【第一種衛生管理者過去問】2022年10月公表問題|問39|腎臓の構造と尿生成の仕組み・糸球体と再吸収の基礎|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|労働生理第39問

問題

腎臓又は尿に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 血中の老廃物は、尿細管からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。

(2) 血中の蛋(たん)白質は、糸球体からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。

(3) 血中のグルコースは、糸球体からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。

(4) 原尿中に濾(こ)し出された電解質の多くは、ボウマン嚢(のう)から血中に再吸収される。

(5) 原尿中に濾(こ)し出された水分の大部分は、そのまま尿として排出される。

第1種衛生管理者|腎臓の構造と尿生成の仕組み・糸球体と再吸収の基礎を解説

腎臓では、血液中の水分や老廃物などが糸球体で濾過され、ボウマン嚢に入って原尿となります。その後、原尿が尿細管を通る過程で、水分、グルコース、電解質など必要な成分の多くが血液中へ再吸収されます。答えは(3)です。グルコースは糸球体からボウマン嚢に濾し出されますが、通常は尿細管でほぼすべて再吸収されるため、健康な状態では尿中にほとんど排出されません。

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(1) 血中の老廃物は、尿細管からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。

不適切です。血中の老廃物が最初に濾し出される場所は、尿細管ではなく糸球体です。腎臓にはネフロンという尿を作る基本単位があり、糸球体とボウマン嚢からなる腎小体で血液の濾過が行われます。糸球体は毛細血管が球状に集まった構造で、血液中の水分、尿素などの老廃物、電解質、グルコースなどがボウマン嚢へ濾し出されます。尿細管は、その後に原尿が流れていく管であり、必要な成分を再吸収したり、不要な物質を分泌したりする場所です。尿細管からボウマン嚢へ濾し出されるわけではないため、この記述は誤りです。

(2) 血中の蛋(たん)白質は、糸球体からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。

不適切です。蛋白質は分子が大きいため、通常は糸球体からボウマン嚢へほとんど濾し出されません。糸球体の濾過膜は、血液中の小さな物質を通しやすい一方で、血球や大きな蛋白質は通しにくい構造になっています。そのため、健康な状態では尿中に蛋白質はほとんど含まれません。尿検査で蛋白尿がみられる場合は、糸球体の障害などにより、本来濾過されにくい蛋白質が尿中に出ている可能性があります。糸球体から濾し出される代表例は、水分、尿素、電解質、グルコースなどであり、蛋白質は基本的に濾過されないと覚えると判断しやすいです。

(3) 血中のグルコースは、糸球体からボウマン嚢(のう)に濾(こ)し出される。

適切です。グルコースは分子が比較的小さいため、糸球体からボウマン嚢へ濾し出され、原尿中に含まれます。ただし、グルコースは身体にとって重要なエネルギー源であるため、通常は尿細管でほぼすべて血液中へ再吸収されます。そのため、健康な人の尿にはグルコースはほとんど含まれません。ここで大切なのは、濾過されることと、尿として排出されることを区別することです。グルコースは一度は原尿中に濾し出されますが、正常であれば再吸収されるため、最終的な尿にはほぼ出ません。この区別がこの問題の正誤判断の中心です。

(4) 原尿中に濾(こ)し出された電解質の多くは、ボウマン嚢(のう)から血中に再吸収される。

不適切です。原尿中に濾し出された電解質の多くは血液中へ再吸収されますが、その主な場所はボウマン嚢ではなく尿細管です。ボウマン嚢は、糸球体で濾過された成分を受け取る袋状の構造です。ここで原尿が作られた後、原尿は尿細管へ流れていきます。尿細管では、ナトリウムなどの電解質、水分、グルコース、アミノ酸などが必要に応じて血液中へ戻されます。記述は、電解質が再吸収されるという方向性は正しいものの、再吸収の場所をボウマン嚢としている点が誤りです。

(5) 原尿中に濾(こ)し出された水分の大部分は、そのまま尿として排出される。

不適切です。原尿中に濾し出された水分の大部分は、そのまま尿として排出されるのではなく、尿細管などで血液中へ再吸収されます。腎臓では大量の原尿が作られますが、そのほとんどは体内に戻され、最終的に尿として排出される量は一部です。水分を大量にそのまま排出してしまうと、体内の水分量や血液量を保てなくなります。腎臓は老廃物を排出するだけでなく、水分量や電解質濃度を調節する重要な器官です。水分の大部分は再吸収され、不要な老廃物を含む一部が尿として排出されると理解しましょう。

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この問題で覚えるポイント

腎臓で尿が作られる流れは、糸球体で血液を濾過し、ボウマン嚢に原尿を受け取り、尿細管で必要な成分を再吸収し、不要な成分を尿として排出するという順序です。糸球体からボウマン嚢へ濾し出されるものには、水分、尿素などの老廃物、電解質、グルコースなどがあります。血球や蛋白質のように大きな成分は、正常ではほとんど濾過されません。グルコースは濾過されますが、通常は尿細管でほぼすべて再吸収されるため、尿中にはほとんど出ません。電解質や水分も尿細管で多くが再吸収されます。正誤判断では、濾過の場所は糸球体からボウマン嚢、再吸収の場所は主に尿細管、と整理しておくことが重要です。

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ひっかけポイント

この問題では、濾過される場所と再吸収される場所の混同が狙われています。ボウマン嚢、糸球体、尿細管はいずれも尿生成に関わるため、言葉だけを見ると正しそうに感じやすいですが、それぞれの役割は異なります。糸球体は血液を濾過する場所、ボウマン嚢は原尿を受け取る場所、尿細管は再吸収や分泌を行う場所です。また、グルコースは最終的な尿にはほとんど出ないため、濾過されないと誤解しやすい点も典型的なひっかけです。試験では、尿として排出されるかどうかではなく、まず原尿中に濾し出されるかどうかを問われることがあります。濾過と排出、濾過と再吸収を分けて考えることが、このテーマで失点しないためのコツです。

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