【ビル管過去問】令和7年度 問題13|保健所の事業を解説

問題

地域保健法に基づく保健所の事業として、最も適当なものは次のうちどれか。

(1) 生活保護に関する事項

(2) 人口動態統計に関する事項

(3) 介護認定に関する事項

(4)身体障害者に対する援護に関する事項

(5)児童虐待の防止に関する事項

ビル管過去問|保健所の事業を解説

この問題は、地域保健法に基づく保健所の役割を正しく理解しているかを問う問題です。保健所は、地域住民の健康を守るために、感染症対策、精神保健、食品衛生、環境衛生、各種統計の取りまとめなど、公衆衛生に関する広域的・専門的な業務を担っています。中でも人口動態統計は、出生、死亡、婚姻、離婚などの届出に基づく調査票が市区町村から保健所へ送られ、保健所が取りまとめて都道府県へ送付する仕組みになっており、保健所が関与する代表的な業務です。これに対して、生活保護、介護認定、身体障害者への援護、児童虐待対応は、主として福祉事務所、市町村、児童相談所などが中心となって行う業務であり、保健所の本来業務とは異なります。結論として(2)人口動態統計に関する事項が適切な選択肢です。

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(1) 生活保護に関する事項

不適切です。生活保護の相談や申請の窓口は、現在住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。生活保護は、生活に困窮した人に対して最低限度の生活を保障し、自立を支援するための制度であり、保健所ではなく福祉事務所が中心となって実施します。保健所も健康相談などで間接的に関わる場面はあり得ますが、地域保健法に基づく保健所の事業として答えるのは誤りです。

(2) 人口動態統計に関する事項

適切です。人口動態統計は、出生、死亡、死産、婚姻、離婚といった人口の動きを把握するための重要な統計です。市区町村長が届書に基づいて人口動態調査票を作成し、それを保健所長に送付し、保健所長が取りまとめて都道府県知事へ送付する仕組みとなっています。つまり、人口動態統計の作成過程には保健所が明確に位置づけられており、保健所の事業として最も適当です。試験では、「統計」という言葉から国や市町村のみの仕事だと思って外してしまうことがありますが、実際には保健所が集約の中間機関として重要な役割を担っています。

(3) 介護認定に関する事項

不適切です。介護保険は市町村および特別区が行う制度であり、要介護認定も市町村が申請者について行います。認定調査や主治医意見書、介護認定審査会による審査判定を経て、市町村が最終的に要介護認定を行う仕組みです。そのため、介護認定は保健所の事業ではなく、市町村の介護保険行政に属する業務です。保健や福祉に関係するため保健所の仕事に見えやすいですが、制度上の実施主体は市町村であることが重要です。

(4)身体障害者に対する援護に関する事項

不適切です。身体障害者に対する援護は、障害福祉行政の分野に属し、市町村や都道府県が中心となって実施します。都道府県は専門的な相談や指導、市町村への援助などを行い、市町村は障害福祉サービスや地域生活支援に関する実務を担います。したがって、これは公衆衛生を主とする保健所の事業ではなく、障害福祉部門の業務として理解するべきです。保健所と福祉行政の境界があいまいに感じられることがありますが、試験では「健康を守る保健所」と「生活を支える福祉部門」を分けて整理することが大切です。

(5)児童虐待の防止に関する事項

不適切です。児童虐待の防止に関する通告先としては、市町村、福祉事務所、児童相談所などが法律上位置づけられています。特に虐待対応の中核は児童相談所であり、子どもの安全確認や一時保護、継続支援などを担います。保健所が母子保健などを通じて虐待の早期発見に関わることはありますが、地域保健法に基づく保健所の事業として直接答えるのは適切ではありません。児童虐待防止は「子ども家庭福祉」の領域の問題として押さえると判断しやすくなります。

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この問題で覚えるポイント

保健所は、公衆衛生に関する広域的・専門的な機関であり、感染症対策、衛生行政、精神保健、各種保健統計の取りまとめなどを担います。人口動態統計は、市区町村が作成した調査票を保健所が取りまとめるため、保健所の事業に含まれます。生活保護は福祉事務所、介護認定は市町村、身体障害者への援護は障害福祉部門、児童虐待防止は市町村や児童相談所が中心です。保健所の業務かどうか迷ったときは、「公衆衛生か」「福祉制度の実施か」で整理すると正答しやすくなります。

ひっかけポイント

「健康」や「福祉」に関係する業務はすべて保健所の仕事だと思い込むと間違えやすいです。保健所はあくまで地域保健法に基づく公衆衛生機関であり、福祉給付や認定事務の中心ではありません。特に、介護認定を保健所の業務と誤認しやすいですが、実施主体は市町村です。また、児童虐待は母子保健と結びつけて保健所と考えがちですが、法的な中核機関は児童相談所です。人口動態統計も一見すると国の統計業務だけに見えますが、実務では保健所が調査票の取りまとめを担うため、ここが正解になります。

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