【第一種衛生管理者過去問】2025年4月公表問題|問30|健康保持増進対策とTHPの実施内容|労働衛生(有害業務以外)を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの以外のもの)第30問

問題

厚生労働省の「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づく健康保持増進対策に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1) 健康保持増進対策の推進に当たっては、事業者が労働者等の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組を行うため、労使、産業医、衛生管理者等で構成される衛生委員会等を活用する。

(2) 健康測定の結果に基づき行う健康指導には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔(くう)保健指導、保健指導が含まれる。

(3) 健康保持増進措置は、主に生活習慣上の課題を有する労働者の健康状態の改善を目指すために個々の労働者に対して実施するものと、事業場全体の健康状態の改善や健康保持増進に係る取組の活性化等、生活習慣上の課題の有無に関わらず労働者を集団として捉えて実施するものがある。

(4) 健康保持増進に関する課題の把握や目標の設定等においては、労働者の健康状態等を客観的に把握できる数値を活用することが望ましい。

(5) 健康測定とは、健康指導を行うために実施される調査、測定等のことをいい、疾病の早期発見に重点をおいた健康診断の各項目の結果を健康測定に活用することはできない。

第1種衛生管理者|健康保持増進対策とTHPの実施内容を解説

健康保持増進対策は、労働者の心身の健康づくりを事業場全体で計画的に進める取組です。答えは(5)です。健康測定は健康指導のために行う調査や測定等をいいますが、健康診断の結果を活用することは可能です。「健康診断は疾病の早期発見、健康測定は健康づくりの指導」という目的の違いはありますが、健康診断の各項目の結果を健康測定に活用できないわけではありません。

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(1) 健康保持増進対策の推進に当たっては、事業者が労働者等の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組を行うため、労使、産業医、衛生管理者等で構成される衛生委員会等を活用する。

適切です。健康保持増進対策は、事業者だけで一方的に進めるものではなく、労働者の意見や事業場の実情を踏まえて進めることが重要です。衛生委員会等には、労使の代表、産業医、衛生管理者などが関わるため、職場の健康課題を共有し、実効性のある取組を検討する場として適しています。健康づくりは個人任せにするのではなく、職場環境や働き方も含めて組織的に進める点がポイントです。

(2) 健康測定の結果に基づき行う健康指導には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔(くう)保健指導、保健指導が含まれる。

適切です。健康保持増進対策では、健康測定の結果を踏まえて、労働者の状態に応じた健康指導を行います。具体的には、運動習慣の改善を促す運動指導、心の健康に関するメンタルヘルスケア、食生活を見直す栄養指導、歯や口腔の健康を支える口腔保健指導、生活習慣全般に関する保健指導などが含まれます。身体面だけでなく、心の健康や生活習慣を幅広く扱う点を押さえておくと判断しやすくなります。

(3) 健康保持増進措置は、主に生活習慣上の課題を有する労働者の健康状態の改善を目指すために個々の労働者に対して実施するものと、事業場全体の健康状態の改善や健康保持増進に係る取組の活性化等、生活習慣上の課題の有無に関わらず労働者を集団として捉えて実施するものがある。

適切です。健康保持増進措置には、個人に対する取組と集団に対する取組があります。生活習慣に課題がある労働者には、個別の健康状態に応じた指導や支援を行います。あわせて、事業場全体として運動機会を増やす、健康教育を行う、職場全体の健康意識を高めるなど、集団を対象とした取組も重要です。健康保持増進対策は、問題を抱えた一部の人だけを対象にするものではなく、全労働者の健康づくりを支える仕組みとして理解しましょう。

(4) 健康保持増進に関する課題の把握や目標の設定等においては、労働者の健康状態等を客観的に把握できる数値を活用することが望ましい。

適切です。健康保持増進対策を効果的に進めるには、感覚的な判断だけでなく、健康診断結果、問診結果、ストレスチェック結果、生活習慣に関する調査結果など、客観的なデータを活用することが望ましいです。数値を用いることで、事業場の健康課題を把握しやすくなり、目標設定や取組後の評価もしやすくなります。健康づくりは、実施して終わりではなく、課題の把握、目標設定、実施、評価、改善という流れで進めることが大切です。

(5) 健康測定とは、健康指導を行うために実施される調査、測定等のことをいい、疾病の早期発見に重点をおいた健康診断の各項目の結果を健康測定に活用することはできない。

不適切です。健康測定とは、健康指導を行うために実施される調査や測定等をいいます。この前半部分は正しい内容です。しかし、健康診断の各項目の結果を健康測定に活用することはできます。健康診断は主に疾病の早期発見を目的としますが、その結果は労働者の健康状態を把握する重要な情報です。例えば、血圧、血糖、脂質、肥満度などの結果は、運動指導や栄養指導、保健指導に役立ちます。「健康診断と健康測定は目的が違うから、結果を活用できない」と考えてしまうと誤りです。目的の違いと、データ活用の可否を分けて理解することが大切です。

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この問題で覚えるポイント

健康保持増進対策は、事業者が労働者の健康づくりを継続的かつ計画的に進めるための取組です。推進に当たっては、衛生委員会等を活用し、労使、産業医、衛生管理者などが関与して、事業場の実態に合った内容にすることが重要です。健康測定は、健康指導を行うための調査や測定等であり、健康診断とは目的が異なります。健康診断は疾病の早期発見に重点がありますが、その結果を健康測定や健康指導に活用することはできます。健康指導には、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔保健指導、保健指導などが含まれます。健康保持増進措置には、個々の労働者の生活習慣上の課題に応じて行う個別的な取組と、労働者を集団として捉えて事業場全体の健康状態の改善を目指す取組があります。課題の把握や目標設定では、健康診断結果などの客観的な数値を活用することが望ましいです。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「健康診断」と「健康測定」の目的の違いを利用して、「健康診断の結果は健康測定に活用できない」と誤認させる点です。健康診断は疾病の早期発見、健康測定は健康指導のための状態把握という違いがありますが、目的が違うことと結果を活用できないことは別です。試験では、「目的が異なる」という正しい知識に、「活用できない」という誤った結論を組み合わせた文章が出されることがあります。また、健康保持増進対策は、生活習慣に問題がある人だけを対象にするものではなく、事業場全体で取り組む面もあります。個人対象の取組と集団対象の取組の両方があることを押さえておくと、同じテーマの問題でも安定して判断できます。

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