出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|ねずみ、昆虫等の防除第167問
問題
蚊の主要な発生源や生態に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) コガタアカイエカは、水田や湿地等の水域に発生する。
(2) ヒトスジシマカは、小型の人工容器や雨水ますに発生する。
(3) アカイエカは、地下の浄化槽や湧水槽に発生する。
(4) チカイエカは、最初の産卵を無吸血で行うことができる。
(5) アカイエカは、夜間吸血性を示す。
ビル管過去問|蚊の発生源と生態を解説
この問題は、蚊の種類ごとの主な発生源や吸血行動、産卵の特徴を正しく区別できるかを問う問題です。蚊は見た目が似ていても、発生しやすい場所や活動時間帯、生理的な性質が異なります。そのため、「どの蚊が、どこで発生し、どのように行動するか」をセットで覚えることが重要です。正しい整理としては、コガタアカイエカは水田や湿地などの比較的大きな水域に発生し、ヒトスジシマカは小型の人工容器や雨水ますに発生します。チカイエカは地下の汚水槽や湧水槽、浄化槽などに発生し、最初の産卵を無吸血で行える性質があります。一方、アカイエカは主に道路側溝や雨水ます、有機物の多い汚水だまりなどに発生するため、「地下の浄化槽や湧水槽に発生する」とした記述は誤りです。したがって、最も不適当なのは(3)です。

(1) コガタアカイエカは、水田や湿地等の水域に発生する。
適切です。コガタアカイエカは、水田、湿地、用水路など、屋外の比較的広い水域を主要な発生源とする蚊として知られています。ビル管理の実務では、建物内で問題になりやすいチカイエカやアカイエカに意識が向きがちですが、コガタアカイエカはそれとは異なり、農地や湿地環境と結びつきが強い種類です。この違いを押さえておくと、発生源の推定を誤りにくくなります。
(2) ヒトスジシマカは、小型の人工容器や雨水ますに発生する。
適切です。ヒトスジシマカは、植木鉢の受け皿、バケツ、古タイヤ、空き缶、プラスチック容器、雨水ますなど、小さな水たまりを発生源とします。つまり、大きな池や水路ではなく、身近な生活環境の中にできる少量の滞留水が重要な発生源です。試験では「小型容器に発生する」という点が頻出ですので、屋外の人工容器にたまった雨水と結び付けて覚えると整理しやすいです。
(3) アカイエカは、地下の浄化槽や湧水槽に発生する。
不適切です。地下の浄化槽や湧水槽、ビルの汚水槽などに発生しやすいのは、アカイエカではなくチカイエカです。アカイエカは主に道路側溝、雨水ます、有機物に富んだ汚水だまりなどを発生源とします。この選択肢は、アカイエカとチカイエカの発生源を入れ替えており、そこが誤りです。名称が似ているため混同しやすいですが、地上の側溝や雨水ますはアカイエカ、地下の閉鎖的な汚水槽や浄化槽はチカイエカ、という対比で覚えると判断しやすくなります。
(4) チカイエカは、最初の産卵を無吸血で行うことができる。
適切です。チカイエカには、最初の産卵を吸血しなくても行える性質があります。これは無吸血産卵と呼ばれる重要な特徴で、チカイエカを他の蚊と区別する手掛かりになります。すべての蚊が産卵前に必ず吸血するわけではない、という点が試験のひっかけになりやすいところです。特にチカイエカは地下空間に適応した生態と合わせて、この無吸血産卵の性質がよく問われます。
(5) アカイエカは、夜間吸血性を示す。
適切です。アカイエカは夜間に吸血活動を行う性質を持つ蚊です。これに対して、ヒトスジシマカは朝方から夕方にかけて活動しやすく、昼間に人を刺す蚊として知られています。したがって、蚊の活動時間帯を整理するときは、アカイエカは夜間吸血性、ヒトスジシマカは昼間活動性という対比で覚えると、類似問題にも対応しやすくなります。
この問題で覚えるポイント
蚊の問題では、種ごとの発生源を正確に対応させることが最重要です。コガタアカイエカは水田や湿地などの広い水域、ヒトスジシマカは雨水ますや小型人工容器、アカイエカは道路側溝や雨水ます、有機物の多い汚水だまり、チカイエカは地下の汚水槽、湧水槽、浄化槽などを主な発生源とします。特にアカイエカとチカイエカは名称が似ているため混同しやすいですが、地上の開放的な汚水域はアカイエカ、地下の閉鎖的な槽類はチカイエカと整理すると覚えやすいです。さらに、ヒトスジシマカは小さな水たまりに発生し、昼間に活動しやすいこと、アカイエカは夜間吸血性を示すことも重要です。加えて、チカイエカは最初の産卵を無吸血で行える点が特徴であり、単に発生源だけでなく生態的特徴まで含めて覚えることが、正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、名前の似たアカイエカとチカイエカの発生源を意図的に入れ替えている点です。受験者は「どちらもイエカだから似た場所に発生するだろう」と考えてしまいやすく、細かい生息環境の違いを見落としがちです。また、ヒトスジシマカについても、蚊だから大きな水域に発生すると思い込むと誤りますが、実際には小型人工容器のような少量の水が重要な発生源です。さらに、蚊は吸血してから産卵するものという日常的なイメージに引っ張られると、チカイエカの無吸血産卵を誤りと判断してしまいます。つまりこの種の問題では、「蚊はだいたい同じ」とまとめて覚えると危険であり、発生源、活動時間、産卵の特徴を種類ごとに切り分けて理解することが必要です。
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