【ビル管過去問】令和3年度 問題45|滅菌方法の種類|γ線・ろ過・高圧蒸気・紫外線の違いを解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物の環境衛生第45問

問題

滅菌に用いられるものとして、最も不適当なものは次のうちどれか。

(1) γ線

(2) ろ過

(3) エチレンオキサイドガス

(4) 高圧蒸気

(5) 紫外線

ビル管過去問|滅菌方法の種類|γ線・ろ過・高圧蒸気・紫外線の違いを解説

この問題は、各種の滅菌法の特徴と適用範囲を理解しているかを問う問題です。滅菌とは、細菌や真菌だけでなく、芽胞を含めたすべての微生物を死滅または除去することをいいます。正解は(5)紫外線です。紫外線には殺菌作用はありますが、一般に物体全体を確実に滅菌する方法としては不十分です。一方、γ線、ろ過、エチレンオキサイドガス、高圧蒸気は、条件に応じて滅菌に用いられる代表的な方法です。滅菌と消毒の違いを正確に押さえることが大切です。

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(1) γ線

適切です。γ線は放射線滅菌に用いられる代表的な方法です。強い透過力をもち、包装したままの医療器具や使い捨て製品の内部まで作用しやすいという特徴があります。そのため、注射器やカテーテルなど、熱に弱い医療材料の滅菌に広く利用されます。微生物のDNAを損傷させて増殖できなくすることで、確実な滅菌効果を得ます。

(2) ろ過

適切です。ろ過は、液体や気体の中から微生物を物理的に除去する方法であり、滅菌に用いられます。熱をかけると変質してしまう薬液や培地などに対して有効です。膜ろ過では、微生物を通しにくい微細な孔をもつフィルターを使って除去します。微生物を殺すのではなく取り除く方法ですが、無菌化を目的として用いられるため、滅菌法の一つとして扱われます。

(3) エチレンオキサイドガス

適切です。エチレンオキサイドガスは、低温で処理できるガス滅菌法です。熱や湿気に弱い精密機器、プラスチック製品、内視鏡関連器材などの滅菌に適しています。ガスが細かい部分まで入り込みやすく、複雑な構造の器具にも対応しやすいのが特徴です。ただし、毒性があるため、処理後は残留ガスを十分に除去する工程が必要です。

(4) 高圧蒸気

適切です。高圧蒸気滅菌は、飽和水蒸気を高温高圧で作用させる方法で、最も基本的で信頼性の高い滅菌法の一つです。一般に121℃で15分程度、またはそれに準じた条件で行われます。微生物のたんぱく質を変性させ、芽胞を含む微生物を死滅させることができます。金属器具や耐熱性のある器材の滅菌に広く使われます。

(5) 紫外線

不適切です。紫外線には微生物の増殖を抑える作用があり、表面や空気、水の一部に対する殺菌には利用されます。しかし、透過力が弱く、影になった部分や物体の内部には十分に届きません。そのため、すべての微生物や芽胞を確実に処理する滅菌法としては不十分です。紫外線は消毒や殺菌の補助としては有用ですが、厳密な意味での滅菌に用いる方法としては最も不適当です。

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この問題で覚えるポイント

滅菌とは、芽胞を含むすべての微生物を死滅または除去することです。これに対し、消毒は病原性微生物を害のないレベルまで減らすことであり、両者は同じではありません。高圧蒸気滅菌は、耐熱性のある器具に用いる基本的な方法で、確実性が高いことが重要です。エチレンオキサイドガス滅菌は、熱に弱い器材に適していますが、毒性と残留ガスに注意が必要です。γ線は透過力が高く、使い捨て医療材料などの滅菌に適しています。ろ過は、熱で変質する液体や気体を無菌化する際に用いられ、微生物を物理的に除去する方法です。紫外線は表面殺菌には役立ちますが、透過力が弱いため、確実な滅菌法とはいえません。試験では、滅菌できる方法と、消毒や殺菌にとどまる方法の違いを整理して覚えることが重要です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、日常的に「紫外線で除菌」「紫外線殺菌灯」などの表現を目にするため、紫外線を滅菌法だと思い込みやすい点にあります。たしかに紫外線には殺菌作用がありますが、滅菌に必要な「すべての微生物を確実に処理すること」とは別です。つまり、一部に効果があることと、滅菌法として成立することを混同させるのが作問者の狙いです。また、ろ過は微生物を殺さないため迷いやすいですが、無菌化を目的として微生物を除去する方法として滅菌に用いられます。このように、「殺す方法だけが滅菌ではない」という点も、受験者が誤りやすい思考の罠です。

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