出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物の構造概論第102問
問題
地震対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) ガス用マイコンメータは、地震発生時に自動的にガスを遮断するガスメータである。
(2) 気象庁震度階級は、地震の揺れの強さを示す指標である。
(3) 大規模事業所では、地震被害の軽減のため、防火管理者の選任が義務付けられている。
(4) 感震ブレーカは、地震時に自動的に電気を遮断するブレーカである。
(5) Jアラートは、緊急の気象関係情報、有事関係情報を国から住民などへ伝達するシステムである。
ビル管過去問|地震対策 ガス遮断・感震ブレーカ・震度情報システムを解説
この問題は、建築物における地震対策に関する基礎知識を問う問題です。ガスや電気の自動遮断装置、震度に関する用語、情報伝達システムの役割など、それぞれの設備や制度の目的を正確に区別できるかがポイントです。正しい選択肢は、ガス用マイコンメータ、気象庁震度階級、感震ブレーカ、Jアラートに関する記述であり、不適当なのは防火管理者の選任義務を地震被害軽減と直接結びつけている記述です。防火管理者は主として火災予防や火災時の対応体制に関わる制度であり、地震対策そのものを目的とした制度ではありません。
(1) ガス用マイコンメータは、地震発生時に自動的にガスを遮断するガスメータである。
適切です。ガス用マイコンメータは、ガスの異常使用や一定以上の地震動を感知した場合に、自動的にガスの供給を遮断する機能を持っています。これは、地震によって配管が損傷したり、機器が転倒したりしてガス漏れが発生し、二次災害として火災や爆発につながることを防ぐためです。地震後の被害は揺れそのものだけでなく、その後に起こる火災や漏えい事故によって拡大することがあるため、このような自動遮断機能は非常に重要です。ビル管理の実務でも、地震後の安全確保という観点から理解しておきたい内容です。
(2) 気象庁震度階級は、地震の揺れの強さを示す指標である。
適切です。気象庁震度階級は、ある地点で実際にどの程度の揺れがあったかを表す指標です。震度は、地震そのものの規模を表すマグニチュードとは異なり、場所ごとの揺れの強さを示します。たとえ同じ地震でも、震源からの距離や地盤条件、建物の状況によって各地点の震度は異なります。試験では、震度とマグニチュードを混同しないことが大切です。震度は現場でどれほど揺れたか、マグニチュードは地震そのもののエネルギー規模を示すものと整理して覚えると判断しやすくなります。
(3) 大規模事業所では、地震被害の軽減のため、防火管理者の選任が義務付けられている。
不適切です。防火管理者の選任義務は、消防法に基づき、一定規模以上の防火対象物において火災予防や避難管理を適切に行うために定められているものです。もちろん、災害時の安全管理という広い意味では地震発生後の混乱にも関わることがありますが、制度の主目的は地震被害の軽減そのものではありません。ここでは「地震対策」という言葉に引きずられて、防火管理者を地震専用の制度のように捉えてしまうと誤答しやすくなります。防火管理者は、あくまで火災予防と防火管理体制の整備を中心とした制度であると理解しておくことが重要です。
(4) 感震ブレーカは、地震時に自動的に電気を遮断するブレーカである。
適切です。感震ブレーカは、一定以上の揺れを感知した際に電気を自動で遮断する装置です。地震時には、転倒した電気器具や損傷した配線に通電が続くことで、停電復旧後に通電火災が発生するおそれがあります。感震ブレーカは、このような電気火災のリスクを低減するために設けられます。特に木造住宅密集地などでは、地震後の火災延焼防止の観点から重要性が高い装置です。ガスの遮断と同じく、地震の直接被害よりも、その後に起きる二次災害を防ぐ装置として整理すると理解しやすいです。
(5) Jアラートは、緊急の気象関係情報、有事関係情報を国から住民などへ伝達するシステムである。
適切です。Jアラートは、全国瞬時警報システムのことで、弾道ミサイル情報、緊急地震速報、津波警報、気象特別警報などの緊急情報を、国から人工衛星などを通じて自治体へ送信し、住民へ迅速に伝達する仕組みです。地震対策の文脈では、緊急地震速報などの伝達手段として関係があります。ただし、Jアラート自体は建物内の設備ではなく、情報伝達システムです。設備機器と情報システムを区別して理解することが、この選択肢を正しく判断する助けになります。
この問題で覚えるポイント
地震対策では、揺れそのものへの備えだけでなく、地震後に起こる二次災害の防止が重要です。ガス用マイコンメータはガス漏れや火災防止のためにガスを自動遮断し、感震ブレーカは通電火災防止のために電気を自動遮断します。この二つはよく似ていますが、遮断対象がガスか電気かを明確に区別して覚える必要があります。
また、震度とマグニチュードの違いは頻出です。震度は各地点での揺れの強さを示し、マグニチュードは地震そのものの規模を示します。同じ地震でも場所によって震度は異なるため、現場の被害状況と結びつけて理解することが大切です。
さらに、防火管理者は消防法に基づく火災予防のための制度であり、地震対策専用の制度ではありません。災害全般の安全管理と関係する場面はありますが、制度の目的を問われたときは、まず火災予防と防火管理体制の整備が中心であると押さえておきましょう。
Jアラートは設備ではなく、国から住民へ緊急情報を瞬時に伝達する情報システムです。地震関連では緊急地震速報などの伝達に関係しますが、遮断装置や防災設備とは性質が異なるため、役割の違いを整理して覚えることが得点につながります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「地震に関係がありそうなもの」を広く正しいと感じてしまう思考の罠にあります。特に防火管理者は災害時対応にも関わる印象があるため、地震被害軽減のための制度だと思い込みやすいです。しかし、試験では「関係がある」ことと「制度の主目的である」ことは区別しなければなりません。
また、ガス用マイコンメータと感震ブレーカはどちらも地震時の自動遮断装置であるため、知識があいまいだと混同しやすいです。問題では、遮断する対象が何かまで正確に押さえているかが見られています。
さらに、震度やJアラートのような一般ニュースでも耳にする用語は、何となく知っているつもりになりやすい分、定義を正確に問われると迷いやすいです。日常語としての理解ではなく、試験で使える定義として整理して覚えることが大切です。
