出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|ねずみ、昆虫等の防除第177問
問題
防除に用いる機器類と薬剤に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 隙間や割れ目等の細かな部分に粉剤を処理する場合には、電動散粉機を使用する。
(2) 噴霧器のノズルから噴射される薬液の噴射パターンの一つとして、扇型がある。
(3) ミスト機は、汚水槽の蚊やチョウバエの防除に使用される。
(4) 液化炭酸ガス製剤には、有機溶媒や水は使用されていない。
(5) 粘着式殺虫機は、昆虫の死骸が周囲に落ちることが少ない。
ビル管過去問|防除機器と薬剤の基礎知識を解説
この問題は、防除に使われる機器や薬剤の特徴と用途について、正しく理解できているかを問う問題です。噴霧器、散粉機、ミスト機、液化炭酸ガス製剤、粘着式殺虫機は、いずれも現場で使われる代表的な防除資機材ですが、それぞれ適した使用場面や構造上の特徴が異なります。正答は(1)で、細かな隙間や割れ目に粉剤を処理する場面では、一般に手動式の散粉器などを用いて少量を的確に処理するのが基本であり、電動散粉機が適するとはいえないためです。他の選択肢は、防除機器や薬剤の基本的な性質として適切な内容です。現場では、機器の名称だけでなく、どの場所にどの処理法が向くのかまで結び付けて覚えることが大切です。

(1) 隙間や割れ目等の細かな部分に粉剤を処理する場合には、電動散粉機を使用する。
不適切です。粉剤を隙間や割れ目などの限られた場所に処理する場合は、必要最小限の量を狙った部分へ確実に入れることが重要です。このような精密な処理には、一般に手動式の散粉器や専用のダスターが適しています。電動散粉機は広い範囲へ粉剤を散布する用途には向いていますが、細かな隙間に対しては粉が飛散しやすく、必要以上に周囲へ拡散するおそれがあります。そのため、細部への局所処理に電動散粉機を用いるとする記述は不適当です。
(2) 噴霧器のノズルから噴射される薬液の噴射パターンの一つとして、扇型がある。
適切です。噴霧器のノズルにはいくつかの噴射パターンがあり、その一つが扇型です。扇型は、薬液を帯状に広げて噴射するため、壁面や床面、残留処理が必要な面に比較的均一に薬液を付着させやすい特徴があります。防除では、薬剤の種類だけでなく、どのような形で噴射されるかも効果に大きく影響します。噴射パターンを理解しておくことで、対象害虫の生息場所に応じた適切な処理ができるようになります。
(3) ミスト機は、汚水槽の蚊やチョウバエの防除に使用される。
適切です。ミスト機は、薬液をきわめて細かい粒子にして空間に拡散させる機器であり、閉鎖的な空間や槽内などで飛翔昆虫を対象とする防除に用いられます。汚水槽では、蚊やチョウバエが発生しやすく、こうした場所では細かい霧状の薬液を行き渡らせる処理が有効です。もちろん、発生源対策や清掃管理も重要ですが、機器としての用途の説明としては適切です。試験では、機器の名称と対象害虫、使用場所の組合せがよく問われますので、用途をセットで覚えておくとよいです。
(4) 液化炭酸ガス製剤には、有機溶媒や水は使用されていない。
適切です。液化炭酸ガス製剤は、液化した炭酸ガスの圧力を利用して有効成分を噴射する製剤であり、通常の油剤や乳剤のように有機溶媒や水を媒体として用いない点に特徴があります。このため、処理後のべたつきや残留が少ないことがあり、電気設備周辺などでも用途によっては利点があります。ただし、製剤ごとの性質や適用場所には注意が必要です。試験では、薬剤の有効成分だけでなく、製剤の仕組みや媒体の有無といった基礎知識も問われます。
(5) 粘着式殺虫機は、昆虫の死骸が周囲に落ちることが少ない。
適切です。粘着式殺虫機は、光で昆虫を誘引し、粘着シートに捕らえる構造のため、電撃殺虫機のように昆虫の破片や死骸が周囲に飛散しにくい特徴があります。そのため、食品を扱う場所や衛生面への配慮が強く求められる場所で用いられることがあります。防除の現場では、単に虫を減らせばよいのではなく、周囲を汚染しにくいことも重要です。この記述は、粘着式殺虫機の長所を正しく述べています。
この問題で覚えるポイント
防除機器は、それぞれの構造と用途を結び付けて理解することが大切です。粉剤を狭い隙間や割れ目に入れる処理では、少量を局所に確実に届かせる器具が適しており、広範囲向けの機器とは使い分けが必要です。噴霧器はノズルによって噴射パターンが異なり、扇型は面への均一処理に向いています。ミスト機は薬液を微細な粒子にして空間へ拡散させるため、汚水槽などで発生する蚊やチョウバエの防除に利用されます。液化炭酸ガス製剤は、有機溶媒や水を媒体としない点が特徴で、製剤の性質を問う問題で頻出です。粘着式殺虫機は、昆虫を粘着板で捕獲するため、死骸や虫片の飛散が少なく、衛生管理上の利点があります。試験対策としては、機器名、薬剤・製剤の特徴、適用場所、対象害虫を関連づけて整理しておくことが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、機器の名称から何となく用途を広く想像してしまう受験者心理を狙っている点にあります。特に散粉機は粉剤をまく機械だから細かな隙間にも使えそうだと考えやすいのですが、実際には局所処理と広範囲処理では求められる性能が異なります。また、どの選択肢も一見もっともらしく、防除の現場を知らないと判断しにくい内容になっています。こうした問題では、機器の名前だけで判断せず、どこに、何を、どのように処理するのかという使用場面まで思い浮かべることが重要です。試験では、一部だけ正しい知識に引っ張られて全体を正しいと誤認させるパターンが多いため、用途の細かな適否まで確認する癖をつけると得点しやすくなります。