出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|清掃第146問
問題
清掃対象となる床材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 疎水性の床材には、油溶性物質が付着しやすい。
(2) 汚れは平滑緻密な表面には付着しにくく、付着しても除去しやすいが、凹凸が多くて粗い表面には付着しやすく、付着すると除去しにくい。
(3) 汚れが内部にしみ込みやすい吸水性の床材や、汚れの付着によって錆(さび)やカビ等の変質を生じやすいものは後の処理が困難である。
(4) カーペットに洗剤分を残すことにより、汚れの予防効果が得られる。
(5) 汚れの除去には水を使用することが多いため、水に耐える材質のものは清掃しやすいことが多い。
ビル管過去問|床材の性質と汚れの付着 清掃しやすい床材の特徴を解説
この問題は、床材の表面性状や材質の違いによって、汚れの付きやすさや落としやすさがどう変わるかを問う問題です。清掃しやすい床材の基本は、平滑で緻密であり、水や洗剤に耐え、汚れが内部に浸透しにくいことです。一方で、繊維質で凹凸が多い床材や、吸水性の高い床材は汚れを抱え込みやすく、清掃管理が難しくなります。正答は、カーペットに洗剤分を残すことが汚れの予防になるとする記述です。実際には洗剤分の残留は再汚染の原因となるため、不適切です。他の記述は、床材の性質と汚れの付着・除去の関係を正しく述べています。
(1) 疎水性の床材には、油溶性物質が付着しやすい。
適切です。疎水性とは、水となじみにくい性質をいいます。このような表面は、同じく水になじみにくい油分や油溶性の汚れと親和しやすく、付着しやすくなります。たとえば、油汚れは水だけでは落ちにくく、洗剤の力を借りて除去する必要があることが多いです。床材の表面性質を理解することは、汚れの種類に応じた清掃方法を選ぶうえで重要です。
(2) 汚れは平滑緻密な表面には付着しにくく、付着しても除去しやすいが、凹凸が多くて粗い表面には付着しやすく、付着すると除去しにくい。
適切です。表面が平らで細かく詰まった床材は、汚れが入り込む隙間が少ないため、付着しにくく清掃もしやすいです。反対に、表面に凹凸やざらつきが多いと、その隙間にほこりや泥、油分などが入り込みやすくなり、通常の拭き掃除や洗浄では取り切れないことがあります。床材の表面状態は、日常清掃のしやすさを大きく左右する基本要素です。
(3) 汚れが内部にしみ込みやすい吸水性の床材や、汚れの付着によって錆(さび)やカビ等の変質を生じやすいものは後の処理が困難である。
適切です。吸水性の高い床材は、水分や汚れが表面にとどまらず内部にまで浸透しやすいため、表面だけを清掃しても完全に除去できないことがあります。また、湿気や汚れが原因で錆やカビが発生すると、単なる汚れの除去では済まず、補修や部材交換が必要になる場合もあります。このような床材は、予防的な管理が特に重要です。
(4) カーペットに洗剤分を残すことにより、汚れの予防効果が得られる。
不適切です。カーペットに洗剤分が残ると、その成分がべたつきや粘着性を生み、かえって土砂やほこりを引き寄せやすくなります。つまり、見かけ上はきれいになっていても、その後の再汚染が早まり、短期間で再び汚れやすくなります。カーペット清掃では、洗浄後に洗剤分を十分に回収し、残留させないことが大切です。この選択肢は「洗剤で保護される」と思わせる点が誤りです。
(5) 汚れの除去には水を使用することが多いため、水に耐える材質のものは清掃しやすいことが多い。
適切です。床清掃では、水拭き、洗浄、すすぎなど、水を用いる作業が多く行われます。そのため、水に弱い床材では変形、膨れ、変色、劣化などが起こりやすく、十分な清掃ができないことがあります。反対に、水に耐える材質は湿式清掃との相性がよく、洗浄の選択肢も広がるため、管理しやすい傾向があります。ただし、水に強いだけでなく、表面の平滑性や耐薬品性なども合わせて確認することが大切です。
この問題で覚えるポイント
床材の清掃しやすさは、平滑性、緻密性、吸水性の有無、耐水性、耐薬品性などで判断します。表面が平滑で緻密な床材は、汚れが付着しにくく、付着しても除去しやすいです。逆に、凹凸が多い床材や繊維質の床材は、汚れを内部に抱え込みやすく、清掃効率が下がります。吸水性の高い床材は、汚れや水分が内部へ浸透しやすく、変色、腐食、カビの原因になります。疎水性の表面は油性汚れと親和しやすい一方、親水性の表面は水になじみやすいという性質があります。カーペット清掃では、洗浄後の洗剤残留が再汚染の原因になるため、すすぎや回収を十分に行うことが重要です。試験では、汚れが付きにくい性質と、落としやすい性質を分けて考えることが大切です。また、水に強いことと、すべての汚れに強いことは同じではないため、床材の性質ごとに清掃方法を考える視点が必要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、日常感覚では「洗剤が残っていたほうが保護膜のように働いて汚れにくそうだ」と思いやすい点にあります。しかし、実務では洗剤残留はむしろ汚れを呼び込む原因になります。このように、清掃では「残すと効果がある」と思わせる表現が出ても、基本は洗剤や汚れを残さないことが原則です。また、平滑な床材は滑りやすいから汚れも付きやすいのではないか、と感覚的に逆に考えてしまうこともありますが、試験では表面の凹凸と汚れの入り込みやすさに注目して判断することが重要です。さらに、耐水性があることを見て万能だと考えてしまうのも危険です。実際には、耐水性があっても油汚れに弱い場合や、表面の粗さで汚れが残りやすい場合があります。床材の清掃性は一つの性質だけでなく、複数の性質を組み合わせて判断することが合格への近道です。
