【ビル管過去問】令和4年度 問題26|寒冷障害 低体温症・凍傷の症状と予防を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物の環境衛生第26問

問題

寒冷障害(ヒトの低温障害)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 5°C以下の水に突然つかると、5〜15分間で生命にかかわる低体温症を生じる。

(2) 気温が13〜16°C程度でも天候によっては低体温症となることがある。

(3) 乳幼児や高齢者は寒さへの適応力が低く、低体温症のリスクが高い。

(4) 低体温症の診断は脇の下の体温を測定することで行う。

(5) 凍傷による障害は、組織の凍結と周辺の血管収縮・血栓による血流阻害により起きる。

ビル管過去問|寒冷障害 低体温症・凍傷の症状と予防を解説

この問題は、寒冷障害のうち低体温症と凍傷について、症状の起こり方や診断、リスク要因を正しく理解しているかを問う問題です。寒冷障害では、気温だけでなく水温、風、濡れ、年齢などが重要な要素になります。正しい選択肢の内容は、冷水への急な曝露で短時間に重い低体温症が起こり得ること、比較的高めの気温でも条件次第で低体温症が起こること、乳幼児や高齢者が高リスクであること、凍傷が凍結と循環障害で起こることです。不適当なのは、低体温症の診断を脇の下の体温で行うとする記述です。低体温症では深部体温の把握が重要であり、腋窩温では正確な評価ができません。

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(1) 5°C以下の水に突然つかると、5〜15分間で生命にかかわる低体温症を生じる。

適切です。水は空気よりもはるかに速く体温を奪うため、極めて冷たい水に突然入ると、短時間で深部体温が低下し、生命にかかわる状態に進行することがあります。とくに5°C以下の冷水では熱喪失が急速に進み、泳力の低下、意識障害、不整脈などが起こりやすくなります。寒冷障害では、同じ温度でも空気中より水中のほうが危険性が高いことをしっかり押さえることが大切です。

(2) 気温が13〜16°C程度でも天候によっては低体温症となることがある。

適切です。低体温症は真冬の厳寒時だけに起こるものではありません。気温がそれほど低くなくても、雨や風によって体表からの熱が奪われたり、衣服が濡れて保温力が低下したりすると、体温保持ができなくなります。登山や屋外作業では、気温だけを見て安全と判断すると危険です。風雨や湿潤、疲労、栄養不足などの条件が重なると、比較的穏やかな気温でも低体温症は起こり得ます。

(3) 乳幼児や高齢者は寒さへの適応力が低く、低体温症のリスクが高い。

適切です。乳幼児は体温調節機能が未熟で、体表面積が体重に対して大きいため、熱を失いやすい特徴があります。高齢者は代謝や血管反応が低下しやすく、寒さを感じにくくなることもあるため、気づかないうちに低体温症に進行することがあります。さらに、高齢者では持病や栄養状態、活動量の低下も重なりやすく、リスクがより高まります。年齢による体温調節能力の差は、寒冷障害の基本事項として重要です。

(4) 低体温症の診断は脇の下の体温を測定することで行う。

不適切です。低体温症の評価では、脇の下で測る腋窩温ではなく、深部体温を把握することが重要です。低体温症は身体の中心部の体温が下がる病態であり、表面に近い部位の体温では実際の重症度を正確に反映できないことがあります。そのため、直腸温、食道温、膀胱温など、深部体温を測定できる方法が診断や重症度判定に用いられます。日常的な体温測定の感覚で脇の下を思い浮かべると誤りやすい点です。

(5) 凍傷による障害は、組織の凍結と周辺の血管収縮・血栓による血流阻害により起きる。

適切です。凍傷では、低温によって組織内の水分が凍結し、細胞そのものが傷害を受けます。さらに、寒冷刺激による血管収縮で末梢の血流が低下し、血栓形成も加わることで、組織の虚血が進みます。つまり、凍傷は単に凍るだけではなく、循環障害が重なって悪化する病態です。このため、重症例では壊死にまで進展することがあります。凍傷の本質を理解するうえで、凍結と血流障害の両方をセットで覚えることが重要です。

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この問題で覚えるポイント

寒冷障害は、低体温症と局所の凍傷に大きく分けて理解すると整理しやすいです。低体温症は深部体温の低下が本質であり、診断や重症度判定では腋窩温ではなく深部体温が重要です。寒さの危険性は気温だけでは決まらず、冷水への曝露、風、雨、濡れた衣服、疲労、栄養不足などで大きく高まります。とくに水中では空気中より急速に熱が奪われるため、低水温は短時間でも非常に危険です。また、乳幼児は体温調節機能が未熟で、高齢者は代謝や寒冷反応が低下しやすいため、どちらも高リスク群です。凍傷は組織の凍結だけでなく、血管収縮や血栓形成による血流障害が組み合わさって起こることを押さえておくと、類似問題にも対応しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題の罠は、日常的な体温測定の感覚をそのまま低体温症の診断に当てはめてしまう点にあります。普段は脇の下で体温を測ることが多いため、それがそのまま正しいように見えてしまいますが、低体温症で重要なのは身体の中心部の温度です。また、低体温症は真冬の厳しい寒さでだけ起こると思い込むのも典型的な誤りです。実際には、風や雨、濡れ、水中曝露といった条件が加わることで、比較的高めの気温でも発生します。さらに、凍傷を「皮膚が凍るだけ」と単純に捉えると、血流障害という重要な病態を見落とします。寒冷障害では、日常感覚ではなく、深部体温、熱喪失の条件、末梢循環障害という医学的な視点で整理することが正答への近道です。

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