【ビル管過去問】令和5年度 問題31|オゾン|発生機構・健康影響(肺障害)・作業環境基準を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和5年度(2023年)|建築物の環境衛生第31問

問題

オゾンに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 水に溶けにくい。

(2) 紫外線による光化学反応で生成される。

(3) (公社)日本産業衛生学会は、作業環境におけるオゾンの許容濃度を示している。

(4) 吸入すると肺の奥まで達し、肺気腫を起こすことがある。

(5) 無臭である。

ビル管過去問|オゾン|発生機構・健康影響(肺障害)・作業環境基準を解説

この問題は、オゾンの基本的な性質、発生のしくみ、人体への影響、そして作業環境における管理基準について問う問題です。正しい選択肢の知識だけでなく、誤っている記述を見抜くために、オゾンがどのような気体なのかを整理しておくことが大切です。今回の誤りは「無臭である」という記述です。オゾンは特有の刺激臭をもつ気体であり、そこを正確に押さえているかがポイントになります。ほかの選択肢は、表現に多少の注意は必要ですが、オゾンの一般的な性質や健康影響、管理基準として適切な内容です。

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(1) 水に溶けにくい。

水に溶けにくい。 適切です。オゾンは水に対して極端に高い溶解性をもつ物質ではなく、「水に溶けにくい気体」として整理されることがあります。試験では、アンモニアのように非常に水に溶けやすい気体と対比して理解しておくと判断しやすいです。オゾンは水処理や殺菌に利用されることがあるため、「水に使うのだから水に溶けやすいはずだ」と考えてしまいやすいですが、実際にはその強い酸化力を利用しているのであって、単純に高い溶解性が本質ではありません。この選択肢は、他の気体との比較の中で見ると適切な内容です。

(2) 紫外線による光化学反応で生成される。

紫外線による光化学反応で生成される。 適切です。オゾンは、酸素分子が紫外線などのエネルギーを受けて変化し、生成されます。大気中では、太陽光に含まれる紫外線の影響を受けた光化学反応によって生じることがあり、光化学オキシダントの主成分の一つとしても知られています。つまり、オゾンは自然界でも人工的な環境でも、酸素とエネルギーの関与によって発生する物質です。試験では「紫外線」「放電」「光化学反応」といった語句が出てきたら、オゾンの発生と結び付けて整理しておくと得点しやすくなります。

(3) (公社)日本産業衛生学会は、作業環境におけるオゾンの許容濃度を示している。

(公社)日本産業衛生学会は、作業環境におけるオゾンの許容濃度を示している。 適切です。日本産業衛生学会は、労働者が有害物質にさらされる作業環境において、健康障害を防ぐための許容濃度を示しています。オゾンもその対象となる物質の一つです。ここで大切なのは、「許容濃度」は一般環境の基準ではなく、主として作業環境における管理の目安だという点です。建築物衛生法の空気環境基準や一般環境基準と混同しないようにしましょう。試験では「誰が示す基準なのか」「どの場面で使う基準なのか」を区別できることが重要です。

(4) 吸入すると肺の奥まで達し、肺気腫を起こすことがある。

吸入すると肺の奥まで達し、肺気腫を起こすことがある。 適切です。オゾンは強い酸化作用をもつため、吸入すると気道や肺の組織を刺激し、呼吸器に障害を与えるおそれがあります。特に高濃度では、肺の深部にまで影響が及び、肺機能の低下や肺障害の原因となります。試験では「オゾンは呼吸器系に有害である」という理解が重要です。なお、実務上は咳、胸部不快感、呼吸苦、肺機能低下などの表現で問われることもあります。「肺の奥まで達する」「酸化作用が強い」というキーワードを押さえておくと、健康影響に関する問題に対応しやすくなります。

(5) 無臭である。

無臭である。 不適切です。オゾンは無臭ではなく、特有の刺激臭をもつ気体です。雷のあとやコピー機・放電機器の周辺で感じるような、金属的で刺激のあるにおいとして説明されることがあります。このため、「無臭」という記述は誤りです。受験では、一酸化炭素のような無色・無臭の気体と混同しないことが大切です。オゾンは無色に近い気体として扱われることがありますが、においについては明確に「特有の臭気がある」と覚えておく必要があります。したがって、この問題の最も不適当な選択肢はこれです。

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この問題で覚えるポイント

オゾンは酸素から生成される強い酸化性をもつ気体で、紫外線や放電による反応で発生します。大気中では光化学反応により生じ、光化学オキシダントの主成分としても重要です。人体への影響としては、吸入によって気道や肺を刺激し、肺の深部にまで障害を及ぼすことがあります。したがって、呼吸器への有害性を中心に整理しておくことが大切です。また、オゾンは無臭ではなく、特有の刺激臭があります。この点は、一酸化炭素などの無臭の有害ガスと混同しやすいため、試験でよく狙われます。さらに、日本産業衛生学会が示す許容濃度は作業環境での健康障害防止を目的とした指標であり、一般環境基準とは性格が異なることも押さえておきましょう。つまり、オゾンについては「発生機構」「強い酸化作用」「呼吸器障害」「刺激臭」「作業環境における許容濃度」という5点を一体で覚えることが重要です。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「有害ガス=無臭のものが多い」という受験者の思い込みを利用している点にあります。たとえば一酸化炭素は無色・無臭であるため、その印象に引きずられてオゾンまで無臭だと誤認しやすいです。また、オゾンはコピー機や放電装置、殺菌装置などでも使われるため、「身近に使われるものだから危険性は弱いのではないか」と感じてしまうのも罠です。しかし実際には、オゾンは強い酸化力をもち、呼吸器に有害です。さらに、「水処理に使われる」「自然界でも発生する」という事実から、安全な物質のように受け取ってしまうこともありますが、用途があることと安全であることは別です。試験では、このように一部だけ正しいイメージに引っ張られず、「においはあるか」「どこに障害を与えるか」「どの基準がどの場面のものか」を切り分けて判断することが大切です。

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