出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|清掃第159問
問題
廃棄物処理法における一般廃棄物の処理に関する次の条文の( )内に入る語句の組合せとして、正しいものはどれか。
( ア )は、その区域内において事業活動に伴い多量の一般廃棄物を生ずる土地又は建物の( イ )に対し、当該一般廃棄物の( ウ )に関する計画の作成、当該一般廃棄物を運搬すべき場所及びその運搬の方法その他必要な事項を指示することができる。
(1) ア:都道府県知事 イ:占有者 ウ:減量
(2) ア:都道府県知事 イ:所有者 ウ:適正処理
(3) ア:市町村長 イ:占有者 ウ:減量
(4) ア:市町村長 イ:所有者 ウ:適正処理
(5) ア:市町村長 イ:所有者 ウ:減量
ビル管過去問|一般廃棄物処理計画の基礎|市町村長の指示・占有者・減量計画を解説
この問題は、廃棄物処理法における一般廃棄物の処理責任と、市町村長がどの相手にどのような内容を指示できるかを問うものです。条文の基本表現を正確に押さえているかが試されており、正しい選択肢は(3)です。ポイントは、一般廃棄物については市町村が中心的な役割を担うこと、多量の一般廃棄物を生ずる土地又は建物については占有者に対して、減量に関する計画の作成などを指示できることです。所有者ではなく占有者であること、適正処理ではなく減量であることを区別できるかが正答の分かれ目になります。

(1) ア:都道府県知事 イ:占有者 ウ:減量
不適切です。一般廃棄物の処理について、その区域内で必要な指示を行う主体は都道府県知事ではなく市町村長です。廃棄物処理法では、一般廃棄物は住民生活や地域の清潔保持と密接に関係するため、市町村が処理の責任を負う仕組みになっています。この選択肢は、イとウの内容自体は条文に近いものの、アが誤っているため不正解です。試験では、このように一部が正しく見えても、主体が違えば全体として誤りになる点に注意が必要です。
(2) ア:都道府県知事 イ:所有者 ウ:適正処理
不適切です。まず、一般廃棄物について指示権限を持つのは都道府県知事ではなく市町村長です。さらに、条文では指示の相手方は土地又は建物の所有者ではなく占有者とされています。占有者とは、現にその土地や建物を使用し、事業活動を行っている者を指すため、実際に一般廃棄物を多量に発生させている当事者に直接対応を求める趣旨です。加えて、ここで求められる計画は適正処理に関するものではなく減量に関する計画です。この選択肢は三つの語句のうち二つ以上が条文と異なっており、明確に誤りです。
(3) ア:市町村長 イ:占有者 ウ:減量
適切です。廃棄物処理法では、市町村長は、その区域内で事業活動に伴い多量の一般廃棄物を生ずる土地又は建物の占有者に対し、当該一般廃棄物の減量に関する計画の作成や、運搬すべき場所、運搬の方法など必要な事項を指示することができるとされています。これは、一般廃棄物の発生抑制や計画的な処理を進めるための規定です。一般廃棄物は市町村処理が原則であるため、その管理権限と調整権限を持つ市町村長が、実際に廃棄物を多量に発生させている占有者に対して減量を促す構造になっています。条文の主体、相手方、内容の三点がすべて正確に一致しているため、これが正解です。
(4) ア:市町村長 イ:所有者 ウ:適正処理
不適切です。アの市町村長は正しいですが、イとウが誤っています。まず、指示の対象となるのは所有者ではなく占有者です。なぜなら、一般廃棄物を日常的に発生させるのは、その土地や建物を現に使って事業を行っている者であることが通常だからです。また、条文上は一般廃棄物の減量に関する計画の作成を指示できるのであって、ここで直接示されている語は適正処理ではありません。適正処理という言葉自体は廃棄物行政全体では重要ですが、この条文の穴埋めとしては不正確です。もっともらしい用語に置き換えてあるため、読み慣れていないと誤って選びやすい選択肢です。
(5) ア:市町村長 イ:所有者 ウ:減量
不適切です。アの市町村長、ウの減量は正しい方向ですが、イの所有者が誤りです。条文では、指示の対象は土地又は建物の占有者とされています。ここでの占有者は、現にその場所で事業活動を行い、多量の一般廃棄物を発生させている主体です。所有者が必ずしも廃棄物の発生主体とは限らないため、法は実態に即して占有者を対象にしています。この選択肢は一見かなり正しそうに見えますが、法文の細かな語句の違いを問う典型的なひっかけです。
この問題で覚えるポイント
一般廃棄物の処理は市町村が中心となって担うため、関係する指示や処理計画の基本主体は市町村長です。一方、産業廃棄物では排出事業者責任や都道府県知事の許可制度が前面に出るため、一般廃棄物と産業廃棄物で行政主体が異なる点を整理して覚えることが重要です。また、多量の一般廃棄物を生ずる土地又は建物について、市町村長が指示できる相手は所有者ではなく占有者です。法は実際にその建物や土地を使って事業活動を行い、一般廃棄物を生じさせている者に着目しているからです。さらに、指示できる内容は一般廃棄物の減量に関する計画の作成であり、単に処理全般や適正処理という広い言葉ではありません。試験では、誰が指示するのか、誰に対するのか、何についての計画なのか、という三点をセットで押さえると正誤判断が安定します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、似た立場や似た用語を入れ替えて、条文をなんとなく覚えている受験者を迷わせる点にあります。まず、都道府県知事と市町村長の混同が典型です。廃棄物処理法では両者とも登場するため、一般廃棄物でも知事が関与しそうだと感じてしまいやすいですが、一般廃棄物処理の基本責任は市町村にあります。次に、所有者と占有者の混同もよく狙われます。日常感覚では建物の責任者は所有者と思いがちですが、法は実際に使用して廃棄物を出している占有者を対象にしています。さらに、減量と適正処理の混同も要注意です。適正処理は廃棄物行政全体でよく使う広い概念なので正しく見えやすいですが、この条文で問われているのは減量に関する計画です。このように、広く正しそうな言葉に引っ張られず、条文の主体、相手方、目的語を一語ずつ確認する習慣が大切です。