出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|労働衛生(有害業務に係るもの)第12問
問題
労働衛生対策を進めていくに当たっては、作業環境管理、作業管理及び健康管理が必要であるが、次のAからEの対策例について、作業管理に該当するものの組合せはどれか。
A 情報機器作業において、いすに深く腰をかけ、背もたれを使い、足裏全体を床につける姿勢を基本とすること。
B 有機溶剤業務を行う作業場所において、局所排気装置のフード付近の気流の風速を測定すること。
C 放射線業務において、外部放射線による実効線量を算定し、管理区域を設定すること。
D ずい道建設工事の掘削作業で、土石や岩石を湿潤な状態に保つ設備を稼働すること。
E 腰痛予防体操を行うこと。
(1) A,B
(2) A,C
(3) B,C
(4) C,D
(5) D,E
第1種衛生管理者|労働衛生管理の三管理と作業管理の具体例を解説
労働衛生管理の三管理では、作業環境そのものを改善するものが作業環境管理、作業の方法や姿勢、ばく露の受け方を管理するものが作業管理、労働者の健康状態を把握し維持するものが健康管理です。この問題では、Aの情報機器作業における作業姿勢の管理と、Cの放射線業務における外部被ばく線量の算定と管理区域設定が作業管理に該当します。答えは(2)A,Cです。
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(1) A,B
不適切です。Aは作業管理に該当しますが、Bは作業環境管理に該当します。情報機器作業で椅子に深く腰をかけ、背もたれを使い、足裏全体を床につける姿勢を基本とすることは、労働者の作業姿勢や作業方法を適切にする対策です。そのため作業管理です。一方、有機溶剤業務を行う作業場所で局所排気装置のフード付近の気流の風速を測定することは、有害物質を作業環境中から除去する設備の状態を確認するものです。これは作業場の空気環境を管理する対策なので、作業環境管理に分類されます。
(2) A,C
適切です。Aは作業姿勢を適切に保つための対策であり、Cは放射線業務における労働者のばく露管理につながる対策であるため、どちらも作業管理に該当します。作業管理は、労働者がどのような姿勢、手順、時間、方法で作業するかを管理し、有害因子へのばく露を少なくする考え方です。情報機器作業の姿勢管理は、腰痛や肩こりなどの身体負担を減らすための作業方法の管理です。また、放射線業務で外部放射線による実効線量を算定し、管理区域を設定することは、労働者が不要な被ばくを受けないように作業場所や作業行動を管理する対策です。
(3) B,C
不適切です。Cは作業管理に該当しますが、Bは作業環境管理に該当します。放射線業務で実効線量を算定し、管理区域を設定することは、放射線へのばく露を管理するための作業上の措置です。一方、局所排気装置のフード付近の気流の風速を測定することは、作業者の動作そのものではなく、作業環境中の有機溶剤蒸気を適切に排出できているかを確認するものです。設備や空気環境を管理する対策は、作業環境管理として整理します。
(4) C,D
不適切です。Cは作業管理に該当しますが、Dは作業環境管理に該当します。ずい道建設工事の掘削作業で、土石や岩石を湿潤な状態に保つ設備を稼働することは、粉じんの発散を抑えるための対策です。粉じんが空気中に飛散しにくい環境をつくることが目的なので、作業環境管理に分類されます。作業管理は、保護具の使用、作業姿勢、作業手順、ばく露時間の短縮など、労働者の作業の仕方に直接関係する管理である点を押さえておくと判断しやすくなります。
(5) D,E
不適切です。Dは作業環境管理、Eは健康管理に該当します。Dの湿潤化は、粉じんの発生や飛散を抑えて作業場の空気環境を改善する対策です。そのため作業環境管理です。Eの腰痛予防体操は、腰部に負担がかかる作業に従事する労働者の身体機能を保ち、腰痛の発生を予防するための健康保持対策です。作業方法そのものを変えるというより、労働者の健康状態を維持する目的が強いため、健康管理として扱います。
この問題で覚えるポイント
労働衛生管理の三管理は、作業環境管理、作業管理、健康管理に分けて整理します。作業環境管理は、有害物質、粉じん、騒音、暑熱、放射線などが作業場にどの程度存在するかを測定し、換気、局所排気装置、湿潤化、遮へいなどで作業環境を改善する管理です。作業管理は、労働者の作業姿勢、作業手順、作業時間、保護具の使用、ばく露を受けにくい作業方法などを管理するものです。健康管理は、健康診断、保健指導、腰痛予防体操、健康相談など、労働者の健康状態を把握し維持する対策です。三管理の分類問題では、設備や空気環境に着目していれば作業環境管理、作業のやり方や姿勢に着目していれば作業管理、労働者の身体や健康状態に着目していれば健康管理と判断すると正答につながります。
ひっかけポイント
この問題では、どの対策も労働者の健康を守るためのものなので、すべて作業管理に見えてしまう点がひっかけです。特に、局所排気装置の風速測定や粉じんを抑える湿潤化は、実際の現場作業と関係が深いため作業管理と誤解しやすいですが、作業場の空気環境を改善する対策なので作業環境管理です。また、腰痛予防体操は腰部負担作業と関係するため作業管理に見えますが、作業方法ではなく労働者の身体機能や健康維持に着目しているため健康管理です。三管理の問題では、「何を管理しているのか」を見ることが重要で、場所や設備なら作業環境、作業の方法なら作業管理、人の健康状態なら健康管理と切り分けると迷いにくくなります。
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