出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)第24問
問題
労働時間の状況等が一定の要件に該当する労働者に対して、法令により実施することが義務付けられている医師による面接指導に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する者及び高度プロフェッショナル制度の対象者はいないものとする。
(1) 面接指導の対象となる労働者の要件は、原則として、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。
(2) 事業者は、面接指導を実施するため、タイムカードによる記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、監督又は管理の地位にある者を除き、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
(3) 面接指導を行う医師として事業者が指定することのできる医師は、当該事業場の産業医に限られる。
(4) 事業者は、面接指導の対象となる労働者の要件に該当する労働者から面接指導を受ける旨の申出があったときは、申出の日から3か月以内に、面接指導を行わなければならない。
(5) 事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。
第1種衛生管理者|長時間労働者の面接指導制度・過重労働対策を解説
長時間労働者に対する医師の面接指導は、過重労働による脳・心臓疾患やメンタルヘルス不調を防ぐための制度です。答えは(1)です。原則として、時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超え、疲労の蓄積が認められ、労働者本人から申出があった場合に、事業者は医師による面接指導を行う必要があります。
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(1) 面接指導の対象となる労働者の要件は、原則として、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1か月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であることとする。
適切です。長時間労働者の面接指導は、原則として、1週間当たり40時間を超えて労働した時間が1か月当たり80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者が対象になります。この「1か月80時間超」は試験で非常によく問われる基準です。過重労働による健康障害を防ぐため、単に残業時間が長いだけでなく、疲労の蓄積があるかどうかも重要になります。
(2) 事業者は、面接指導を実施するため、タイムカードによる記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、監督又は管理の地位にある者を除き、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
不適切です。労働時間の状況の把握は、監督又は管理の地位にある者も含めて行う必要があります。管理監督者は労働時間規制の一部について一般労働者と扱いが異なる場合がありますが、健康管理のための労働時間把握から除外されるわけではありません。長時間労働による健康障害は役職に関係なく発生するため、管理監督者も含めて労働時間の状況を把握する必要があります。
(3) 面接指導を行う医師として事業者が指定することのできる医師は、当該事業場の産業医に限られる。
不適切です。面接指導を行う医師は、産業医であることが望ましいですが、当該事業場の産業医に限られるわけではありません。法令上は医師による面接指導が求められており、産業医限定という条件まではありません。「産業医に限られる」という断定表現は、試験では誤りになりやすい典型的な表現です。
(4) 事業者は、面接指導の対象となる労働者の要件に該当する労働者から面接指導を受ける旨の申出があったときは、申出の日から3か月以内に、面接指導を行わなければならない。
不適切です。事業者は、労働者から面接指導の申出があったときは、遅滞なく面接指導を行う必要があります。「3か月以内」では遅すぎます。面接指導は、長時間労働による健康障害を早期に防ぐための制度なので、申出から長期間放置することは制度の趣旨に合いません。
(5) 事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、これを3年間保存しなければならない。
不適切です。面接指導の結果の記録は、5年間保存しなければなりません。衛生管理者試験では、健康診断や面接指導に関する記録の保存年限がよく問われます。この選択肢は「記録を作成する」という部分は正しいですが、「3年間保存」という保存期間が誤りです。
この問題で覚えるポイント
長時間労働者の面接指導では、原則として、1週間40時間を超える労働時間が1か月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者が重要な対象になります。労働時間の状況は、タイムカード、パソコンの使用記録、自己申告などの適切な方法で把握しますが、管理監督者も健康管理の対象から除外されません。面接指導は医師が行うものであり、産業医に限定されるわけではありません。労働者から申出があった場合は遅滞なく実施し、面接指導結果の記録は5年間保存します。なお、研究開発業務従事者や高度プロフェッショナル制度対象者には別の特別な基準がありますが、この問題では除外されているため、原則的な長時間労働者の面接指導制度を押さえることが大切です。
ひっかけポイント
このテーマでは、数値と対象者の範囲が主なひっかけになります。「80時間超」という基準は正しくても、疲労の蓄積や申出の要件を見落とすと判断を誤りやすくなります。また、管理監督者は労働時間規制の一部で例外的に扱われるため、労働時間把握の対象からも外れると考えてしまうのが典型的な罠です。さらに、「産業医が望ましい」と「産業医に限られる」は意味が違います。試験ではこのような限定表現が誤りとして出されやすいです。保存期間も「3年」と「5年」の混同が起こりやすいため、面接指導結果の記録は5年保存と正確に覚えておくことが重要です。
