出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|労働生理第44問
問題
ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
(1) ホルモン:セクレチン 内分泌器官:十二指腸 はたらき:消化液の分泌促進
(2) ホルモン:メラトニン 内分泌器官:副腎髄質 はたらき:体液中の塩類バランスの調節
(3) ホルモン:パラソルモン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:血中のカルシウム量の調節
(4) ホルモン:インスリン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の減少
(5) ホルモン:グルカゴン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の増加
第1種衛生管理者|ホルモンの種類と内分泌器官の働きを解説
ヒトのホルモンは、分泌される内分泌器官とはたらきをセットで覚えることが重要です。答えは(2)です。メラトニンは副腎髄質から分泌されるホルモンではなく、主に松果体から分泌され、睡眠と覚醒のリズムに関係します。また、体液中の塩類バランスを調節する代表的なホルモンは、副腎皮質から分泌されるアルドステロンです。

(1) ホルモン:セクレチン 内分泌器官:十二指腸 はたらき:消化液の分泌促進
適切です。セクレチンは、主に十二指腸から分泌される消化管ホルモンです。胃から酸性の内容物が十二指腸に送られてくると、セクレチンが分泌され、膵液や胆汁などの分泌を促します。特に膵液中の重炭酸イオンの分泌を促進し、酸性になった十二指腸内を中和する働きがあります。消化に関わるホルモンは、胃や小腸などの消化管からも分泌される点を押さえておくと理解しやすいです。
(2) ホルモン:メラトニン 内分泌器官:副腎髄質 はたらき:体液中の塩類バランスの調節
不適切です。メラトニンは、主に松果体から分泌されるホルモンで、睡眠と覚醒のリズム、いわゆる体内時計に関係します。副腎髄質から分泌される代表的なホルモンはアドレナリンやノルアドレナリンで、心拍数の増加、血圧上昇、血糖量の増加など、緊急時に体を活動しやすくする働きがあります。また、体液中の塩類バランスを調節する代表的なホルモンは、副腎皮質から分泌されるアルドステロンです。つまり、この選択肢はホルモン名、内分泌器官、はたらきの組合せが一致していません。
(3) ホルモン:パラソルモン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:血中のカルシウム量の調節
適切です。パラソルモンは副甲状腺ホルモンとも呼ばれ、副甲状腺から分泌されます。主な働きは、血液中のカルシウム濃度を調節することです。血中カルシウム濃度が低下すると、骨からカルシウムを放出させたり、腎臓でのカルシウム再吸収を促したりして、血中カルシウム濃度を上昇させます。カルシウムは骨だけでなく、神経や筋肉の働きにも関係するため、体内で一定に保たれる必要があります。
(4) ホルモン:インスリン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の減少
適切です。インスリンは膵臓のランゲルハンス島のB細胞から分泌されるホルモンで、血糖量を減少させる働きがあります。食事により血糖値が上昇するとインスリンが分泌され、血液中のブドウ糖を細胞内に取り込ませたり、肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄えたりします。血糖値を下げる代表的なホルモンはインスリンであり、衛生管理者試験でも非常に出題されやすい知識です。
(5) ホルモン:グルカゴン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の増加
適切です。グルカゴンは膵臓のランゲルハンス島のA細胞から分泌されるホルモンで、血糖量を増加させる働きがあります。血糖値が低下したときに、肝臓に蓄えられているグリコーゲンを分解してブドウ糖を血液中に放出させます。インスリンが血糖値を下げるのに対し、グルカゴンは血糖値を上げるため、この2つは対になるホルモンとして覚えると整理しやすいです。
この問題で覚えるポイント
ホルモンの問題では、ホルモン名、内分泌器官、はたらきの3点セットで正誤判断することが大切です。メラトニンは松果体から分泌され、睡眠と覚醒のリズムに関係します。副腎髄質はアドレナリンやノルアドレナリンを分泌し、心拍数や血圧、血糖量を上げて身体を活動状態にします。副腎皮質はアルドステロンなどを分泌し、ナトリウムやカリウムなどの塩類バランス、水分量、血圧の調節に関係します。副甲状腺から分泌されるパラソルモンは血中カルシウム量を調節します。膵臓では、インスリンが血糖量を下げ、グルカゴンが血糖量を上げます。消化管ホルモンであるセクレチンは十二指腸から分泌され、消化液の分泌促進に関係します。試験では、特に副腎皮質と副腎髄質、インスリンとグルカゴン、松果体とメラトニンの対応関係を正確に区別できるようにしておくと得点につながります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、よく知られているホルモン名を並べながら、内分泌器官とはたらきを別のホルモンの内容にすり替えている点です。メラトニンという名称だけを見ると聞き覚えがあり、深く確認せずに正しいと判断しやすくなりますが、副腎髄質や塩類バランスとは結びつきません。塩類バランスという言葉からはアルドステロンを思い出す必要があり、これは副腎皮質のホルモンです。また、副腎は皮質と髄質で分泌するホルモンが異なるため、「副腎」とだけ大きく覚えていると誤答しやすくなります。ホルモン問題では、一部だけ正しい組合せに惑わされず、ホルモン名、分泌器官、作用の3つがすべて一致しているかを確認する習慣が重要です。
