出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物衛生行政概論第14問
問題
学校保健安全法に規定する学校薬剤師の職務として、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 学校安全計画の立案に参与すること。
(2) 学校保健計画の立案に参与すること。
(3) 学校の環境衛生の維持及び改善に関し、必要な指導及び助言を行うこと。
(4) 環境衛生検査に従事すること。
(5) 疾病の予防処置に従事すること。
ビル管過去問|学校保健安全法 学校薬剤師の職務を解説
この問題は、学校保健安全法に基づく学校薬剤師の職務の範囲を正確に区別できるかを問う問題です。学校薬剤師は、学校保健計画や学校安全計画の立案への参与、学校環境衛生の維持改善に関する指導助言、環境衛生検査への従事などを職務とします。一方で、疾病の予防処置は学校医の職務に位置づけられており、学校薬剤師の職務ではありません。したがって、最も不適当なのは(5)です。
(1) 学校安全計画の立案に参与すること。
適切です。学校保健安全法施行規則では、学校薬剤師は学校保健計画及び学校安全計画の立案に参与することとされています。学校薬剤師というと薬品管理や水質検査だけを担当する印象を持ちやすいですが、実際には学校全体の保健と安全の計画づくりにも関与する立場です。学校内で事故や健康被害を未然に防ぐためには、薬学的・衛生学的な視点を計画段階から反映させることが重要です。
(2) 学校保健計画の立案に参与すること。
適切です。学校薬剤師の職務には、学校保健計画の立案に参与することが明確に含まれています。学校保健計画は、健康診断、環境衛生、感染症対策、保健教育などを総合的に進めるための基本となる計画です。学校薬剤師は、空気環境、照度、飲料水、プール水、ねずみ昆虫等の衛生管理などに関する専門性を生かし、実効性のある計画づくりに関わります。
(3) 学校の環境衛生の維持及び改善に関し、必要な指導及び助言を行うこと。
適切です。学校薬剤師は、学校の環境衛生の維持及び改善について、必要な指導及び助言を行う職務を担います。これは教室の空気、採光、照明、飲料水、給排水、便所、プールなど、学校生活を支える環境を衛生的に保つための助言を行う役割です。建築物衛生管理の学習と重なる部分も多く、受験上は「学校薬剤師は環境衛生の専門家として学校を支える」という理解を持っておくと整理しやすいです。
(4) 環境衛生検査に従事すること。
適切です。学校薬剤師は、学校環境衛生基準に基づく環境衛生検査に従事します。文部科学省の学校環境衛生管理マニュアルでも、定期検査や臨時検査は主として学校薬剤師が行うことが示されています。したがって、学校薬剤師は助言だけをする存在ではなく、実際の検査業務にも深く関与する点を押さえておくことが大切です。
(5) 疾病の予防処置に従事すること。
不適切です。疾病の予防処置に従事することは、学校医の職務として定められている内容であり、学校薬剤師の職務ではありません。ここがこの問題の最重要点です。学校医は健康診断、健康相談、保健指導、疾病予防処置など、児童生徒の健康管理そのものに直接関わる役割を担います。一方、学校薬剤師は主として学校環境衛生や薬学的事項に関する専門職です。似たように「学校保健に関わる専門職」であっても、職務の範囲は異なるため、そこを混同しないことが正答につながります。
この問題で覚えるポイント
学校薬剤師の職務は、学校保健計画及び学校安全計画の立案への参与、学校環境衛生の維持改善に関する指導助言、環境衛生検査への従事など、学校の衛生環境を支える内容が中心です。これに対して、疾病の予防処置、健康診断、健康相談、保健指導など、児童生徒の身体や疾病に直接関わる職務は主として学校医の担当です。試験では、学校薬剤師は「環境衛生と薬学的管理」、学校医は「健康管理と疾病対応」という役割分担で整理すると判断しやすくなります。また、学校薬剤師は単に検査を実施するだけでなく、計画立案の段階から学校保健と学校安全に関与する点も重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「学校保健に関わる仕事なら全部学校薬剤師でもよさそうだ」と感じさせる点にあります。特に「疾病の予防処置」は、薬剤師という名称から予防薬や消毒などを連想してしまい、つい学校薬剤師の職務だと思い込みやすいです。しかし、法令上は疾病の予防処置は学校医の職務です。つまり、職種名の印象で判断すると誤りやすく、法令で定められた役割分担そのものを覚えておく必要があります。学校医、学校歯科医、学校薬剤師はそれぞれ専門性が異なり、似た表現でも担当範囲が違うという点が、このテーマで繰り返し狙われる思考の罠です。
