【第一種衛生管理者過去問】2025年10月公表問題|問44|ストレス反応とストレッサー・心身への影響|労働生理を解説

出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働生理第44問

問題

ストレスに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 外部からの刺激であるストレッサーは、その形態や程度にかかわらず、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を抑圧する。

(2) ストレスに伴う心身の反応には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどのカテコールアミンや副腎皮質ホルモンが深く関与している。

(3) 昇進、転勤、配置替えなどがストレスの原因となることがある。

(4) 職場環境における騒音、気温、湿度、悪臭などがストレスの原因となることがある。

(5) ストレスにより、自律神経系と内分泌系のバランスが崩れ、精神神経科的疾患又は内科的疾患が生じる場合がある。

第1種衛生管理者|ストレス反応とストレッサー・心身への影響を解説

ストレスでは、ストレッサーの種類、心身に起こる反応、自律神経系や内分泌系の関与を整理することが重要です。答えは(1)です。ストレッサーは外部からの刺激などによって心身に負担を与える要因ですが、その反応は単に心身の活動を抑圧するだけではありません。自律神経系や内分泌系を介して、心拍数の増加、血圧上昇、ホルモン分泌など、活動を高める反応が起こることもあります。「ストレス反応=必ず抑圧」と考えると誤りになりやすいです。

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(1) 外部からの刺激であるストレッサーは、その形態や程度にかかわらず、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を抑圧する。

不適切です。ストレッサーとは、心身にストレス反応を起こす原因となる刺激や出来事のことです。ストレッサーを受けたとき、体は自律神経系や内分泌系を介して反応しますが、その反応は一律に心身の活動を抑圧するものではありません。急な危険や緊張場面では、交感神経系が優位になり、心拍数や血圧が上がり、注意力や筋肉への血流が高まるなど、むしろ活動に備える反応が起こります。また、ストレッサーの形態や程度、受け止め方、持続時間によって反応は異なります。「形態や程度にかかわらず」「抑圧する」と断定している点が誤りです。

(2) ストレスに伴う心身の反応には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどのカテコールアミンや副腎皮質ホルモンが深く関与している。

適切です。ストレスを受けると、交感神経系や内分泌系が働きます。交感神経系の活動により、ノルアドレナリンやアドレナリンなどのカテコールアミンが関与し、心拍数増加、血圧上昇、血糖上昇などが起こります。また、ストレスが続くと、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールなども関与し、エネルギー代謝や免疫機能にも影響します。ストレス反応は気分だけの問題ではなく、神経系とホルモン系を通じた全身反応として理解することが大切です。

(3) 昇進、転勤、配置替えなどがストレスの原因となることがある。

適切です。ストレスの原因となるストレッサーは、嫌な出来事やつらい出来事だけに限りません。昇進のように一般には良い変化と受け取られる出来事でも、責任の増加、人間関係の変化、仕事内容の変化などにより、心身に負担がかかることがあります。転勤や配置替えも、環境や役割が変わるため、適応にエネルギーを必要とします。試験では、ストレスの原因は「悪い出来事だけではない」と押さえると判断しやすくなります。

(4) 職場環境における騒音、気温、湿度、悪臭などがストレスの原因となることがある。

適切です。ストレッサーには、心理的な要因だけでなく、物理的・化学的な環境要因も含まれます。職場の騒音は集中力を低下させたり、緊張や疲労を引き起こしたりします。高温、低温、多湿、乾燥などの気温や湿度の不快さも、身体的な負担となります。悪臭は不快感や吐き気、集中力の低下につながることがあります。このように、職場環境そのものがストレスの原因となる場合があります。

(5) ストレスにより、自律神経系と内分泌系のバランスが崩れ、精神神経科的疾患又は内科的疾患が生じる場合がある。

適切です。ストレスが強すぎたり長期間続いたりすると、自律神経系や内分泌系のバランスが乱れ、心身にさまざまな影響が出ることがあります。精神神経科的疾患としては、不安、抑うつ、不眠などが関係する場合があります。内科的な面では、胃腸症状、血圧上昇、頭痛、動悸、免疫機能への影響などがみられることがあります。ストレスは心の問題だけではなく、身体の病気にもつながる可能性がある点が重要です。

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この問題で覚えるポイント

ストレスを理解するうえでは、ストレッサー、ストレス反応、自律神経系、内分泌系を分けて整理することが重要です。ストレッサーとは、心身にストレス反応を起こす原因となる刺激や出来事のことで、心理的要因だけでなく、騒音、気温、湿度、悪臭などの職場環境も含まれます。昇進、転勤、配置替えのように、一見すると良い変化や通常の人事異動であっても、責任や環境の変化によってストレスの原因となることがあります。ストレス反応には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどのカテコールアミンや、副腎皮質ホルモンが深く関与します。強いストレスや長く続くストレスは、自律神経系と内分泌系のバランスを崩し、精神神経科的疾患や内科的疾患につながる場合があります。

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ひっかけポイント

この問題では、「ストレスは心身に悪影響を与える」という大まかなイメージを利用して、「心身の活動を抑圧する」と断定しているところがひっかけです。ストレスによって疲労、不眠、抑うつなどが起こることはありますが、ストレス反応の初期には交感神経系やホルモンの働きで、心拍数や血圧が上がり、体が活動に備える反応も起こります。つまり、ストレス反応は必ず抑える方向だけではありません。また、「その形態や程度にかかわらず」という絶対表現にも注意が必要です。衛生管理者試験では、「常に」「必ず」「かかわらず」といった断定表現が誤りの目印になることがあります。

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