出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物衛生行政概論第18問
問題
環境基本法に基づく大気の汚染に係る環境基準に定められていない物質は、次のうちどれか。
(1) 微小粒子状物質
(2) 光化学オキシダント
(3) 二酸化窒素
(4) ベンゼン
(5) ホルムアルデヒド
ビル管過去問|環境基本法 大気汚染 環境基準対象物質を解説
この問題は、環境基本法に基づく大気の汚染に係る環境基準の対象物質を正確に覚えているかを問う問題です。大気の環境基準には、二酸化硫黄、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、光化学オキシダントのほか、微小粒子状物質やベンゼン等が定められています。一方で、ホルムアルデヒドはこの環境基準の対象物質には含まれていません。したがって、正しい答えは(5)です。
(1) 微小粒子状物質
不適切です。微小粒子状物質、いわゆるPM2.5は、環境基本法第16条第1項に基づく大気の汚染に係る環境基準として定められている物質です。環境省は、1年平均値が15μg/m3以下、かつ1日平均値が35μg/m3以下であることを環境基準としています。そのため、「環境基準に定められていない物質」とするこの選択肢は誤りです。
(2) 光化学オキシダント
不適切です。光化学オキシダントは、大気の汚染に係る環境基準の対象物質です。ビル管試験では、光化学オキシダントは昔からある代表的な環境基準項目の一つとして扱われるため、確実に押さえておきたいところです。名称がやや専門的で覚えにくいですが、環境基準に含まれる典型例ですので、除外物質ではありません。
(3) 二酸化窒素
不適切です。二酸化窒素も、大気の汚染に係る環境基準に定められている物質です。環境省の基準では、1時間値の1日平均値が0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内又はそれ以下であることとされています。自動車排ガスなどと関連が深く、都市部の大気汚染で重要な物質ですので、環境基準の対象として扱われています。
(4) ベンゼン
不適切です。ベンゼンは、有害大気汚染物質のうち、環境基準が設定されている代表的な物質です。環境省は「ベンゼン等による大気の汚染に係る環境基準について」として別に基準を定めており、ベンゼンはその対象に含まれています。そのため、この選択肢も「定められていない物質」には当たりません。
(5) ホルムアルデヒド
適切です。ホルムアルデヒドは大気中の有害物質として知られていますが、この問題で問われている「環境基本法に基づく大気の汚染に係る環境基準」の対象物質には含まれていません。受験者としては、「有害であること」と「環境基準が設定されていること」は別だと整理して覚えることが大切です。ホルムアルデヒドは室内空気汚染の分野ではよく登場しますが、この設問の環境基準一覧には入っていないため、これが正答になります。
この問題で覚えるポイント
環境基本法に基づく大気の汚染に係る環境基準は、まず基本項目として二酸化硫黄、一酸化炭素、浮遊粒子状物質、二酸化窒素、光化学オキシダントを押さえることが重要です。さらに、後から追加された項目として微小粒子状物質、そして有害大気汚染物質のうちベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンも環境基準の対象です。つまり、試験対策としては「一般的な大気汚染物質」と「有害大気汚染物質のうち環境基準があるもの」を分けて覚えると整理しやすくなります。特にPM2.5とベンゼンは頻出です。反対に、ホルムアルデヒドのように有害性や室内空気汚染との関係で有名でも、この環境基準には入っていない物質があります。この区別が正誤判断に直結します。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「よく聞く有害物質なら環境基準があるはずだ」と考えてしまう思考の罠にあります。ホルムアルデヒドはシックハウスや室内空気汚染で非常に有名なので、受験者はつい環境基準の対象だと思い込みやすいです。しかし、設問が問うているのはあくまで「環境基本法に基づく大気の汚染に係る環境基準」であり、室内環境の指針や別分野の基準とは区別しなければなりません。つまり、「有名な物質かどうか」ではなく、「どの制度の、どの基準に載っているか」で判断することが大切です。このパターンは他の法令問題でも繰り返し出るため、制度名まで含めて覚える習慣をつけると強くなれます。
