【第一種衛生管理者過去問】2023年10月公表問題|問2|特別教育が必要な業務と労働安全衛生法の教育義務|関係法令(有害業務)を解説

出典:第一種衛生管理者2023年(令和5年度)10月公表問題|関係法令(有害業務に係るもの)第2問

問題

次の業務に労働者を就かせるとき、法令に基づく安全又は衛生のための特別の教育を行わなければならないものはどれか。

(1) 赤外線又は紫外線にさらされる業務

(2) 有機溶剤等を用いて行う接着の業務

(3) 塩酸を用いて行う分析の業務

(4) エックス線回折装置を用いて行う分析の業務

(5) 廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務

第1種衛生管理者|特別教育が必要な業務と労働安全衛生法の教育義務を解説

この問題は、法令に基づく安全又は衛生のための特別教育が必要な業務を正しく判断できるかを問う問題です。答えは(5)です。廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務は、ダイオキシン類へのばく露のおそれがあるため、特別教育の対象になります。

下に移動する

(1) 赤外線又は紫外線にさらされる業務

不適切です。赤外線又は紫外線にさらされる業務は、眼や皮膚への障害を生じるおそれがあるため、保護具の使用や作業管理が重要です。ただし、この選択肢の表現そのものは、労働安全衛生法令で特別教育を行わなければならない業務として定められているものではありません。試験では、有害性があることと、特別教育の対象であることを分けて判断する必要があります。紫外線や赤外線という言葉から危険性を感じて選びたくなりますが、法令上の特別教育対象業務として明確に規定されているかがポイントです。

(2) 有機溶剤等を用いて行う接着の業務

不適切です。有機溶剤等を用いる接着作業では、蒸気を吸入することによる中毒や皮膚障害などの健康障害が問題となります。そのため、有機溶剤中毒予防規則に基づく換気、作業環境測定、健康診断、有機溶剤作業主任者の選任などが関係します。しかし、有機溶剤等を用いて行う接着の業務というだけで、法令上の特別教育が必要な業務には該当しません。有機溶剤に関する問題では、特別教育ではなく、作業主任者、局所排気装置、掲示、健康診断などの規制と結び付けて整理すると判断しやすくなります。

(3) 塩酸を用いて行う分析の業務

不適切です。塩酸は腐食性があり、皮膚や眼に接触すると障害を起こすおそれがあります。また、酸性ガスを吸入すると呼吸器に影響を及ぼす可能性もあります。ただし、塩酸を用いて分析を行う業務そのものは、法令で特別教育が義務付けられている業務ではありません。化学物質を扱う作業では、危険性や有害性に応じたリスクアセスメント、保護具の使用、作業手順の整備などが重要ですが、すべてが特別教育の対象になるわけではありません。試験では、物質名の危険な印象だけで判断しないことが大切です。

(4) エックス線回折装置を用いて行う分析の業務

不適切です。エックス線を扱う業務には放射線障害の防止が関係し、管理区域、被ばく線量の測定、健康診断などの知識が重要になります。しかし、エックス線回折装置を用いて行う分析の業務という表現は、この問題で問われている特別教育の対象業務には該当しません。エックス線という言葉から、特別教育が必要だと判断したくなるところですが、放射線関係では、エックス線作業主任者や被ばく管理など、別の規制と結び付けて整理する必要があります。

(5) 廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務

適切です。廃棄物の焼却施設では、焼却灰などにダイオキシン類が含まれるおそれがあります。ダイオキシン類は非常に有害性が高く、粉じんとして吸入したり、皮膚に付着したりすることで健康障害につながる可能性があります。そのため、廃棄物の焼却施設において焼却灰を取り扱う業務に労働者を就かせる場合には、法令に基づき特別教育を行う必要があります。作業者には、ダイオキシン類の有害性、作業方法、保護具の使用、汚染の防止、作業後の措置などについて理解させる必要があります。この選択肢が正解です。

下に移動する

この問題で覚えるポイント

特別教育は、危険又は有害な業務に労働者を就かせるときに、事業者があらかじめ実施しなければならない教育です。重要なのは、危険そうな業務を感覚で選ぶのではなく、法令で特別教育の対象として定められている業務かどうかで判断することです。廃棄物焼却施設で焼却灰を取り扱う業務は、ダイオキシン類へのばく露のおそれがあるため、特別教育の対象になります。有機溶剤業務は、有機溶剤中毒予防規則による作業主任者、換気、作業環境測定、健康診断などと関連しますが、接着作業というだけで特別教育の対象とは判断しません。エックス線に関する業務は、放射線障害防止や作業主任者などの規制と関連しますが、エックス線回折装置による分析業務という表現だけで特別教育対象とはなりません。塩酸などの化学物質も危険有害性はありますが、物質名だけで特別教育の対象と決めつけないことが大切です。試験では、特別教育、作業主任者、健康診断、作業環境測定、保護具の使用を混同しないように整理すると得点につながります。

下に移動する

ひっかけポイント

この問題のひっかけは、危険そうな言葉を並べて、受験者に感覚で選ばせようとしている点です。赤外線、紫外線、有機溶剤、塩酸、エックス線はいずれも健康障害や危険性を連想しやすい用語です。そのため、どれも特別教育が必要に見えてしまいます。しかし、衛生管理者試験では、危険性があることと、法令上の特別教育が必要であることは別の判断です。特に、有機溶剤やエックス線は他の法令規制と結び付きやすいため、特別教育と混同しやすい代表例です。正答に近づくには、危険な作業かどうかではなく、特別教育の対象業務として覚えるべきものかどうかを確認する意識が必要です。ダイオキシン類に関する焼却施設の焼却灰取扱いは、特別教育の対象として問われやすいので、廃棄物焼却施設、焼却灰、ダイオキシン類、特別教育をひとまとまりで覚えておくと対応しやすくなります。

次の問題へ