出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働生理第44問
問題
睡眠に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 入眠の直後にはノンレム睡眠が生じ、これが不十分な時には、日中に眠気を催しやすい。
(2) 副交感神経系は、身体の機能を回復に向けて働く神経系で、休息や睡眠状態で活動が高まり、心拍数を減少し、消化管の運動を亢(こう)進する。
(3) 睡眠と覚醒のリズムは、体内時計により約1日の周期に調節されており、体内時計の周期を外界の24時間周期に適切に同調させることができないために生じる睡眠の障害を、概日リズム睡眠障害という。
(4) 睡眠と食事は深く関係しているため、就寝直前の過食は、肥満のほか不眠を招くことになる。
(5) 脳下垂体から分泌されるセクレチンは、夜間に分泌が上昇するホルモンで、睡眠と覚醒のリズムの調節に関与している。
第1種衛生管理者|睡眠の仕組み・概日リズム・自律神経と睡眠ホルモンを解説
睡眠の基本的な仕組み、ノンレム睡眠、自律神経、概日リズム、睡眠に関係するホルモンを確認する問題です。答えは(5)です。睡眠と覚醒のリズムに関与し、夜間に分泌が高まる代表的なホルモンはメラトニンであり、脳下垂体から分泌されるセクレチンではありません。セクレチンは主に消化に関係するホルモンであるため、この記述は不適切です。

(1) 入眠の直後にはノンレム睡眠が生じ、これが不十分な時には、日中に眠気を催しやすい。
適切です。入眠直後には、まずノンレム睡眠が現れます。ノンレム睡眠は、脳や身体を休ませる働きが大きい睡眠で、特に深いノンレム睡眠は疲労回復に重要です。この睡眠が十分に得られないと、睡眠時間を確保していても眠りの質が低くなり、日中の眠気や集中力の低下につながりやすくなります。
(2) 副交感神経系は、身体の機能を回復に向けて働く神経系で、休息や睡眠状態で活動が高まり、心拍数を減少し、消化管の運動を亢(こう)進する。
適切です。副交感神経系は、身体を休息や回復に向かわせる自律神経です。睡眠中や安静時には副交感神経の働きが優位になり、心拍数は低下し、呼吸も落ち着きます。また、消化管の運動や消化液の分泌は促進されるため、休息時に消化活動が進みやすくなります。交感神経が活動時や緊張時に働くのに対し、副交感神経は休息時に働くと整理すると理解しやすいです。
(3) 睡眠と覚醒のリズムは、体内時計により約1日の周期に調節されており、体内時計の周期を外界の24時間周期に適切に同調させることができないために生じる睡眠の障害を、概日リズム睡眠障害という。
適切です。人の睡眠と覚醒は、体内時計によって約1日の周期で調節されています。この約1日のリズムを概日リズムといいます。体内時計は光、食事、活動などの外部刺激によって24時間周期に同調しますが、この調整がうまくいかないと、眠るべき時間に眠れない、起きるべき時間に起きられないといった障害が生じます。これが概日リズム睡眠障害です。
(4) 睡眠と食事は深く関係しているため、就寝直前の過食は、肥満のほか不眠を招くことになる。
適切です。就寝直前に多量の食事をとると、睡眠中にも消化活動が続き、身体が十分に休息状態に入りにくくなります。また、胃もたれや不快感が睡眠を妨げることもあります。さらに、夜遅い過食はエネルギー消費が少ない時間帯の摂取となるため、肥満にもつながりやすくなります。睡眠と食事は別々のものではなく、生活リズム全体として関係している点を押さえることが大切です。
(5) 脳下垂体から分泌されるセクレチンは、夜間に分泌が上昇するホルモンで、睡眠と覚醒のリズムの調節に関与している。
不適切です。睡眠と覚醒のリズムに関与し、夜間に分泌が高まる代表的なホルモンはメラトニンです。メラトニンは主に松果体から分泌され、暗くなると分泌が増え、眠気を促し、体内時計の調節に関係します。セクレチンは主に十二指腸から分泌される消化管ホルモンで、膵液の分泌促進など消化に関係します。脳下垂体、セクレチン、睡眠リズムという組合せが誤りです。
この問題で覚えるポイント
睡眠では、入眠直後にノンレム睡眠が現れ、ノンレム睡眠は脳や身体の休息に重要です。睡眠中や休息時には副交感神経が優位になり、心拍数を低下させ、消化管運動を促進します。睡眠と覚醒の周期は体内時計によって調節され、この約1日のリズムを概日リズムといいます。体内時計が外界の24時間周期にうまく合わないことで起こる睡眠障害が概日リズム睡眠障害です。睡眠に関係する代表的なホルモンは、松果体から分泌されるメラトニンです。暗くなると分泌が高まり、睡眠と覚醒のリズム調節に関与します。セクレチンは消化管ホルモンであり、睡眠ホルモンではありません。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、睡眠に関係しそうな難しいホルモン名を混ぜて、正しい知識と取り違えさせる点です。セクレチンという名称は専門的に見えるため、ホルモンであることだけに注目すると正しそうに感じます。しかし、セクレチンは消化に関係するホルモンであり、睡眠と覚醒のリズムに関わる代表的なホルモンはメラトニンです。また、分泌部位も重要で、メラトニンは松果体、セクレチンは主に十二指腸と整理しておくと誤答を避けやすくなります。ホルモンの問題では、名称だけで判断せず、分泌部位、作用、関係する身体機能をセットで確認することが大切です。
