【第一種衛生管理者過去問】2022年4月公表問題|問36|心臓の構造と血液循環・刺激伝導系・動脈硬化の基礎知識|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)4月公表問題|労働生理第36問

問題

心臓及び血液循環に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 大動脈及び肺動脈を流れる血液は、酸素に富む動脈血である。

(2) 体循環では、血液は左心室から大動脈に入り、静脈血となって右心房に戻ってくる。

(3) 心筋は人間の意思によって動かすことができない不随意筋であるが、随意筋である骨格筋と同じ横紋筋に分類される。

(4) 心臓の中にある洞結節(洞房結節)で発生した刺激が、刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、心臓は規則正しく収縮と拡張を繰り返す。

(5) 動脈硬化とは、コレステロールの蓄積などにより、動脈壁が肥厚・硬化して弾力性を失った状態であり、進行すると血管の狭窄(きょうさく)や閉塞を招き、臓器への酸素や栄養分の供給が妨げられる。

第1種衛生管理者|心臓の構造と血液循環・刺激伝導系・動脈硬化の基礎知識を解説

心臓と血液循環では、「動脈を流れる血液=必ず動脈血」と考えないことが重要です。答えは(1)です。大動脈を流れる血液は酸素に富む動脈血ですが、肺動脈を流れる血液は全身から戻ってきた酸素の少ない静脈血です。動脈・静脈という名称は、血液中の酸素の多さではなく、心臓から出ていく血管か、心臓へ戻る血管かで決まります。

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(1) 大動脈及び肺動脈を流れる血液は、酸素に富む動脈血である。

不適切です。大動脈を流れる血液は、肺で酸素を受け取った後に左心室から全身へ送り出されるため、酸素に富む動脈血です。しかし、肺動脈を流れる血液は、右心室から肺へ向かう血液であり、全身で酸素を消費した後の静脈血です。肺動脈は「動脈」という名前ですが、流れている血液は酸素の少ない静脈血です。ここでいう動脈とは、心臓から出ていく血管という意味です。血液の性質ではなく、血液の流れる方向で血管名が決まる点を押さえると判断しやすくなります。

(2) 体循環では、血液は左心室から大動脈に入り、静脈血となって右心房に戻ってくる。

適切です。体循環は、左心室から送り出された動脈血が大動脈を通って全身の組織へ運ばれ、酸素や栄養分を供給した後、二酸化炭素などを受け取って静脈血となり、上下の大静脈を通って右心房へ戻る流れです。左心室、大動脈、全身、静脈、右心房という順序で理解すると、体循環の基本構造を整理しやすくなります。

(3) 心筋は人間の意思によって動かすことができない不随意筋であるが、随意筋である骨格筋と同じ横紋筋に分類される。

適切です。心筋は、心臓を構成する筋肉で、人間が意識して動かすことはできない不随意筋です。ただし、筋線維に横紋が見られるため、分類上は横紋筋に含まれます。骨格筋も横紋筋ですが、骨格筋は自分の意思で動かせる随意筋です。つまり、心筋は「横紋筋だが不随意筋」という少し特殊な筋肉です。この組合せは試験でよく問われます。

(4) 心臓の中にある洞結節(洞房結節)で発生した刺激が、刺激伝導系を介して心筋に伝わることにより、心臓は規則正しく収縮と拡張を繰り返す。

適切です。心臓は、洞結節で自動的に発生した電気的刺激によって規則正しく拍動します。この刺激は刺激伝導系を通って心房や心室の心筋へ伝わり、心臓全体の収縮と拡張を調整します。洞結節は心臓の拍動のリズムをつくる重要な部位であり、ペースメーカーのような役割を果たします。心臓が本人の意思とは関係なく動き続けるのは、この自動的な刺激発生と伝導の仕組みがあるためです。

(5) 動脈硬化とは、コレステロールの蓄積などにより、動脈壁が肥厚・硬化して弾力性を失った状態であり、進行すると血管の狭窄(きょうさく)や閉塞を招き、臓器への酸素や栄養分の供給が妨げられる。

適切です。動脈硬化は、動脈の壁にコレステロールなどが蓄積し、血管が厚く硬くなって弾力性を失う状態です。進行すると血管の内腔が狭くなり、血液が流れにくくなります。その結果、心臓や脳などの臓器に十分な酸素や栄養分が届かなくなり、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの重大な疾患につながることがあります。動脈硬化は、血管そのものの変化だけでなく、血流障害や臓器障害まで含めて理解することが大切です。

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この問題で覚えるポイント

心臓から出ていく血管を動脈、心臓へ戻る血管を静脈といいます。動脈血とは酸素を多く含む血液、静脈血とは酸素が少なく二酸化炭素を多く含む血液を指します。大動脈には動脈血が流れますが、肺動脈には静脈血が流れます。肺静脈には動脈血が流れるため、血管名と血液の性質を機械的に結びつけないことが重要です。体循環は左心室から大動脈を通って全身へ向かい、右心房へ戻る循環です。肺循環は右心室から肺動脈を通って肺へ向かい、肺静脈を通って左心房へ戻る循環です。心筋は不随意筋ですが横紋筋であり、骨格筋は随意筋で横紋筋です。洞結節は心臓の拍動リズムをつくる部位で、刺激伝導系を通じて心筋に刺激を伝えます。動脈硬化は動脈壁が肥厚・硬化し、血管の弾力性が失われる状態で、進行すると血管の狭窄や閉塞により臓器への酸素供給が妨げられます。

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ひっかけポイント

この問題の最大のひっかけは、「動脈」という名前から「酸素に富む動脈血が流れている」と判断してしまう点です。日常的には動脈血と動脈をセットで覚えがちですが、試験では肺動脈と肺静脈が例外としてよく問われます。血管名は血液の酸素量ではなく、心臓から出るか心臓へ戻るかで決まります。大動脈と肺動脈を同じ「動脈」としてまとめてしまうと誤答しやすくなります。また、心筋についても「横紋筋なら随意筋」と考えると危険です。心筋は横紋筋でありながら不随意筋という特殊な位置づけです。このように、一部だけは正しいが全体としては誤りになる文章が出題されやすいため、用語の名前だけで判断せず、血液の流れ、酸素の多さ、筋肉の分類を分けて確認することが大切です。

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