出典:第一種衛生管理者2025年(令和7年度)10月公表問題|労働生理第37問
問題
ヒトのホルモン、その内分泌器官及びそのはたらきの組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。
(1) ホルモン:コルチゾール 内分泌器官:副腎皮質 はたらき:血糖量の増加
(2) ホルモン:アルドステロン 内分泌器官:副腎皮質 はたらき:体液中の塩類バランスの調節
(3) ホルモン:メラトニン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:体液中のカルシウムバランスの調節
(4) ホルモン:インスリン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の減少
(5) ホルモン:グルカゴン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の増加
第1種衛生管理者|ホルモンの種類と内分泌器官・生理作用の組合せを解説
ホルモンは、内分泌器官から血液中に分泌され、血糖量、体液中の塩類、カルシウム濃度、睡眠リズムなどを調節します。答えは(3)です。メラトニンは主に松果体から分泌され、睡眠と覚醒のリズムに関係するホルモンです。副甲状腺から分泌され、体液中のカルシウムバランスを調節するのは副甲状腺ホルモンです。ホルモン名、分泌器官、はたらきをセットで覚えることが大切です。
(1) ホルモン:コルチゾール 内分泌器官:副腎皮質 はたらき:血糖量の増加
適切です。コルチゾールは副腎皮質から分泌されるホルモンで、糖質コルチコイドの代表です。体がストレスを受けたときなどに分泌が高まり、肝臓での糖新生を促進して血糖量を増加させます。また、たんぱく質や脂肪の代謝にも関係し、炎症を抑える作用もあります。衛生管理者試験では、コルチゾールは「副腎皮質」「血糖量の増加」と結び付けて覚えるとよいです。
(2) ホルモン:アルドステロン 内分泌器官:副腎皮質 はたらき:体液中の塩類バランスの調節
適切です。アルドステロンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、鉱質コルチコイドの代表です。主に腎臓に作用し、ナトリウムの再吸収とカリウムの排出を調節します。ナトリウムが体内に保持されると水分も保持されやすくなるため、体液量や血圧の調節にも関係します。試験では、アルドステロンは「副腎皮質」「塩類バランスの調節」と押さえておきましょう。
(3) ホルモン:メラトニン 内分泌器官:副甲状腺 はたらき:体液中のカルシウムバランスの調節
不適切です。メラトニンは主に松果体から分泌されるホルモンで、睡眠と覚醒のリズム、いわゆる概日リズムの調節に関係します。副甲状腺から分泌され、体液中のカルシウムバランスを調節するのは副甲状腺ホルモンです。副甲状腺ホルモンは、血中カルシウム濃度を上昇させる方向に働きます。選択肢では、ホルモン名、内分泌器官、はたらきが混ざっているため誤りです。
(4) ホルモン:インスリン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の減少
適切です。インスリンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンです。血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませたり、肝臓や筋肉でグリコーゲンとして蓄えたりすることで、血糖量を低下させます。血糖量を下げる代表的なホルモンであり、糖尿病とも関係が深い重要なホルモンです。試験では、インスリンは「膵臓」「血糖量の減少」と覚えます。
(5) ホルモン:グルカゴン 内分泌器官:膵(すい)臓 はたらき:血糖量の増加
適切です。グルカゴンは膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンです。肝臓に蓄えられているグリコーゲンの分解を促し、血液中にブドウ糖を放出させることで血糖量を増加させます。インスリンとは反対の方向に働くホルモンとして理解すると整理しやすいです。血糖調節では、インスリンは血糖量を下げ、グルカゴンは血糖量を上げるという対比が重要です。
この問題で覚えるポイント
ホルモンの問題では、ホルモン名、分泌される内分泌器官、主なはたらきをセットで覚えることが重要です。コルチゾールは副腎皮質から分泌され、血糖量を増加させます。アルドステロンも副腎皮質から分泌され、ナトリウムやカリウムなどの塩類バランス、体液量、血圧の調節に関係します。インスリンは膵臓から分泌され、血糖量を減少させます。グルカゴンも膵臓から分泌され、血糖量を増加させます。メラトニンは松果体から分泌され、睡眠と覚醒のリズムに関係します。副甲状腺から分泌されるのは副甲状腺ホルモンで、体液中のカルシウムバランスを調節します。血糖調節では、インスリンとグルカゴンの対比を押さえ、副腎皮質ホルモンでは、コルチゾールとアルドステロンのはたらきを区別して覚えると正誤判断がしやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、ホルモン名、内分泌器官、はたらきのうち、一部だけ正しい情報を組み合わせて誤りを作っている点です。メラトニンは実在するホルモンであり、副甲状腺も実在する内分泌器官であり、カルシウムバランスの調節も正しい生理作用です。しかし、この三つの対応関係が誤っています。このような問題では、個々の言葉を知っているだけではなく、「どのホルモンが、どの器官から出て、何を調節するのか」を一組で確認する必要があります。また、膵臓のインスリンとグルカゴンは血糖量に対して反対の作用をもつため、入れ替え問題として出されやすいです。副腎皮質から出るホルモンも複数あるため、コルチゾールは血糖、アルドステロンは塩類バランスというように、機能で整理して覚えることが有効です。
