出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|労働生理第42問
問題
感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 網膜には、色を感じる杆(かん)状体(杆体)と明暗を感じる錐(すい)状体(錐体)という2種類の視細胞が並んでいる。
(2) 老視(老眼)とは、加齢によって水晶体が徐々に変性して調節できる範囲が狭まり、近点が遠くなり、遠点が近くなることをいう。
(3) 半規管は体の傾きの方向や大きさを感じ、前庭は体の回転の方向や速度を感じる平衡感覚器であり、いずれも内耳にある。
(4) 嗅覚は、味覚と同様に物質の化学的性質を認知する感覚であるが、同じ臭気に対して疲労しにくいという特徴がある。
(5) 皮膚感覚には触圧覚、温度覚(温覚と冷覚)、痛覚などがあり、これらのうち温覚を感じる場所(温点)は、他の感覚を感じる場所よりも密度が高い。
第1種衛生管理者|感覚器の種類と視覚・平衡感覚の特徴を解説を解説
感覚器では、視覚、平衡感覚、嗅覚、皮膚感覚について、どの器官が何を感じ取るかを正確に区別することが重要です。答えは(2)です。老視は、加齢により水晶体の弾性や調節力が低下し、ピントを合わせられる範囲が狭くなる状態です。近くのものが見えにくくなり、近点が遠くなる点が典型的な特徴です。

(1) 網膜には、色を感じる杆(かん)状体(杆体)と明暗を感じる錐(すい)状体(錐体)という2種類の視細胞が並んでいる。
不適切です。その理由は、杆状体と錐状体の働きが逆になっているためです。杆状体は、主に明暗を感じる視細胞で、暗い場所での視覚に関係します。錐状体は、主に色を感じる視細胞で、明るい場所で物の色や細かい形を識別する働きがあります。試験では「杆状体は明暗、錐状体は色」と整理しておくと判断しやすくなります。
(2) 老視(老眼)とは、加齢によって水晶体が徐々に変性して調節できる範囲が狭まり、近点が遠くなり、遠点が近くなることをいう。
適切です。その理由は、老視では加齢により水晶体の弾性が低下し、毛様体筋による厚さの調節がうまくできなくなるためです。水晶体は、近くを見るときに厚くなってピントを合わせますが、加齢によりこの調節力が弱くなると、近くのものに焦点を合わせにくくなります。その結果、近点は遠くなり、調節できる範囲が狭くなります。老視は、近視や遠視のような眼球の形による屈折異常ではなく、加齢による調節力低下として理解するとよいです。
(3) 半規管は体の傾きの方向や大きさを感じ、前庭は体の回転の方向や速度を感じる平衡感覚器であり、いずれも内耳にある。
不適切です。その理由は、半規管と前庭の働きが逆になっているためです。半規管は、体や頭の回転の方向、回転の速度を感じる器官です。前庭は、体の傾きや直線方向の動きなどを感じる器官です。どちらも内耳にある平衡感覚器ですが、「半規管は回転、前庭は傾き」と覚えると混同しにくくなります。
(4) 嗅覚は、味覚と同様に物質の化学的性質を認知する感覚であるが、同じ臭気に対して疲労しにくいという特徴がある。
不適切です。その理由は、嗅覚は同じ臭気に対して疲労しやすい感覚だからです。嗅覚は、空気中の化学物質を鼻の嗅細胞で感じ取る感覚です。同じにおいをしばらく嗅いでいると、次第にそのにおいを感じにくくなることがあります。これを嗅覚の疲労、または順応といいます。日常生活でも、部屋に入った直後はにおいを強く感じても、時間が経つと気にならなくなることがあり、これが嗅覚の特徴です。
(5) 皮膚感覚には触圧覚、温度覚(温覚と冷覚)、痛覚などがあり、これらのうち温覚を感じる場所(温点)は、他の感覚を感じる場所よりも密度が高い。
不適切です。その理由は、温点は他の感覚点より密度が高いとはいえないためです。皮膚感覚には、触圧覚、温覚、冷覚、痛覚などがあり、それぞれを感じる点の分布密度は異なります。一般に、痛覚を感じる痛点は比較的多く、温点は密度が低いとされています。温覚だけが最も密度が高いという理解は誤りです。
この問題で覚えるポイント
感覚器の問題では、器官名と働きの対応を正確に覚えることが正誤判断に直結します。網膜の杆状体は明暗を感じ、錐状体は色を感じます。老視は加齢による水晶体の調節力低下であり、近くにピントを合わせにくくなるため近点が遠くなります。平衡感覚では、半規管が回転の方向や速度を感じ、前庭が体の傾きや直線方向の動きを感じます。嗅覚と味覚はどちらも化学物質を認知する感覚ですが、嗅覚は同じ臭気に順応しやすく、疲労しやすい点が特徴です。皮膚感覚では、触圧覚、温覚、冷覚、痛覚の感覚点があり、温点が最も高密度という理解は誤りです。
ひっかけポイント
この分野では、用語の入れ替えによる誤りがよく出ます。杆状体と錐状体、半規管と前庭は、どちらも同じ分野の近い用語なので混同しやすいです。文章の前半が正しくても、後半で働きが逆にされていることがあります。また、嗅覚については「危険なにおいを感じる感覚だから疲労しにくい」と日常感覚で考えると誤りやすく、実際には同じにおいには慣れやすい感覚です。皮膚感覚では、温覚という身近な感覚を目立たせて「密度が高い」と見せる誘導がありますが、試験では感覚点の分布密度まで正確に確認することが大切です。
