【第一種衛生管理者過去問】2023年4月公表問題|問43|筋肉の種類・筋収縮・筋力発生の仕組み|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|労働生理第43問

問題

筋肉に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができるが、平滑筋は、心筋などの内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。

(2) 筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。

(3) 荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。

(4) 強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。

(5) 筋肉自体が収縮して出す最大筋力は、筋肉の断面積1cm2当たりの平均値をとると、性差、年齢差がほとんどない。

第1種衛生管理者|筋肉の種類・筋収縮・筋力発生の仕組みを解説

筋肉の種類、収縮の仕組み、筋力の発生に関する基本知識を確認する問題です。答えは(5)です。最大筋力は筋肉の太さ、つまり断面積に大きく関係しますが、筋肉の断面積1cm2当たりで比較すると、性差や年齢差はほとんどないとされています。横紋筋、平滑筋、心筋の違い、等尺性収縮と等張性収縮の違い、筋肥大の仕組みを整理しておくことが大切です。

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(1) 横紋筋は、骨に付着して身体の運動の原動力となる筋肉で意志によって動かすことができるが、平滑筋は、心筋などの内臓に存在する筋肉で意志によって動かすことができない。

不適切です。横紋筋には、骨格筋と心筋があります。骨に付着して身体を動かす骨格筋は横紋筋で、意志によって動かすことができます。しかし、心筋も横紋筋に分類されます。心筋は心臓を構成する筋肉で、意志によって自由に動かすことはできません。平滑筋は、血管、胃、腸、気管支、子宮などの内臓や血管壁に存在する筋肉です。選択肢では「平滑筋は、心筋などの内臓に存在する」としており、心筋を平滑筋に含めている点が誤りです。

(2) 筋肉は神経からの刺激によって収縮するが、神経より疲労しにくい。

不適切です。筋肉は神経から送られる刺激によって収縮しますが、一般に神経よりも疲労しやすい組織です。筋肉が働き続けると、エネルギー源の消費や代謝産物の蓄積などにより、収縮する力が低下します。神経は刺激を伝える役割を持ち、筋肉ほど疲労しやすくありません。試験では「筋肉は神経より疲労しやすい」と覚えておくと判断しやすいです。

(3) 荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行うときは、筋肉が長さを変えずに外力に抵抗して筋力を発生させる等尺性収縮が生じている。

不適切です。荷物を持ち上げたり、屈伸運動を行ったりするときは、関節が動き、筋肉の長さも変化します。このような収縮は、主に等張性収縮に該当します。等尺性収縮とは、筋肉の長さをほとんど変えずに力を発生させる収縮です。たとえば、壁を押す、荷物を同じ高さで静止して支える、姿勢を保つといった場面が代表例です。「動作を伴うか」「筋肉の長さが変わるか」を意識すると区別しやすくなります。

(4) 強い力を必要とする運動を続けていると、筋肉を構成する個々の筋線維の太さは変わらないが、その数が増えることによって筋肉が太くなり筋力が増強する。

不適切です。筋力トレーニングなどを続けると、主に個々の筋線維が太くなることで筋肉が太くなり、筋力が増強します。これを筋肥大といいます。通常、成人では筋線維の数が大きく増えるのではなく、既存の筋線維一本一本が太くなることが中心です。選択肢は「筋線維の太さは変わらないが、数が増える」としているため誤りです。

(5) 筋肉自体が収縮して出す最大筋力は、筋肉の断面積1cm2当たりの平均値をとると、性差、年齢差がほとんどない。

適切です。筋肉が発揮できる最大筋力は、筋肉の断面積と強く関係します。一般に、筋肉が太いほど大きな力を出すことができます。ただし、筋肉の断面積1cm2当たりで比較すると、筋肉そのものが発揮する力には性差や年齢差がほとんどないとされています。男女差や年齢差として見える筋力差は、主に筋肉量や筋断面積の違いによるものです。この選択肢が正しい記述です。

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この問題で覚えるポイント

筋肉は、骨格筋、平滑筋、心筋に大きく分けられます。骨格筋は横紋筋で、骨に付着して身体運動を担い、意志によって動かすことができます。平滑筋は血管や消化管などの内臓にあり、意志によって動かすことはできません。心筋は心臓を構成する筋肉で、横紋筋ですが不随意筋です。横紋筋イコール随意筋と単純に覚えると、心筋で誤りやすくなります。筋肉は神経からの刺激で収縮しますが、神経より疲労しやすい組織です。筋収縮には、筋肉の長さが変わらず力を出す等尺性収縮と、筋肉の長さが変化しながら力を出す等張性収縮があります。姿勢保持や静止状態で力を出す場合は等尺性収縮、荷物を持ち上げる、屈伸運動をするなど動きを伴う場合は等張性収縮と整理します。筋力トレーニングによる筋肥大は、筋線維の数が増えることではなく、主に筋線維一本一本が太くなることによって起こります。最大筋力は筋断面積に比例し、筋肉の断面積1cm2当たりで比較すると、性差や年齢差はほとんどないとされます。

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ひっかけポイント

このテーマでは、横紋筋、平滑筋、心筋の分類を混同させる表現に注意が必要です。特に、横紋筋という言葉を見ると骨格筋だけを思い浮かべやすいですが、心筋も横紋筋です。ただし、心筋は意志で動かせない不随意筋なので、横紋筋だから必ず随意筋とはいえません。また、等尺性収縮は「力を出している」だけで判断すると間違えやすく、筋肉の長さが変わるかどうかで判断する必要があります。荷物を持ち上げる動作は力を入れているため等尺性収縮に見えますが、筋肉の長さが変化しているため等張性収縮です。筋肥大についても、筋肉が大きくなると聞くと筋線維の数が増えると考えがちですが、試験では筋線維が太くなると判断します。日常感覚では男女や年齢で筋力差が大きいように感じますが、筋肉の断面積1cm2当たりで比較するという条件が付くと、性差や年齢差はほとんどないという結論になります。

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