出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物の環境衛生第44問
問題
5%溶液として市販されている次亜塩素酸ナトリウムを水で希釈して100mg/Lの濃度の溶液を10L作る場合、必要となる5%溶液の量として、最も近いものは次のうちどれか。
(1) 0.2mL
(2) 4mL
(3) 20mL
(4) 40mL
(5) 200mL
ビル管過去問|次亜塩素酸ナトリウム希釈計算|100mg/L消毒液の作り方を解説
この問題は、次亜塩素酸ナトリウムの原液を目的の濃度に希釈するときの基本的な計算を問う問題です。試験では、%表示の原液濃度をmg/Lやppmに換算し、必要量を求める計算が頻出です。5%溶液は非常に濃いため、100mg/Lのような低い濃度の消毒液を作る場合に必要となる量は意外と少なくなります。正しい選択肢は(3)の20mLです。濃度と液量の関係を落ち着いて整理できれば、確実に得点しやすい問題です。
(1) 0.2mL
不適切です。5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液は、濃度に直すと約50,000mg/Lです。ここから100mg/Lの溶液を10L作るには、最終的に必要な有効成分量は100mg/L×10Lで1,000mgとなります。原液1Lに50,000mg含まれているので、1mLあたりでは50mg含まれることになります。したがって1,000mgを得るには1,000÷50=20mL必要です。0.2mLでは有効成分量が10mgしかなく、必要量にまったく足りません。
(2) 4mL
不適切です。4mLの5%溶液に含まれる有効成分量は、1mLあたり50mgとして計算すると、4×50で200mgです。しかし、作りたい溶液は100mg/Lの濃度で10Lなので、必要な有効成分量は合計1,000mgです。4mLではその5分の1しか確保できず、濃度は目標よりかなり低くなってしまいます。小さな数字なので一見もっともらしく見えますが、10Lという作成量を考えると不足であることが分かります。
(3) 20mL
適切です。5%溶液は100mL中に5g、つまり1L中では50gの次亜塩素酸ナトリウムを含むと考えます。これをmgに直すと50,000mg/Lです。作りたい液は100mg/Lを10Lなので、必要な有効成分量は100×10=1,000mgです。原液は1mLあたり50mg含むため、必要な原液量は1,000÷50=20mLになります。濃度の単位をそろえ、最終的に必要な有効成分量から逆算するのが正攻法です。
(4) 40mL
不適切です。40mLの原液を使うと、含まれる有効成分量は40×50で2,000mgとなります。これを10Lに希釈すると、2,000mg÷10L=200mg/Lとなり、目標の100mg/Lの2倍になってしまいます。希釈計算では、原液量が2倍になれば最終濃度もほぼ2倍になるため、40mLは明らかに多すぎます。20mLという正答の近くにあるため、計算途中で倍半分を取り違えると選びやすい選択肢です。
(5) 200mL
不適切です。200mLの5%溶液に含まれる有効成分量は、200×50で10,000mgです。これを10Lに希釈すると、10,000mg÷10L=1,000mg/Lとなり、目標の100mg/Lの10倍です。%濃度の感覚だけで大まかに判断すると多めの量を選びたくなりますが、5%溶液は消毒用途ではかなり高濃度の原液です。そのため、100mg/L程度の希釈液を作るときには、必要量は200mLのような大きな量にはなりません。
この問題で覚えるポイント
次亜塩素酸ナトリウムの希釈計算では、まず%表示をmg/Lに直せることが重要です。5%は100mL中5gなので、1L中では50g、すなわち50,000mg/Lです。試験ではppmとmg/Lを同じものとして扱う計算がよく出るため、100mg/Lは100ppmと同じ感覚で理解しておくと便利です。次に、必要な有効成分量は、目標濃度に作成量を掛けて求めます。今回は100mg/Lの液を10L作るので、必要量は1,000mgです。そこから原液1mLあたりの有効成分量で割れば、必要な原液量が求められます。つまり、濃度をそろえる、必要総量を出す、原液量に戻す、という順序が基本です。原則として、濃い原液から薄い消毒液を作るほど、必要な原液量は少なくなります。逆に、作成量が大きくなるほど必要な原液量は増えます。計算式としては、濃度×量が保存される関係を使って、原液濃度×原液量=希釈後濃度×希釈後量として解く方法も有効です。この形を使えるようにしておくと、類題にも対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題で引っかかりやすいのは、%とmg/Lの換算をあいまいなまま進めてしまうことです。5%をそのまま5mg/Lのように小さく捉えてしまうと、必要量の見当が大きく狂います。また、100mg/Lという数字だけに目が向いて、10L作るという条件を見落とす受験者も多いです。その場合、必要な有効成分量を100mgだけと誤認し、原液量を極端に少なく見積もってしまいます。さらに、計算途中で1mLあたりの有効成分量を50mgではなく5mgや500mgと取り違えるミスもよくあります。これは単位変換を飛ばして暗算しようとすると起こりやすい誤りです。もう一つの罠は、消毒液という言葉から日常感覚で量を多めに想像してしまうことです。しかし、5%次亜塩素酸ナトリウムは十分に高濃度の原液なので、100mg/L程度の溶液を10L作る場合でも必要量は20mL程度にとどまります。試験では、感覚ではなく、単位をそろえて順番に計算する姿勢が得点につながります。
