを同調性とするような用語の置き換えにも注意が必要です。正文の一部に「体温を一定に保つ」など正しい表現が含まれていても、中心となる用語や部位が誤っていれば不適切と判断します。

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