出典:第一種衛生管理者2022年(令和4年度)10月公表問題|労働生理第38問
問題
ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
(1) ホルモン:ガストリン 内分泌器官:胃 はたらき:胃酸分泌刺激
(2) ホルモン:アルドステロン 内分泌器官:副腎皮質 はたらき:体液中の塩類バランスの調節
(3) ホルモン:パラソルモン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:血中のカルシウム量の調節
(4) ホルモン:コルチゾール 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の増加
(5) ホルモン:副腎皮質刺激ホルモン 内分泌器官:下垂体 はたらき:副腎皮質の活性化
第1種衛生管理者|ホルモンの種類と内分泌器官の働き一覧を解説
ホルモンは、特定の内分泌器官から血液中に分泌され、離れた臓器や組織の働きを調節する物質です。正誤判断では、ホルモン名、分泌される器官、主な働きの3点をセットで覚えることが大切です。答えは(4)です。コルチゾールには血糖量を増加させる働きがありますが、分泌される内分泌器官は膵臓ではなく副腎皮質です。膵臓から分泌される代表的なホルモンは、インスリンやグルカゴンです。
(1) ホルモン:ガストリン 内分泌器官:胃 はたらき:胃酸分泌刺激
適切です。ガストリンは主に胃の粘膜から分泌されるホルモンで、胃酸の分泌を促進します。食物が胃に入ると、消化を進めるために胃酸や消化酵素の分泌が必要になります。ガストリンはこの胃の消化活動を高める方向に働くため、「胃、胃酸分泌刺激」という組合せは正しいです。
(2) ホルモン:アルドステロン 内分泌器官:副腎皮質 はたらき:体液中の塩類バランスの調節
適切です。アルドステロンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、主に腎臓に作用してナトリウムの再吸収を促進し、カリウムの排出にも関係します。ナトリウムは体液量や血圧の調節に深く関わるため、アルドステロンは体液中の塩類バランスの調節に重要な役割を果たします。
(3) ホルモン:パラソルモン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:血中のカルシウム量の調節
適切です。パラソルモンは副甲状腺ホルモンとも呼ばれ、副甲状腺から分泌されます。主な働きは、血液中のカルシウム濃度を調節することです。カルシウムは骨や歯の成分であるだけでなく、筋肉の収縮や神経の働きにも関わるため、血中濃度が一定に保たれる必要があります。
(4) ホルモン:コルチゾール 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の増加
不適切です。コルチゾールは血糖量を増加させる働きをもつホルモンですが、分泌される内分泌器官は膵臓ではなく副腎皮質です。コルチゾールは糖質、たん白質、脂質の代謝に関わり、ストレス時などにエネルギーを確保する方向に働きます。膵臓から分泌される代表的なホルモンは、血糖量を下げるインスリンと、血糖量を上げるグルカゴンです。血糖量の増加という働きだけを見ると正しそうに見えますが、内分泌器官が誤っている点がこの選択肢のポイントです。
(5) ホルモン:副腎皮質刺激ホルモン 内分泌器官:下垂体 はたらき:副腎皮質の活性化
適切です。副腎皮質刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌され、副腎皮質を刺激してホルモン分泌を促します。名前のとおり、副腎皮質を刺激するホルモンです。下垂体は多くの内分泌器官に指令を出す役割をもつため、ホルモン調節の司令塔として理解すると覚えやすいです。
この問題で覚えるポイント
ホルモンの問題では、ホルモン名、内分泌器官、働きをセットで覚えることが正誤判断に直結します。ガストリンは胃から分泌され、胃酸分泌を促進します。アルドステロンは副腎皮質から分泌され、ナトリウムやカリウムなどの塩類バランス、水分量、血圧の調節に関係します。パラソルモンは副甲状腺から分泌され、血中カルシウム濃度を調節します。コルチゾールは副腎皮質から分泌され、血糖量の増加や代謝調節、ストレス反応に関係します。膵臓の代表的なホルモンはインスリンとグルカゴンで、インスリンは血糖量を低下させ、グルカゴンは血糖量を増加させます。副腎皮質刺激ホルモンは下垂体前葉から分泌され、副腎皮質の働きを促進します。副腎皮質から出るホルモンと、下垂体から出て副腎皮質を刺激するホルモンは混同しやすいため、分泌する場所と作用する場所を分けて整理することが大切です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、働きだけを見ると正しく見える選択肢に、内分泌器官の誤りを混ぜている点です。コルチゾールが血糖量を増加させるという部分は正しいため、そこだけで判断すると誤答しやすくなります。しかし、コルチゾールは膵臓ではなく副腎皮質から分泌されます。ホルモンの問題では、「働きが正しいから全体も正しい」と考えるのが典型的な落とし穴です。また、血糖量の調節と聞くと膵臓を連想しやすいため、血糖に関係するホルモンはすべて膵臓から出ると考えてしまう危険があります。試験では、ホルモン名、分泌器官、働きのうち一部だけを正しくして、別の部分を入れ替える形がよく出ます。正誤判断では、必ず3点すべてが一致しているかを確認することが重要です。
