出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年) 給水および排水の管理 第107問
問題
給水及び排水に関する用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) メカニカル形接合 ――― ねじ込み、接着等による配管の接合方法
(2) 毛細管現象 ――― トラップのウェアに引っ掛かった糸くずや毛髪により、漸次封水が減少する現象
(3) 着色障害 ――― 主として給水配管材料の腐食による生成物が水に溶解することにより起こる現象
(4) 生物膜法 ――― 微生物が主要な構成要素となっている膜を利用して汚水を処理する方法
(5) DPD法 ――― 水道水の残留塩素を発色試薬を用いて簡易に測定する方法
ビル管過去問|給水排水設備の用語と説明を解説
この問題は、給水排水設備分野で頻出の基本用語を正しく理解しているかを問う問題です。見た目は暗記問題に見えますが、実際には「用語の定義」と「現象の起こる原因」を正確に区別できるかが試されています。正しい選択肢は(2)(3)(4)(5)で、最も不適当なのは(1)です。メカニカル形接合は、ねじ込みや接着のような方法そのものを指すのではなく、機械的な継手部品を用いて接合する方式を指します。そのため、(1)の説明が誤りです。
(1) メカニカル形接合 ――― ねじ込み、接着等による配管の接合方法
不適切です。その理由は、メカニカル形接合とは、継手や締付け金具、ゴム輪などの機械的な部材を用いて配管を接合する方法だからです。代表例としては、差し込み式、ゴム輪式、圧着式、クランプ式などが挙げられます。一方で、ねじ込み接合は管や継手にねじを切って締め込む方法であり、接着接合は接着剤で一体化する方法です。これらはそれぞれ別の接合方式として扱われます。つまり、メカニカル形接合の説明として「ねじ込み、接着等による接合方法」とするのは分類がずれており、不適当です。
(2) 毛細管現象 ――― トラップのウェアに引っ掛かった糸くずや毛髪により、漸次封水が減少する現象
適切です。その理由は、毛細管現象とは、細いすき間や繊維状のものに沿って水が引き上げられたり、吸い出されたりする現象であり、トラップの封水が減少する原因の一つだからです。トラップのウェア部に糸くずや毛髪が引っ掛かると、それが毛細管のような働きをして水を少しずつ引き上げ、結果として封水が徐々に失われます。封水が減ると、下水管からの臭気や有害なガス、害虫などが室内側へ侵入しやすくなるため、維持管理上も重要な知識です。日常的には小さな異物に見えても、排水衛生上は無視できない現象です。
(3) 着色障害 ――― 主として給水配管材料の腐食による生成物が水に溶解することにより起こる現象
適切です。その理由は、着色障害とは、水に色がつく障害であり、その代表的な原因の一つが配管材料の腐食生成物の混入だからです。例えば、鋼管などが腐食すると鉄さびが発生し、赤水の原因になります。また、銅管では青色系の着色が問題になることもあります。利用者から見ると「水が濁っている」「色がついている」という感覚になりますが、背景には給水設備や配管材料の劣化、腐食、通水条件などの設備的要因が隠れています。したがって、この説明は給水障害の理解として適切です。
(4) 生物膜法 ――― 微生物が主要な構成要素となっている膜を利用して汚水を処理する方法
適切です。その理由は、生物膜法が、担体やろ材の表面に形成された微生物の膜を利用して有機物を分解し、汚水を処理する方式だからです。散水ろ床法、接触ばっ気法、回転円板法などは、この考え方に基づく代表的な処理法です。微生物が水中に浮遊して処理を行う活性汚泥法とは異なり、生物膜法では微生物が表面に付着して働きます。排水処理分野では、この「浮遊しているのか、付着しているのか」の違いが重要な整理ポイントになります。この説明は、生物膜法の本質を押さえています。
(5) DPD法 ――― 水道水の残留塩素を発色試薬を用いて簡易に測定する方法
適切です。その理由は、DPD法が残留塩素測定の代表的な簡易測定法だからです。DPD試薬を加えると、残留塩素の量に応じて発色し、その色の濃さによって濃度を判定します。給水管理では、消毒が適正に行われているかを確認することが非常に重要であり、残留塩素の確認は日常管理の基本です。ビル管試験でも、残留塩素の測定方法としてDPD法は繰り返し問われやすい知識ですので、名称と用途をセットで覚えておく必要があります。
この問題で覚えるポイント
配管の接合方法は、ねじ込み接合、溶接接合、接着接合、フランジ接合、メカニカル形接合などに分類して整理すると判断しやすくなります。メカニカル形接合は、機械的な継手や部品を使って接合する方法です。 トラップの封水損失には、自己サイホン作用、誘導サイホン作用、蒸発、毛細管現象などがあります。特に毛細管現象は、糸くずや毛髪などが原因になる点がよく問われます。 着色障害は、給水配管の腐食生成物が原因になることが多く、赤水は鉄系、青水は銅系と関連づけて覚えると整理しやすいです。 排水処理では、生物膜法と活性汚泥法の違いが重要です。生物膜法は微生物がろ材などに付着して働く方式、活性汚泥法は微生物が水中に浮遊して働く方式です。 DPD法は残留塩素の簡易測定法です。残留塩素は給水の衛生管理に直結するため、測定方法と管理目的を一体で覚えることが大切です。 この分野は、用語だけを丸暗記するよりも、「何の設備で使う言葉か」「何が原因で起こる現象か」「何を測る方法か」という機能面で整理すると、正誤判断に強くなります。
ひっかけポイント
もっとも多い罠は、「それっぽい言葉の並び」に引っ張られることです。メカニカルという語感から広く機械的な作業全般を連想してしまい、ねじ込みや接着まで含めてしまうと誤答しやすくなります。試験では、分類上どこに属するかを厳密に見ています。 封水損失の原因は複数あるため、毛細管現象と蒸発、サイホン作用を混同しやすいです。現象の名前ではなく、「何が水を減らしているのか」で見分けることが大切です。 着色障害は、水そのものの性質ではなく、設備側の腐食や材料劣化に起因することが多い点が盲点です。利用者目線では単なる色の問題に見えても、設備管理の視点では腐食障害として捉える必要があります。 生物膜法は、「膜」という語からろ過膜や化学的な膜処理を連想すると危険です。ここでいう膜は、微生物群が形成する生物学的な膜です。 DPD法は名前だけを見ると専門的で難しく感じますが、実際には残留塩素の簡易測定法です。難しそうな略語が出ても、まず「何を測る方法か」に置き換える癖をつけると正解しやすくなります。
