出典:第二種衛生管理者2024年(令和6年度)10月公表問題|労働生理第26問
問題
耳とその機能に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 耳は、聴覚と平衡感覚をつかさどる器官で、外耳、中耳及び内耳の三つの部位に分けられる。
(2) 耳介で集められた音は、鼓膜を振動させ、その振動は耳小骨によって増幅され、内耳に伝えられる。
(3) 内耳は、前庭、半規管及び蝸(か)牛(うずまき管)の三つの部位からなり、前庭と半規管が平衡感覚、蝸牛が聴覚をそれぞれ分担している。
(4) 内耳に伝わった音の振動は、蝸牛の中のリンパ液を介して有毛細胞に伝わり、この時、音の振幅の大きさによって異なる部位の有毛細胞が振動することによって音の高さの違いが伝えられる。
(5) 鼓室は、耳管によって咽頭に通じており、その内圧は外気圧と等しく保たれている。
第二種衛生管理者|耳の構造と聴覚・平衡感覚の仕組み|蝸牛・半規管・有毛細胞を解説
耳は、音を聞く聴覚だけでなく、姿勢や身体の傾きを感じ取る平衡感覚にも関わる器官です。正解は(4)です。音の高さの違いは、音の振幅の大きさではなく、音の振動数、つまり周波数の違いによって識別されます。振幅は主に音の大きさに関係します。耳の問題では、外耳、中耳、内耳の役割と、蝸牛、前庭、半規管の機能を正確に区別することが大切です。

(1) 耳は、聴覚と平衡感覚をつかさどる器官で、外耳、中耳及び内耳の三つの部位に分けられる。
適切です。耳は、外耳、中耳、内耳に分けられます。外耳は耳介や外耳道からなり、音を集めて鼓膜へ導く部分です。中耳は鼓膜や耳小骨、鼓室などからなり、音の振動を内耳へ伝える役割をもちます。内耳には蝸牛、前庭、半規管があり、蝸牛は聴覚、前庭と半規管は平衡感覚に関係します。耳は単に音を聞く器官ではなく、身体のバランスを保つためにも重要な器官です。
(2) 耳介で集められた音は、鼓膜を振動させ、その振動は耳小骨によって増幅され、内耳に伝えられる。
適切です。耳介で集められた音は外耳道を通って鼓膜に達し、鼓膜を振動させます。この振動は中耳にある耳小骨に伝わります。耳小骨は、つち骨、きぬた骨、あぶみ骨からなり、鼓膜の振動を効率よく増幅して内耳へ伝えます。空気中の音の振動を、内耳の液体の振動へ変換していく過程と考えると理解しやすいです。
(3) 内耳は、前庭、半規管及び蝸(か)牛(うずまき管)の三つの部位からなり、前庭と半規管が平衡感覚、蝸牛が聴覚をそれぞれ分担している。
適切です。内耳は、聴覚に関係する蝸牛と、平衡感覚に関係する前庭、半規管から構成されます。蝸牛はうずまき状の構造をしており、音の振動を神経の信号に変換します。前庭は身体の傾きや重力の方向を感じ取り、半規管は頭の回転運動を感じ取ります。平衡感覚の問題では、前庭と半規管をセットで覚えると整理しやすいです。
(4) 内耳に伝わった音の振動は、蝸牛の中のリンパ液を介して有毛細胞に伝わり、この時、音の振幅の大きさによって異なる部位の有毛細胞が振動することによって音の高さの違いが伝えられる。
不適切です。音の振動が蝸牛内のリンパ液を介して有毛細胞に伝わるという部分は正しいです。しかし、音の高さの違いは、音の振幅の大きさではなく、音の振動数、つまり周波数によって区別されます。一般に、振動数が多い音は高い音として感じられ、振動数が少ない音は低い音として感じられます。振幅は音の大きさ、つまり強さに関係します。この選択肢は、音の高さと音の大きさを入れ替えている点が誤りです。
(5) 鼓室は、耳管によって咽頭に通じており、その内圧は外気圧と等しく保たれている。
適切です。鼓室は中耳にある空間で、耳管によって咽頭とつながっています。耳管は、中耳の圧力を外気圧と調整する役割を持ちます。飛行機の離着陸時や山に登ったときに耳が詰まったように感じるのは、鼓室内の圧力と外気圧に差が生じるためです。あくびをしたり、つばを飲み込んだりすると耳管が開き、圧力差が調整されることがあります。
この問題で覚えるポイント
耳は外耳、中耳、内耳に分けられます。外耳は耳介と外耳道により音を集めて鼓膜へ導きます。中耳では鼓膜の振動が耳小骨によって増幅され、内耳へ伝えられます。内耳では、蝸牛が聴覚を担当し、前庭と半規管が平衡感覚を担当します。蝸牛では、リンパ液の振動が有毛細胞に伝わり、神経信号として脳へ送られます。音の高さは振動数、つまり周波数によって決まり、音の大きさは振幅によって決まります。前庭は身体の傾きや重力方向、半規管は頭の回転運動に関係します。鼓室は耳管によって咽頭とつながり、外気圧との圧力差を調整します。耳の問題では、外耳は音を集める、中耳は振動を増幅する、内耳は聴覚と平衡感覚を感知する、という流れで整理すると正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
耳の問題では、音の高さと音の大きさの混同がよく狙われます。音の高さは振動数の違いであり、振幅の違いではありません。振幅が大きいほど大きな音として感じられ、振動数が多いほど高い音として感じられます。また、蝸牛、前庭、半規管の役割を混同しやすい点にも注意が必要です。蝸牛は聴覚、前庭と半規管は平衡感覚です。文章の前半が正しくても、後半で「振幅」と「音の高さ」を結び付けるような一部だけ誤った記述になっていることがあります。専門用語が多い分、言葉の雰囲気で正しいと判断せず、どの部位が何を担当するのか、何が音の高さを決めるのかを確認することが大切です。
