出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第86問
問題
ある測定点で、1台75dBの騒音レベルを生じる機械を6台同時に稼働させた場合の騒音レベルとして、最も近いものは次のうちどれか。
ただし、log102=0.3010、log103=0.4771とする。
(1) 78dB
(2) 80dB
(3) 83dB
(4) 84dB
(5) 85dB
ビル管過去問|騒音レベルの合成計算(複数騒音源の騒音レベル)を解説
この問題は、同じ騒音レベルの機械が複数台あるとき、全体の騒音レベルをどのように合成するかを問う計算問題です。騒音レベルは単純な足し算ではなく、対数計算で求めます。同じレベルの騒音源がn台ある場合は、1台の騒音レベルに10log10nを加えます。今回は75dBの機械が6台なので、75+10log106で求めます。log106はlog10(2×3)=log102+log103=0.3010+0.4771=0.7781ですから、10log106=7.781となります。したがって合成騒音レベルは75+7.781=82.781dBで、最も近いのは83dBです。正しい選択肢は(3)です。
(1) 78dB
不適切です。その理由は、騒音レベルの増加分を小さく見積もりすぎているためです。同じ騒音源が複数台ある場合、6台での増加分は10log106となります。これは約7.8dBですから、75dBに加えると約82.8dBになります。78dBだと増加分はわずか3dBしかなく、これはおおむね同じ騒音源が2台になったときの増加に近い値です。6台同時運転の結果としては低すぎます。
(2) 80dB
不適切です。その理由は、これも合成後の値が低すぎるためです。80dBは75dBから5dB増えた計算になりますが、同一レベルの騒音源が6台ある場合の増加分は約7.8dBです。騒音レベルは感覚的に台数分をそのまま加えるものではありませんが、だからといって増加がごく小さいわけでもありません。対数で合成すると、6台では約83dBになるため、80dBは最も近い値とはいえません。
(3) 83dB
適切です。その理由は、騒音レベルの合成式に正しく当てはまるためです。同じ騒音レベルLの機械がn台あるときの合成騒音レベルは、L+10log10nで求めます。今回はL=75、n=6です。6は2×3なので、log106=log102+log103=0.3010+0.4771=0.7781です。したがって、10log106=7.781となり、75+7.781=82.781dBです。選択肢の中では83dBが最も近く、これが正解です。
(4) 84dB
不適切です。その理由は、計算結果よりやや高い値だからです。正しく計算すると約82.8dBであり、四捨五入すれば83dBが最も近い値です。84dBは近く見えますが、この問題は「最も近いもの」を選ぶ形式なので、82.8dBとの差を比較すると83dBのほうが適切です。計算問題では、おおよその感覚で選ぶのではなく、最後まで数値を出してから最も近い選択肢を選ぶことが大切です。
(5) 85dB
不適切です。その理由は、合成後の騒音レベルを高く見積もりすぎているためです。85dBは75dBから10dB上がった値ですが、同じ騒音源が6台になっても10dB増えるわけではありません。10dB増加するのは、騒音エネルギーがおおむね10倍になった場合に相当します。今回は6台なので、増加分は10log106で約7.8dBにとどまります。したがって85dBは過大です。
この問題で覚えるポイント
騒音レベルは単純加算できません。dBは対数表示なので、複数の騒音源を合成するときは対数計算を使います。
同じ騒音レベルの音源がn台ある場合は、合成騒音レベル=1台の騒音レベル+10log10nで求めます。これは試験で非常によく使う基本式です。
代表的な増加幅を覚えると速く解けます。2台で約3dB増、3台で約4.8dB増、4台で約6dB増、10台で10dB増です。6台なら2台や4台より大きく、10台より小さいので、増加分は約7.8dBと見当をつけられます。
対数の分解も重要です。6=2×3なので、log106=log102+log103と分けられます。今回のように与えられた値を使って計算できるようにしておくと得点しやすいです。
dBは数値の見た目ほど直線的ではありません。75dBの機械が6台あっても、75×6=450dBのような計算は絶対にしません。ここは基本中の基本です。
最終的に選択肢を選ぶときは、途中計算で止めず、実際の数値との差を見て最も近いものを選ぶことが大切です。
ひっかけポイント
この問題の最大の罠は、dBを普通の数値のように足してしまうことです。騒音レベルは対数表示なので、機械が増えても台数分だけそのまま増えるわけではありません。日常感覚のまま計算すると大きく外します。
次によくある罠は、2台で3dB増という知識だけを曖昧に覚えていて、6台でも似たような増加だろうと考えてしまうことです。2台、4台、8台で増加量は変わります。台数が増えるほど少しずつ上がりますが、直線的には増えません。
また、84dBのような「惜しそうな数字」を置くのも典型的です。82.8dBという計算結果に対して、83dBと84dBの両方が近く見えますが、実際には83dBのほうが近いです。最後の比較を雑にすると落としやすい問題です。
さらに、対数の計算で6をそのまま扱えずに止まってしまう受験者もいますが、6=2×3と分解すれば与えられたlogの値で処理できます。このように、与えられた条件をどう使うかまで見抜くことが大切です。今後も、対数問題では「分解できる数に直す」「増加分だけを先に出す」「最後に元のdBへ足す」という手順で解くと安定します。
