出典:建築物衛生管理技術者試験令和4年度(2022年)|建築物衛生行政概論第5問
問題
建築物衛生法に基づく特定建築物に該当するかどうかの判断に関する次の文章の( )内に入る数値と語句との組合せとして、正しいものはどれか。
ただし、A社、B社、C社、D社、E社は相互に関連はない。
A社銀行の店舗と事務所1,700m²と銀行の地下駐車場300m²、B社の学習塾700m²と付属自習室100m²、C社の保育施設600m²、D社の老人デイサービスセンター500m²、E社の美容室400m²が全て入っている建築物の特定用途に供される部分の延べ面積は( ア )m²となるので、この建築物は特定建築物に該当( イ )。
(1) ア:4,300 イ:する
(2) ア:3,700 イ:する
(3) ア:3,200 イ:する
(4) ア:2,900 イ:しない
(5) ア:2,500 イ:しない
ビル管過去問|特定建築物 延べ面積の算定方法・用途別判定を解説
特定建築物に該当するかどうかは、建築物衛生法で定める特定用途に供される部分と、その用途に付随または附属する部分の延べ面積を合計して判断します。本問で算入するのは、銀行の店舗と事務所1,700m²、銀行に附属する地下駐車場300m²、学習塾700m²、学習塾に附属する自習室100m²、美容室400m²です。保育施設600m²と老人デイサービスセンター500m²は、本問における特定用途には該当しないため算入しません。特定用途部分の延べ面積は1,700+300+700+100+400=3,200m²となります。原則となる面積基準の3,000m²以上を満たすため、この建築物は特定建築物に該当します。正しい組合せはアが3,200、イが「する」であり、答えは(3)です。

(1) ア:4,300 イ:する
不適切です。4,300m²は、問題文に示されたすべての部分を区別せずに合計した数値です。銀行の店舗と事務所1,700m²、地下駐車場300m²、学習塾700m²、付属自習室100m²、保育施設600m²、老人デイサービスセンター500m²、美容室400m²をすべて足すと4,300m²になります。しかし、特定建築物の判定では、建物内のすべての床面積を無条件に算入するわけではありません。建築物衛生法で定める特定用途に供される部分と、それに付随または附属する部分だけを算入します。保育施設と老人デイサービスセンターは、本問では特定用途に該当しない独立した施設であるため、その面積を除外する必要があります。「該当する」という判定自体は結果として正しいものの、アの数値が誤っているため、組合せ全体として不適切です。
(2) ア:3,700 イ:する
不適切です。3,700m²は、正しい算入面積である3,200m²に老人デイサービスセンターの500m²を加えた数値です。老人デイサービスセンターは、高齢者に介護や日常生活上の支援を提供する社会福祉施設ですが、建築物衛生法施行令で定める特定用途には含まれません。「デイサービス」という名称にサービスの文字が含まれていても、それだけで店舗に分類されるわけではなく、施設の実際の用途と法令上の位置付けによって判断します。この500m²を算入することはできないため、延べ面積を3,700m²とする計算は誤りです。「該当する」という判定は正しいものの、アの数値が正しくないため、組合せとしては不適切です。
(3) ア:3,200 イ:する
適切です。銀行は店舗と事務所の両方の用途に供される施設として扱われるため、銀行の店舗と事務所1,700m²を算入します。銀行の地下駐車場300m²は、駐車場として独立した用途ではなく、銀行の利用に附属する部分であるため、銀行の特定用途部分に含めます。駐車場は常に除外されるわけではなく、特定用途に附属しているか、独立して設置されているかによって扱いが変わる点が重要です。学習塾700m²は各種学校に類似する教育施設として学校の用途に含まれ、付属自習室100m²も学習塾に附属する部分として算入します。美容室400m²は、公衆にサービスを提供する店舗に該当するため算入します。保育施設600m²と老人デイサービスセンター500m²は本問の特定用途には該当しません。以上から、算入する面積は1,700+300+700+100+400=3,200m²です。3,000m²以上という基準を満たすため、この建築物は特定建築物に該当します。
(4) ア:2,900 イ:しない
不適切です。2,900m²は、銀行の店舗と事務所1,700m²、学習塾700m²、付属自習室100m²、美容室400m²を合計し、銀行の地下駐車場300m²を除外した数値です。駐車場は単独で設置され、公衆が利用する公共駐車場などとして独立して管理されている場合には、原則として特定用途部分に算入しません。しかし、本問では「銀行の地下駐車場」とされており、銀行の用途に附属する部分として扱います。特定用途に附属する駐車場は、その主たる用途に包含されるため、300m²を加えなければなりません。正しい延べ面積は3,200m²となり、3,000m²以上の基準を満たします。このため、アの数値だけでなく「該当しない」という判定も誤っています。
(5) ア:2,500 イ:しない
不適切です。2,500m²は、銀行の店舗と事務所1,700m²、学習塾700m²、付属自習室100m²だけを合計した数値であり、銀行の地下駐車場300m²と美容室400m²が算入されていません。銀行の地下駐車場は銀行に附属する部分であるため算入します。また、建築物衛生法における店舗は、物品を販売する小売店だけを指すものではありません。公衆にサービスを提供する理容所、美容所、飲食店なども広く店舗に含まれるため、美容室400m²も算入する必要があります。正しくは2,500m²に地下駐車場300m²と美容室400m²を加えた3,200m²です。面積基準を満たしているため、「該当しない」という判定も誤っています。
この問題で覚えるポイント
特定建築物の特定用途には、興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館、遊技場、店舗、事務所、学校、研修所、旅館などがあります。原則として、これらの用途に供される部分の延べ面積が3,000m²以上であれば特定建築物に該当します。ただし、専ら学校教育法第1条に規定する学校や幼保連携型認定こども園の用途に供される建築物については、基準が8,000m²以上となります。延べ面積には、事務所や店舗など専ら特定用途に供される部分だけでなく、廊下、階段、機械室などの共用部分と、事務所附属の駐車場、百貨店内の倉庫、銀行内の貸金庫などの附属部分も含めます。倉庫や駐車場は単独で独立した用途として設置されている場合には原則として算入しませんが、特定用途に附属している場合には主たる用途に包含して算入します。学習塾は各種学校に類似する教育施設として学校に含まれますが、一般的な保育施設や老人デイサービスセンターは、それだけで特定用途になるものではありません。ただし、幼稚園や幼保連携型認定こども園は学校等として扱われるため、保育に関係する施設をすべて同じ用途と考えないことが大切です。美容室は物品販売を行う施設ではありませんが、公衆にサービスを提供する施設として店舗に含まれます。用途別に算入の可否を決めてから合計し、最後に3,000m²または8,000m²の基準と比較する手順を身に付けておくと、同じテーマの問題に対応できます。
ひっかけポイント
この問題では、「駐車場は特定用途ではない」という知識を表面的に覚えている受験者に、銀行の地下駐車場を除外させる仕掛けがあります。重要なのは駐車場という名称ではなく、主たる特定用途に附属しているか、独立した用途として設置されているかという点です。また、保育施設は教育を行い、老人デイサービスセンターはサービスを提供しているため、日常的な感覚では学校や店舗に近いように見えます。しかし、法令上の用途区分は施設名の印象ではなく、その施設の法的な位置付けと実際の利用目的によって判断します。反対に、美容室は物品を販売していないため店舗ではないように感じやすいものの、公衆にサービスを提供する施設として店舗に含まれます。このような問題では、名称から直感的に判断すると誤りやすいため、それぞれの部分を「特定用途そのもの」「特定用途に付随または附属する部分」「特定用途以外の独立した部分」に分類してから面積を計算することが有効です。
