【ビル管過去問】令和4年度 問題118|給湯設備の基礎 貯湯槽容量・給湯温度・給湯量の設計基準を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|給水および排水の管理第118問

問題

給湯設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 貯湯槽の容量は、ピーク時の必要容量の1〜2時間分を目安とする。

(2) 集合住宅の設計用給湯量は、100L/(戸・日)程度である。

(3) 壁掛けシャワーの使用温度は、42°C程度である。

(4) 中央式給湯設備の給湯栓の給湯温度は、ピーク使用時においても55°C以上とする。

(5) ステンレス鋼管において単式の伸縮継手を用いる場合、その設置間隔は20m程度である。

ビル管過去問|給湯設備の基礎 貯湯槽容量・給湯温度・給湯量の設計基準を解説

この問題は、給湯設備に関する設計上の基本事項が問われています。具体的には、貯湯槽の容量、集合住宅における設計用給湯量、シャワーの使用温度、中央式給湯設備の給湯温度、配管の伸縮対策といった、実務でも頻出の知識がテーマです。正解は(2)で、集合住宅の設計用給湯量を100L/(戸・日)程度とする記述が不適切です。給湯設備では、用途ごとの標準的な給湯量や温度の目安を正しく押さえることが重要です。数値だけを暗記するのではなく、なぜその値になるのかという考え方まで理解しておくと、応用問題にも対応しやすくなります。

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(1) 貯湯槽の容量は、ピーク時の必要容量の1〜2時間分を目安とする。

適切です。貯湯槽は、使用量の多い時間帯に安定して湯を供給するために設けられます。給湯需要は一日を通して一定ではなく、朝や夕方などに集中しやすいため、瞬間的な最大需要をそのまま熱源機だけでまかなうのは非効率です。そのため、ピーク時に必要となる給湯量のうち、1〜2時間分程度を貯湯できる容量を目安に設計するのが一般的です。これは、熱源機の容量を過大にしすぎず、かつ使用の集中にも対応しやすくするための考え方です。貯湯槽は、給湯負荷の平準化を図る設備であると理解しておくと覚えやすいです。

(2) 集合住宅の設計用給湯量は、100L/(戸・日)程度である。

不適切です。集合住宅の設計用給湯量として100L/(戸・日)程度という値は小さすぎます。実際には、居住者の生活に必要な台所、洗面、浴室などでの使用を考慮すると、設計用給湯量はこれより大きく見込むのが一般的です。集合住宅では、戸当たり1日数百リットル程度を想定することが多く、100L/(戸・日)は実用上かなり少ない値です。このような過小な値で設計すると、朝夕の入浴や炊事が重なる時間帯に給湯不足を起こしやすくなります。試験では、もっともらしく小さめの数値を示して受験者を迷わせることがありますので、集合住宅では相応に大きな給湯需要があるという生活実態と結び付けて覚えることが大切です。

(3) 壁掛けシャワーの使用温度は、42°C程度である。

適切です。シャワーの使用温度は、一般に40〜43°C程度が快適とされており、42°C程度は代表的な目安です。冷たすぎると快適性を損ない、熱すぎるとやけどの危険や不快感につながるため、実用上この程度の温度が標準的に扱われます。給湯設備の設計では、利用者が最終的に使う温度を踏まえて、給湯温度や混合の方法を考えます。特にシャワーは体に直接湯を当てるため、少しの温度差でも体感が大きく変わります。そのため、壁掛けシャワーの使用温度として42°C程度という記述は妥当です。試験では、給湯栓から出す温度と実際の使用温度を区別して理解しているかが問われます。

(4) 中央式給湯設備の給湯栓の給湯温度は、ピーク使用時においても55°C以上とする。

適切です。中央式給湯設備では、配管途中での熱損失や、衛生面での管理を考慮して、給湯栓で一定以上の温度を確保することが求められます。ピーク使用時は多くの給湯栓で同時に湯が使われるため、温度が低下しやすい時間帯ですが、それでも55°C以上を確保することが設計上の基準となります。これは、快適な給湯を行うだけでなく、レジオネラ属菌などの衛生管理上の観点からも重要です。実際の使用時には混合水栓などで適温に調整しますが、中央式給湯設備そのものとしては、十分高い温度で供給する必要があります。使用温度と供給温度の違いを整理しておくことが大切です。

(5) ステンレス鋼管において単式の伸縮継手を用いる場合、その設置間隔は20m程度である。

適切です。ステンレス鋼管は温度変化によって伸び縮みするため、給湯配管では熱膨張への対策が必要です。特に給湯配管は温水が流れるため、給水配管以上に膨張の影響を受けやすくなります。単式の伸縮継手は、この熱膨張を吸収して配管や継手への過大な応力を防ぐために設けられます。その設置間隔の目安として20m程度というのは妥当です。ただし、実際には配管材質、温度差、支持条件、曲がり部の有無などによって調整されることがあります。試験では、配管の熱膨張対策として伸縮継手やスイング継手の基本的な役割を理解しているかが問われます。

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この問題で覚えるポイント

給湯設備では、使用者が直接使う温度と、設備側が供給すべき温度を分けて理解することが重要です。シャワーや洗面での実際の使用温度は40〜42°C前後が目安ですが、中央式給湯設備では配管中の熱損失や衛生管理を考慮して、給湯栓でも55°C以上を確保する考え方が基本です。ここを混同すると、使用温度の感覚だけで設備基準を判断してしまい、誤答につながります。 貯湯槽の容量は、単に大きければよいわけではなく、ピーク時の需要に対応しつつ、熱源容量とのバランスを取るために1〜2時間分程度を目安とするのが基本です。これは、給湯負荷の集中をならして安定供給を図るための考え方です。設備設計では、最大瞬間負荷、時間負荷、日負荷を区別して考えることが大切です。 集合住宅の設計用給湯量は、戸当たりの日使用量として一定以上の値を見込む必要があります。台所、洗面、浴室など複数用途での使用を前提とするため、100L/(戸・日)程度では少なすぎます。試験では、このような数値の大小感覚が問われることが多いため、生活実態に照らして不自然でないかを考える視点が有効です。 給湯配管では、温度変化による熱膨張への対応も重要です。ステンレス鋼管などでは伸縮継手を設け、一定間隔ごとに膨張を吸収できるようにします。給湯設備は、熱源、貯湯、配管、給湯温度、使用温度という一連の流れで理解すると、個別の数値も整理しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題で引っかかりやすいのは、日常感覚としてちょうどよさそうに見える数値を、そのまま設計基準だと思ってしまうことです。特に集合住宅の給湯量については、100Lという数値が一見もっともらしく見えるため、深く考えずに正しいと判断しやすいです。しかし、集合住宅では入浴や炊事など複数の用途があるため、その程度では不足しやすく、実態に合いません。数値問題では、絶対値だけでなく、生活実態や設備の用途と照らして妥当性を考えることが重要です。 また、シャワーの使用温度と中央式給湯設備の給湯温度を混同させるのも典型的な罠です。シャワーで42°C程度を使うからといって、設備からの供給温度も同程度でよいと考えると誤ります。設備は高めの温度で供給し、使用段階で適温に調整するという流れを理解していないと、温度基準の問題で迷いやすくなります。 さらに、設備設計の目安値は厳密な一点の数字というより、一定の範囲や考え方で覚えるべきものが多いです。貯湯槽の1〜2時間分や、伸縮継手の20m程度といった表現は、実務的な目安を示しています。こうした問題では、細かい条件差で数値が多少変わることはあっても、基本的な方向性として妥当かどうかを見抜く力が必要です。今回は、他の選択肢が設計上の一般的な目安として妥当であるのに対し、給湯量だけが明らかに過小である点を見抜けるかが勝負でした。

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