出典:第一種衛生管理者2024年(令和6年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第6問
問題
有害物質等に係る作業とこれを規制している労働衛生関係規則との組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
(1) ホルムアルデヒドを取り扱う作業 ——————————— 有機溶剤中毒予防規則
(2) レーザー光線による金属の加工の作業 ——————————- 電離放射線障害防止規則
(3) ドライアイスを使用して冷凍を行う冷凍庫の内部における作業 ——————– 酸素欠乏症等防止規則
(4) 窒素を入れたことのある化学設備のタンク内を点検する作業 ——————— 高気圧作業安全衛生規則
(5) 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの作業 ————————- 粉じん障害防止規則
第1種衛生管理者|有害物質と労働衛生関係規則の適用範囲一覧を解説
有害物質や危険な作業には、それぞれ健康障害を防止するための労働衛生関係規則が対応しています。答えは(3)です。ドライアイスは二酸化炭素であり、冷凍庫の内部など換気が不十分な場所では酸素濃度が低下して酸素欠乏症を起こすおそれがあるため、酸素欠乏症等防止規則の対象として理解します。名称だけで判断せず、作業によって生じる健康障害が中毒なのか、酸素欠乏なのか、粉じんなのか、放射線障害なのかを見分けることが大切です。
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(1) ホルムアルデヒドを取り扱う作業 ——————————— 有機溶剤中毒予防規則
不適切です。ホルムアルデヒドは、刺激性や発がん性が問題となる化学物質であり、主に特定化学物質障害予防規則の対象として扱われます。有機溶剤中毒予防規則は、トルエン、キシレン、アセトンなどの有機溶剤による中毒を防止するための規則です。ホルムアルデヒドは名前に化学物質らしさがあるため有機溶剤と混同しやすいですが、試験では「どの規則で規制される物質か」を正確に区別する必要があります。
(2) レーザー光線による金属の加工の作業 ——————————- 電離放射線障害防止規則
不適切です。レーザー光線は強い光による眼や皮膚への障害が問題となりますが、電離放射線ではありません。電離放射線障害防止規則は、エックス線、ガンマ線、放射性物質など、原子や分子を電離させる能力を持つ放射線による障害を防ぐための規則です。レーザーは「放射線」という言葉と結び付けて考えてしまいがちですが、電離放射線とは性質が異なります。
(3) ドライアイスを使用して冷凍を行う冷凍庫の内部における作業 ——————– 酸素欠乏症等防止規則
適切です。ドライアイスは二酸化炭素が固体になったものです。二酸化炭素は空気中に放出されると、周囲の酸素濃度を低下させることがあります。特に冷凍庫の内部のように閉鎖的で換気が悪い場所では、酸素欠乏や二酸化炭素中毒の危険があります。そのため、このような場所での作業は酸素欠乏症等防止規則と結び付けて判断します。試験では、ドライアイスそのものの冷却作用ではなく、閉鎖空間で酸素が不足する危険に着目することが重要です。
(4) 窒素を入れたことのある化学設備のタンク内を点検する作業 ——————— 高気圧作業安全衛生規則
不適切です。窒素を入れたことのあるタンク内では、酸素が窒素に置き換わって酸素濃度が低下しているおそれがあります。そのため、問題となるのは高気圧ではなく酸素欠乏です。高気圧作業安全衛生規則は、潜水作業や圧気工法など、高い気圧の環境で作業する場合の健康障害を防ぐための規則です。タンク内作業という閉鎖空間の危険は、まず酸素欠乏症等防止規則を疑うのが基本です。
(5) 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの作業 ————————- 粉じん障害防止規則
不適切です。はんだ付けでは、鉛を含むはんだを使用する場合に鉛中毒の危険が問題となります。そのため、関係する規則としては鉛中毒予防規則が重要です。粉じん障害防止規則は、鉱物性粉じんなどを吸入することによるじん肺などを防止するための規則です。はんだ付けでは煙やヒュームが発生するため粉じんと混同しやすいですが、試験では「鉛を含む作業かどうか」に注目して判断します。
この問題で覚えるポイント
有害業務の規則を判定するときは、物質名や作業名の印象ではなく、発生する健康障害の種類で分類します。ホルムアルデヒドなどの特定化学物質は特定化学物質障害予防規則、有機溶剤による中毒は有機溶剤中毒予防規則、鉛を扱う作業は鉛中毒予防規則、酸素濃度が低下する閉鎖空間の作業は酸素欠乏症等防止規則、エックス線やガンマ線などの電離放射線を扱う作業は電離放射線障害防止規則と整理します。ドライアイスや窒素は、それ自体を吸い込む毒性だけでなく、空気中の酸素を追い出して酸素欠乏を起こす点が重要です。レーザー光線は強い光による障害であり、電離放射線とは区別します。粉じん障害防止規則は、粉じんを吸入する作業に関する規則であり、すべての煙やヒュームに機械的に当てはめるものではありません。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、作業名からなんとなく関係しそうな規則を選ばせる点にあります。ホルムアルデヒドは化学物質なので有機溶剤と誤解しやすく、レーザー光線は「光線」という言葉から放射線と結び付けやすくなっています。ドライアイスは冷凍に使う身近な物質なので危険性を軽く見がちですが、閉鎖空間では酸素欠乏につながります。窒素を入れたタンクも、圧力ではなく酸素が置換されることが本質です。はんだ付けは煙が出るため粉じんと判断したくなりますが、鉛による健康障害を考える必要があります。今後もこのテーマでは、名称の雰囲気ではなく「何によって、どの健康障害が起きるのか」を一段階考えることが正答につながります。
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