【ビル管過去問】令和5年度 問題108|水道施設|取水・浄水処理・緩速ろ過・送水施設・配水池容量を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|給水および排水の管理第108問

問題

水道施設に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 取水施設を設ける場所の選定に当たっては、水量及び水質に対する配慮が必要である。

(2) 浄水処理は、一般に沈殿、ろ過、消毒の3段階からなる。

(3) 緩速ろ過法は、沈殿池で水中の土砂などを沈殿させた後に、緩速ろ過池で4〜5m/日の速度でろ過する方法である。

(4) 送水施設は、浄水施設から配水施設まで浄水を送るための施設である。

(5) 配水池の必要容量は、計画1日最大給水量の8時間分を標準とする。

ビル管過去問|水道施設|取水・浄水処理・緩速ろ過・送水施設・配水池容量を解説

この問題は、水道施設の基本構成と、それぞれの施設の役割、さらに代表的な基準値を確認する問題です。取水施設、浄水処理、緩速ろ過、送水施設はいずれも基本事項として正しく、誤りは配水池容量に関する記述です。配水池の必要容量は、計画1日最大給水量の12時間分を標準とするのが基本であり、8時間分としている点が不適当です。水道施設の問題では、施設の名称と役割の対応関係、ろ過速度、配水池容量などの数値がよく問われますので、意味とセットで押さえることが大切です。

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(1) 取水施設を設ける場所の選定に当たっては、水量及び水質に対する配慮が必要である。

適切です。その理由は、取水施設は水道の出発点に当たる施設であり、安定して必要な量の原水を確保できることと、浄水処理に適した水質であることの両方が重要だからです。たとえば水量が十分でも、水質が著しく悪ければ浄水処理の負担が大きくなり、処理コストや管理の難しさが増します。逆に水質が比較的良くても、水量が不安定であれば安定給水ができません。このように、取水地点の選定では水量と水質の双方を総合的に検討する必要があります。

(2) 浄水処理は、一般に沈殿、ろ過、消毒の3段階からなる。

適切です。その理由は、上水道の浄水処理の基本的な流れは、原水中の濁りや浮遊物を取り除き、さらに微細な不純物を除去し、最後に病原微生物対策として消毒を行うからです。沈殿では比較的大きな粒子を沈め、ろ過ではより細かい濁質を除去し、消毒では主に細菌やウイルスなどによる衛生上のリスクを抑えます。実際の浄水場では、薬品混和や凝集などの工程が加わることもありますが、全体の基本構成としては沈殿、ろ過、消毒の3段階で捉える理解で問題ありません。

(3) 緩速ろ過法は、沈殿池で水中の土砂などを沈殿させた後に、緩速ろ過池で4〜5m/日の速度でろ過する方法である。

適切です。その理由は、緩速ろ過法は比較的ゆっくりした速度で水をろ過し、ろ層表面に形成される生物膜などの働きも利用しながら水質を改善する方法だからです。緩速ろ過のろ過速度は、一般に4〜5m/日程度とされており、急速ろ過に比べてかなり遅いのが特徴です。前処理として沈殿池で土砂などをある程度除去した後、緩速ろ過池で丁寧に処理する流れは基本的な理解として適切です。数値が小さいことからも、緩速ろ過は時間をかけて処理する方式だと覚えると整理しやすいです。

(4) 送水施設は、浄水施設から配水施設まで浄水を送るための施設である。

適切です。その理由は、送水施設は浄水場で処理された水を、配水池や配水塔などの配水施設へ送り出す役割を担うからです。水道施設は、取水、導水、浄水、送水、配水という流れで構成されますが、このうち送水は「浄水後の水を配る前段階まで運ぶ工程」です。施設名が似ていて混同しやすいですが、導水は取水地点から浄水場へ原水を送るものであり、送水は浄水場から配水施設へ浄水を送るものです。この区別が重要です。

(5) 配水池の必要容量は、計画1日最大給水量の8時間分を標準とする。

不適切です。その理由は、配水池の必要容量は、計画1日最大給水量の12時間分を標準とするのが基本だからです。配水池は、時間ごとの使用量の変動を吸収し、安定的に給水するための調整機能を持っています。朝夕など使用量が多い時間帯と、夜間など少ない時間帯の差をならし、ポンプや浄水施設の運転を安定させる意味があります。そのため、一定の余裕を持った容量設定が必要であり、標準としては12時間分が用いられます。8時間分という数字はもっともらしく見えますが、基準としては不足しています。

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この問題で覚えるポイント

水道施設は、取水、導水、浄水、送水、配水という流れで整理すると理解しやすいです。取水は河川や湖沼、地下水などから原水を取り入れる段階であり、水量と水質の両方を確認する必要があります。導水は取水した原水を浄水場まで送る施設で、送水は浄水場で処理した後の浄水を配水施設まで送る施設です。導水と送水は名前が似ていますが、送る水が原水か浄水かで区別します。 浄水処理の基本は、沈殿、ろ過、消毒です。沈殿では比較的大きい粒子を除去し、ろ過では細かな濁質を取り除き、消毒では衛生的な安全性を確保します。試験では、この流れの順序や各工程の役割が問われやすいです。 ろ過法では、緩速ろ過と急速ろ過の違いを押さえることが重要です。緩速ろ過は4〜5m/日程度の低い速度で行い、生物膜の働きも利用するのが特徴です。これに対して急速ろ過は、はるかに高い速度で行い、薬品処理と組み合わせて効率的に処理します。数値が出たときに、ゆっくりなら緩速、速ければ急速と判断できるようにしておくと得点しやすいです。 配水池は、時間的な給水量の変動を調整し、安定供給を支える重要な施設です。必要容量は、計画1日最大給水量の12時間分を標準とする、という数値を押さえておくことが大切です。水道分野では、このような標準値や目安がそのまま正誤判断に使われることが多いため、意味と一緒に記憶するのが有効です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、全体として正しい内容の中に、もっともらしい数値のズレを紛れ込ませている点にあります。特に配水池容量の8時間分という表現は、受験者が「それっぽい数字だ」と感じてしまいやすく、明確に暗記していないと見抜きにくいです。試験では、このように文章の大半は正しいのに、数値や条件だけを少し変えて誤りにするパターンが頻出です。 また、導水と送水のように、名称が似ている施設を混同させるのも典型的な罠です。言葉だけをぼんやり覚えていると、どちらも「水を送る施設」と見えてしまい、原水か浄水かの違いを見落とします。用語は名前だけでなく、どこからどこへ何を送るのかまでセットで整理することが大切です。 さらに、浄水処理や緩速ろ過のような基本事項は、知っているつもりで流し読みしやすいところも注意点です。問題作成者は、受験者がよく知る基本項目の中に、数値や定義の微妙な違いを入れてきます。今後も、基本事項ほど「本当にその数値で正しいか」「用語の対象は正確か」を一つずつ確認する姿勢が得点力につながります。

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