【ビル管過去問】令和3年度 問題39|ヒトと水分代謝|体内水分量・必要摂取量・脱水症状を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和3年度(2021年)|建築物の環境衛生第39問

問題

ヒトと水に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。

(1) 通常の状態で、水が最も多く排泄されるのは尿であり、その次は皮膚からの蒸泄である。

(2) 成人の体内の水分量は、体重の約80%である。

(3) 水分欠乏が体重の5%以上で、喉の渇きを感じる。

(4) ヒトが生理的に必要とする水分量は、成人の場合、1日当たり約3リットルである。

(5) 体内では細胞内液より細胞外液の方が多い。

ビル管過去問|ヒトと水分代謝|体内水分量・必要摂取量・脱水症状を解説

この問題は、ヒトの体内水分量、水の出入り、水分欠乏時の症状、体液区分の基本知識を問う問題です。正しいのは、通常の状態で最も多く水が排泄されるのは尿で、その次は皮膚からの蒸泄であるという記述です。体内水分量の割合、脱水時の症状が出る目安、生理的必要水分量、細胞内液と細胞外液の大小関係は、いずれも試験で頻出の基本事項ですので、数字と概念を正確に整理しておくことが大切です。

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(1) 通常の状態で、水が最も多く排泄されるのは尿であり、その次は皮膚からの蒸泄である。

適切です。通常、成人では1日に体外へ出ていく水分のうち、最も多いのは尿です。腎臓は体内の水分量や電解質のバランスを保つために、余分な水分を尿として排泄します。その次に多いのが皮膚からの蒸泄です。蒸泄とは、汗として意識的に出るものだけでなく、不感蒸泄と呼ばれる、気づかないうちに皮膚や呼気から失われる水分も含みます。便からの排泄量は比較的少ないため、この記述は正しいです。

(2) 成人の体内の水分量は、体重の約80%である。

不適切です。成人の体内水分量は、一般に体重の約60%程度です。乳児では体内水分量の割合が高く、約70~80%に達しますが、成人ではそこまで高くありません。加齢に伴って体脂肪の割合が増えると、体内水分量の割合はさらに低下する傾向があります。80%という数字は乳児の値に近く、成人に当てはめている点が誤りです。

(3) 水分欠乏が体重の5%以上で、喉の渇きを感じる。

不適切です。喉の渇きは、もっと軽い段階の水分不足でも生じます。一般に体重の1~2%程度の水分が失われた段階で、口渇感や軽い脱水症状が現れ始めます。体重の5%以上の水分欠乏になると、かなり進んだ脱水状態であり、喉の渇きだけでなく、倦怠感、頭痛、集中力低下、循環への影響などもみられやすくなります。したがって、喉の渇きを感じる目安として5%以上とするのは遅すぎます。

(4) ヒトが生理的に必要とする水分量は、成人の場合、1日当たり約3リットルである。

不適切です。成人が1日に必要とする水分量は、一般に約2.5リットル前後とされます。このうち、飲料水として直接摂取する量だけでなく、食物中の水分や、体内で栄養素が代謝される際に生じる代謝水も含まれます。たしかに状況によっては3リットル程度必要になることもありますが、通常の生理的必要量として一律に約3リットルとするのはやや大きめであり、標準的な知識としては不適切です。

(5) 体内では細胞内液より細胞外液の方が多い。

不適切です。体液は大きく細胞内液と細胞外液に分けられますが、量として多いのは細胞内液です。体重に対する割合の目安では、成人の総水分量は約60%で、そのうち細胞内液が約40%、細胞外液が約20%です。つまり、細胞内液は細胞外液のおよそ2倍あります。この大小関係は体液区分の基本なので、しっかり覚えておく必要があります。

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この問題で覚えるポイント

ヒトの体内水分量は、成人で体重の約60%が基本です。乳児は約70~80%と高く、高齢者では低くなる傾向があります。体液は細胞内液と細胞外液に分けられ、細胞内液が約40%、細胞外液が約20%で、細胞内液の方が多いことが重要です。水分の排泄では、通常は尿が最も多く、次いで皮膚や呼気からの不感蒸泄が続き、便からの排泄は少量です。必要水分量は成人で1日約2.5リットル前後が目安であり、飲み水だけでなく食物由来の水分や代謝水も含めて考えます。脱水では、まず口渇感が早い段階で現れ、さらに進行すると全身症状が強くなるため、軽い脱水の段階での変化と重度脱水の段階を区別して覚えることが正誤判断につながります。

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ひっかけポイント

この問題では、日常感覚で何となく正しそうに見える数字や表現に惑わされないことが大切です。特に、乳児の体内水分量を成人にすり替える出題や、軽い脱水で現れる症状と高度脱水で現れる症状を混同させる出題はよくあります。また、水分必要量についても、飲水量だけを思い浮かべると数字を大きく見積もりやすくなります。さらに、体液の区分では、細胞外液という言葉の印象から多そうに感じてしまう受験者もいますが、実際には細胞内液の方が多いです。このように、一部だけ聞き覚えのある数字や言葉を使って、全体としては誤りにしているのが典型的なひっかけです。数字は対象が成人か乳児か、通常時か異常時かまで含めてセットで覚えることが重要です。

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