出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの以外のもの)第23問
問題
衛生委員会に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
(1) 衛生委員会の議長には、総括安全衛生管理者である委員はなることができない。
(2) 衛生委員会の議長を除く委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
(3) 事業場に専属でないが、産業医として選任している医師を、衛生委員会の委員として指名することができる。
(4) 作業環境測定を外部の作業環境測定機関に委託して実施している場合、当該作業環境測定を実施している作業環境測定士を衛生委員会の委員として指名することはできない。
(5) 事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するものを、衛生委員会の委員として指名することができる。
衛生管理者過去問|衛生委員会の構成・委員選任ルールを解説
衛生委員会は、事業場の衛生管理について労使で調査審議するための機関です。答えは(1)です。衛生委員会の議長は、総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外で事業の実施を統括管理する者などから指名された委員がなるため、「総括安全衛生管理者である委員は議長になれない」とする記述は誤りです。衛生委員会では、産業医や衛生管理者だけでなく、衛生に関する経験を有する労働者、必要に応じて作業環境測定士なども委員に含めることができます。
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(1) 衛生委員会の議長には、総括安全衛生管理者である委員はなることができない。
不適切です。衛生委員会の議長は、総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外でその事業場において事業の実施を統括管理する者などのうちから事業者が指名した委員が務めます。つまり、総括安全衛生管理者である委員は、むしろ議長になり得る立場です。「なることができない」と断定している点が法令上誤りです。衛生委員会は、事業場の衛生管理について調査審議する場であり、事業場全体を管理する立場の者が議長となることで、委員会での意見を事業場の管理運営に反映しやすくする仕組みになっています。
(2) 衛生委員会の議長を除く委員の半数については、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならない。
適切です。衛生委員会では、事業者側だけでなく労働者側の意見も反映されるように、議長を除く委員の半数について、労働者側の推薦に基づいて指名することが求められています。労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合の推薦に基づき、ない場合は労働者の過半数を代表する者の推薦に基づきます。これは、職場の衛生問題が実際に働く労働者の健康や作業環境に直接関わるため、労働者の意見を制度的に反映させるためのルールです。
(3) 事業場に専属でないが、産業医として選任している医師を、衛生委員会の委員として指名することができる。
適切です。衛生委員会の委員には、産業医のうちから事業者が指名した者が含まれます。ここで重要なのは、衛生委員会の委員となる産業医が必ず専属産業医でなければならないわけではないという点です。事業場に専属していない嘱託産業医であっても、その事業場の産業医として選任されていれば、衛生委員会の委員として指名することができます。産業医は医学的な専門知識に基づいて、健康診断、作業環境、労働者の健康障害防止などについて助言する重要な役割を担います。
(4) 作業環境測定を外部の作業環境測定機関に委託して実施している場合、当該作業環境測定を実施している作業環境測定士を衛生委員会の委員として指名することはできない。
適切です。衛生委員会の委員として指名できる作業環境測定士は、原則としてその事業場の労働者である作業環境測定士です。外部の作業環境測定機関に所属し、委託を受けて測定を実施している作業環境測定士は、その事業場の労働者ではありません。そのため、当該外部機関の作業環境測定士を衛生委員会の委員として指名することはできません。外部の専門家から意見を聴くこと自体は実務上有益ですが、法令上の衛生委員会の委員として指名できる者とは区別して考える必要があります。
(5) 事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するものを、衛生委員会の委員として指名することができる。
適切です。衛生委員会の委員には、衛生管理者、産業医などの専門的な立場の者に加えて、その事業場の労働者で衛生に関し経験を有する者を指名することができます。衛生に関し経験を有する労働者とは、職場の衛生管理、作業環境、健康障害防止などについて実務上の知識や経験を持つ者を指します。現場の実情を知る労働者が委員に入ることで、机上の判断だけでなく、実際の作業状況に即した審議がしやすくなります。
この問題で覚えるポイント
衛生委員会は、一定規模以上の事業場で労働者の健康障害防止や健康保持増進などを調査審議する機関です。構成員は、議長となる委員、衛生管理者、産業医、衛生に関し経験を有する労働者などです。議長は、総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者などから指名されるため、総括安全衛生管理者が議長になれないわけではありません。議長を除く委員の半数は、労働者側の推薦に基づいて指名する点も重要です。産業医は専属でなくても、選任されていれば委員にできます。作業環境測定士については、その事業場の労働者である場合は委員にできますが、外部機関に委託している作業環境測定士をそのまま委員として指名することはできません。衛生委員会の問題では、誰が委員になれるか、誰の推薦が必要か、議長の扱いはどうなるかを整理しておくと正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「総括安全衛生管理者」と「議長」の関係を逆に覚えている受験者を狙っている点です。総括安全衛生管理者は管理する側の立場なので、労働者の意見を聴く委員会の議長にはなれないように感じるかもしれません。しかし法令上は、事業場全体を統括管理する立場の者が議長になり得ます。また、産業医は専属でなければ委員にできないと思い込むと誤ります。専属かどうかではなく、その事業場の産業医として選任されているかがポイントです。作業環境測定士については、専門家なら誰でも委員にできると考えると危険です。外部委託先の作業環境測定士と、その事業場の労働者である作業環境測定士は扱いが異なります。このテーマでは、「専門家であること」と「法令上の委員として指名できること」を分けて考えることが大切です。
