出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年)|給水および排水の管理 第108問
問題
給水及び排水の管理に関する用語の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 水槽照度率 ――― 水槽外照度に対する水槽内照度の割合
(2) スカム ――― 排水槽内の浮上物質
(3) 金属の不動態化 ――― 酸化被膜の生成
(4) 給湯循環ポンプの背圧 ――― ポンプの吐出し側にかかる圧力
(5) 異臭味 ――― 藻類や放線菌による産生
ビル管過去問|給水排水設備の基礎用語を解説
この問題は、給水排水管理で使われる基本用語の意味を正しく理解しているかを問う問題です。現場では似たような言葉でも、指している場所や現象が異なることが多く、そこを曖昧に覚えていると失点しやすくなります。正しい選択肢は、給湯循環ポンプの背圧を「ポンプの吐出し側にかかる圧力」とした組合せが不適当であるため、(4)です。背圧は一般に吐出し先の系統側からポンプに対してかかる抵抗圧を指しますが、単純に「吐出し側にかかる圧力」とだけ捉えると意味を取り違えやすく、用語の理解として不正確です。
(1) 水槽照度率 ――― 水槽外照度に対する水槽内照度の割合
適切です。水槽照度率とは、水槽の外の明るさに対して、水槽内部がどの程度の明るさになっているかを示す割合です。受水槽や高置水槽では、内部に光が入りすぎると藻類の発生を助長し、水質悪化の原因になります。そのため、水槽内の照度を外部照度に対する割合で評価する考え方は正しく、用語の説明として適切です。
(2) スカム ――― 排水槽内の浮上物質
適切です。スカムとは、排水や汚水の表面に浮いてくる油脂類、泡、軽い浮遊物などの総称です。排水槽では、固形物のうち重いものは沈殿し、軽いものは浮上します。この浮上した物質がスカムであり、槽内の悪臭や機器の不具合、清掃負担の増加につながるため、維持管理上も重要な用語です。
(3) 金属の不動態化 ――― 酸化被膜の生成
適切です。金属の不動態化とは、金属表面に緻密な酸化被膜が形成され、その被膜が内部金属を保護することで腐食しにくくなる現象です。代表例としてステンレス鋼があり、表面の不動態被膜によって耐食性を保っています。したがって、「酸化被膜の生成」と結び付ける説明は正しいです。
(4) 給湯循環ポンプの背圧 ――― ポンプの吐出し側にかかる圧力
不適切です。背圧とは、ポンプが水を送り出す先の配管系統や機器の抵抗によって、吐出し側から逆にポンプへ作用する圧力、あるいは吐出しを妨げる圧力のことです。単に「ポンプの吐出し側にかかる圧力」と表現すると、吐出し圧そのものと混同しやすくなります。試験では、ポンプが発生させる圧力と、系統側から受ける抵抗圧としての背圧を区別して理解しているかが問われます。この選択肢は、言い方が曖昧で、用語の定義としては不正確です。
(5) 異臭味 ――― 藻類や放線菌による産生
適切です。水の異臭味は、藻類や放線菌などの微生物が産生する物質によって生じることがあります。たとえば、かび臭や土臭は代表的な異臭味であり、浄水管理や貯水槽管理で重要な観点です。水が外観上きれいでも、臭いや味に異常があると利用者の不快感や水質異常の疑いにつながるため、この説明は正しいです。
この問題で覚えるポイント
給水排水設備の基礎用語は、現場の状態や設備の働きを正確に言葉で表せるかが重要です。水槽照度率は、水槽外照度に対する水槽内照度の割合であり、水槽内への光の侵入程度を示します。光が入るほど藻類が発生しやすくなるため、貯水槽管理では重要な指標です。スカムは浮上物質、沈殿物はスラッジや汚泥と整理して覚えると混同しにくくなります。金属の不動態化は、表面に酸化被膜ができて腐食を防ぐ現象です。給湯循環ポンプでは、吐出し圧、揚程、背圧などの似た用語を区別することが大切で、背圧は系統側の抵抗としてポンプに作用する圧力という理解が必要です。異臭味は、藻類や放線菌、あるいは有機物由来の成分などによって生じることがあり、色や濁りがなくても水質異常の手がかりになります。試験では、用語の意味を一語一句で問う問題が出やすいため、定義の中心部分を短く正確に覚えることが得点につながります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、説明が一見もっともらしく見える言い換えにあります。特にポンプ関係の用語は、吐出し圧、背圧、揚程などが似た場面で使われるため、何となく理解していると誤りに気づきにくくなります。また、スカムや異臭味のように、現場経験がある人ほど感覚的に分かったつもりになりやすい用語も注意が必要です。問題作成者は、完全に間違った説明ではなく、「一部は合っているが定義としてはズレている」表現を混ぜてきます。今後も、設備用語の問題では、現象の説明として何となく通じるかではなく、正式な意味として正確かどうかで判断する意識を持つことが大切です。
