【第一種衛生管理者過去問】2023年10月公表問題|問13|化学物質リスクアセスメントとリスク低減措置の優先順位|労働衛生(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第13問

問題

化学物質等による疾病のリスクの低減措置について、法令に定められた措置以外の措置を検討する場合、優先度の最も高いものは次のうちどれか。

(1) 化学物質等に係る機械設備等の密閉化

(2) 化学物質等に係る機械設備等への局所排気装置の設置

(3) 化学反応のプロセス等の運転条件の変更

(4) 化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用

(5) 作業手順の改善

第1種衛生管理者|化学物質リスクアセスメントとリスク低減措置の優先順位を解説

化学物質等による疾病リスクを下げる措置では、まず危険性又は有害性そのものを除去したり、より小さくしたりする対策を優先します。答えは(3)です。化学反応のプロセス等の運転条件の変更は、発生する有害物の量や危険な反応そのものを根本から低減できる可能性があるため、密閉化、局所排気装置、作業手順の改善、保護具の使用よりも優先度が高い措置に位置付けられます。

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(1) 化学物質等に係る機械設備等の密閉化

不適切です。密閉化は、化学物質が作業環境中に漏れ出すことを防ぐ有効な工学的対策です。作業者が有害物質にばく露されにくくなるため、リスク低減措置としては重要です。ただし、密閉化は有害な化学物質や危険な反応そのものをなくす対策ではなく、発生した有害物を作業者に届きにくくする対策です。法令に定められた措置以外で優先順位を考える場合は、まず化学物質の使用条件や反応条件を見直して、危険性又は有害性を根本から小さくする措置が優先されます。

(2) 化学物質等に係る機械設備等への局所排気装置の設置

不適切です。局所排気装置は、有害なガス、蒸気、粉じんなどが作業場に広がる前に発生源近くで吸引し、作業者のばく露を減らす設備です。非常に重要なリスク低減措置ですが、発生した有害物を取り除く対策であり、有害物の発生そのものをなくすものではありません。リスク低減措置の優先順位では、まず有害性や危険性を低減する本質的な対策を検討し、その次に密閉化や局所排気装置などの工学的対策を考えます。

(3) 化学反応のプロセス等の運転条件の変更

適切です。化学反応のプロセスや運転条件を変更することは、危険性又は有害性を根本から低減する対策に当たります。例えば、反応温度、圧力、濃度、使用量、反応方法などを見直すことで、有害な副生成物の発生を抑えたり、爆発や中毒の危険を小さくしたりできる場合があります。これは、単に作業者を有害物から遠ざける対策ではなく、発生源そのものの危険を小さくする考え方です。そのため、選択肢の中では最も優先度が高い措置です。

(4) 化学物質等の有害性に応じた有効な保護具の使用

不適切です。保護具の使用は、作業者の体に有害物質が入ることを防ぐための対策です。防毒マスク、防じんマスク、保護手袋、保護衣、保護眼鏡などが該当します。ただし、保護具は作業者が正しく選び、正しく着用し、適切に管理して初めて効果を発揮します。設備や作業条件そのものを改善する対策に比べると、人の行動に依存する部分が大きいため、リスク低減措置の優先順位は高くありません。試験では、保護具は最後の手段に近い位置付けと考えると整理しやすいです。

(5) 作業手順の改善

不適切です。作業手順の改善は、ばく露時間を短くする、容器の開閉方法を見直す、こぼれや飛散を防ぐ手順にするなど、リスクを下げるために有効な管理的対策です。ただし、作業手順は作業者の理解や遵守に左右されます。化学物質の有害性そのものを下げたり、設備的にばく露を防いだりする対策に比べると、優先順位は下がります。作業手順の改善は重要ですが、最初に検討すべき最優先措置ではありません。

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この問題で覚えるポイント

化学物質のリスク低減措置は、危険性又は有害性そのものを除去、低減する対策を最優先に考えます。具体的には、より有害性の低い物質への代替、化学反応のプロセスや運転条件の変更などが上位に位置付けられます。次に、密閉化、局所排気装置、全体換気装置などの工学的対策を検討します。その後、作業手順の改善、立入制限、作業時間の短縮などの管理的対策を考えます。最後に、有効な保護具の使用を検討します。保護具は重要ですが、人が正しく使うことに依存するため、設備や工程そのものを改善する対策より優先順位は低くなります。試験では、リスク低減措置の優先順位として、本質的対策、工学的対策、管理的対策、保護具の順に整理しておくと正誤判断がしやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題では、密閉化や局所排気装置の設置がいかにも安全対策として強そうに見える点がひっかけです。実務上も非常に重要な措置なので、最優先だと判断したくなります。しかし、試験で問われているのは安全対策として有効かどうかではなく、リスク低減措置の優先順位です。局所排気装置や密閉化は有害物質へのばく露を減らす対策ですが、有害な反応や発生源そのものを小さくする対策ではありません。最も優先されるのは、危険性又は有害性を根本から低減する措置です。また、保護具や作業手順の改善も実務では必要ですが、人の着用状況や作業方法に左右されるため、優先順位は下がります。このテーマでは、有効な対策かどうかではなく、どの段階でリスクを下げているかを見分けることが重要です。

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