出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働生理第35問
問題
血液に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 血液は、血漿(しょう)成分と有形成分から成り、血漿成分は血液容積の約55%を占める。
(2) 血漿中の蛋(たん)白質のうち、アルブミンは血液の浸透圧の維持に関与している。
(3) 白血球のうち、好中球には、体内に侵入してきた細菌や異物を貪食する働きがある。
(4) 血小板のうち、リンパ球には、Bリンパ球、Tリンパ球などがあり、これらは免疫反応に関与している。
(5) 血液の凝固は、血漿中のフィブリノーゲンがフィブリンに変化し、赤血球などが絡みついて固まる現象である。
第1種衛生管理者|血液の成分と白血球・血小板の働きを解説
血液は、液体成分である血漿と、赤血球・白血球・血小板などの有形成分から成ります。答えは(4)です。リンパ球は血小板の一種ではなく、白血球の一種です。Bリンパ球やTリンパ球が免疫反応に関与するという部分は正しいですが、「血小板のうち」としている点が誤りです。血液成分の分類では、赤血球は酸素運搬、白血球は免疫や防御、血小板は止血に関係する、と役割を整理して覚えることが大切です。
(1) 血液は、血漿(しょう)成分と有形成分から成り、血漿成分は血液容積の約55%を占める。
適切です。血液は大きく分けると、液体部分である血漿と、細胞成分である有形成分から成ります。血漿は血液全体の約55%を占め、有形成分は約45%を占めます。有形成分には赤血球、白血球、血小板が含まれます。試験では、血漿が約55%、有形成分が約45%という数値が問われやすいため、セットで覚えておくと判断しやすくなります。
(2) 血漿中の蛋(たん)白質のうち、アルブミンは血液の浸透圧の維持に関与している。
適切です。血漿中にはアルブミン、グロブリン、フィブリノーゲンなどの蛋白質が含まれています。アルブミンは血漿蛋白の中で多くを占め、血液中に水分を保つ働き、つまり血液の膠質浸透圧の維持に重要な役割を果たします。アルブミンが少なくなると、血管内に水分を保ちにくくなり、むくみにつながることがあります。血漿蛋白の役割では、アルブミンは浸透圧、グロブリンは免疫、フィブリノーゲンは血液凝固と整理すると覚えやすいです。
(3) 白血球のうち、好中球には、体内に侵入してきた細菌や異物を貪食する働きがある。
適切です。白血球は体を病原体や異物から守る細胞です。その中でも好中球は、細菌などを取り込んで処理する貪食作用を持っています。貪食とは、体内に侵入した細菌や異物を細胞が取り囲み、内部に取り込んで分解する働きです。好中球は感染防御の初期対応に関わるため、白血球の中でも重要な役割を担います。
(4) 血小板のうち、リンパ球には、Bリンパ球、Tリンパ球などがあり、これらは免疫反応に関与している。
不適切です。リンパ球にはBリンパ球やTリンパ球があり、免疫反応に関与するという説明自体は正しいです。しかし、リンパ球は血小板の一種ではなく、白血球の一種です。血小板は主に止血や血液凝固に関係する成分であり、リンパ球のように免疫反応の中心となる細胞ではありません。この選択肢は、後半の説明が正しいため一見正しそうに見えますが、分類の出発点である「血小板のうち」が誤っています。
(5) 血液の凝固は、血漿中のフィブリノーゲンがフィブリンに変化し、赤血球などが絡みついて固まる現象である。
適切です。血液凝固では、血漿中に溶けているフィブリノーゲンが、不溶性のフィブリンに変化します。このフィブリンが網の目のような構造をつくり、そこに赤血球などの血球成分が絡みつくことで血液が固まります。血小板は止血の初期段階で重要な役割を果たし、その後の凝固反応によって安定した血のかたまりが形成されます。フィブリノーゲンは血漿中にある凝固因子の一つとして覚えておくとよいです。
この問題で覚えるポイント
血液は血漿成分と有形成分に分けられ、血漿成分は血液容積の約55%、有形成分は約45%を占めます。有形成分には赤血球、白血球、血小板があり、赤血球は酸素運搬、白血球は感染防御や免疫、血小板は止血に関与します。血漿蛋白では、アルブミンは血液の浸透圧維持、グロブリンは免疫、フィブリノーゲンは血液凝固に関係します。白血球には好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球などがあり、好中球は細菌や異物を貪食し、リンパ球にはBリンパ球やTリンパ球があり免疫反応に関与します。血液凝固では、フィブリノーゲンがフィブリンに変化し、赤血球などが絡みついて血液が固まります。血小板はリンパ球とは別の成分であり、免疫ではなく止血に関係する点を正確に区別することが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、文章の一部だけを見ると正しく見える選択肢が含まれている点です。Bリンパ球やTリンパ球が免疫反応に関与するという説明は正しいため、そこだけに注目すると正答を見落としやすくなります。しかし、リンパ球は血小板ではなく白血球の一種です。このように、衛生管理者試験では「後半は正しいが、前半の分類が誤っている」文章がよく出題されます。血液の問題では、赤血球、白血球、血小板、血漿蛋白の分類と役割を混同しないことが大切です。特に、白血球は免疫、血小板は止血、フィブリノーゲンは凝固という対応関係を押さえておくと、似た表現のひっかけにも対応できます。
