出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第87問
問題
空調機械室からの騒音に関する伝搬音の種類の組合せとして、最も適当なものはどれか。
(1) ア:固体伝搬音 イ:固体搬音 ウ:空気伝搬音
(2) ア:固体伝搬音 イ:空気伝搬音 ウ:空気伝搬音
(3) ア:固体伝搬音 イ:空気伝搬音 ウ:固体伝搬音
(4) ア:空気伝搬音 イ:固体搬音 ウ:固体伝搬音
(5) ア:空気伝搬音 イ:固体搬音 ウ:空気伝搬音
ビル管過去問|空調機械室の騒音伝搬(固体伝搬音空気伝搬音)を解説
この問題は、空調機械室で発生した騒音がどの経路で伝わるかを、固体伝搬音と空気伝搬音に分けて判断する問題です。正しい選択肢は(2)です。ダクトや管路そのものが振動して伝わる音は固体伝搬音であり、隔壁や隙間を通って伝わる音、ダクト内の空気中を進んで吹出口や吸込口から出てくる音は空気伝搬音です。騒音問題では、音の発生源だけでなく、何を媒体にして伝わっているかを見分けることが大切です。
(1) ア:固体伝搬音 イ:固体搬音 ウ:空気伝搬音
不適切です。アとウの判断は正しいですが、イの判断が誤っています。ダクトや管路系の振動に起因する音は、機器の振動が金属製のダクトや配管、建物躯体などの固体部分に伝わって発生するため、固体伝搬音です。一方で、隔壁や隙間等を透過してくる空調機の音は、空気中を伝わる音が壁を透過したり、隙間から漏れたりして到達するものであり、固体伝搬音ではなく空気伝搬音です。ウのようにダクト内を空気中で伝わり、給排気口から室内へ放射される音は空気伝搬音です。したがって、この組合せは一部だけ正しく、全体としては不適切です。
(2) ア:固体伝搬音 イ:空気伝搬音 ウ:空気伝搬音
適切です。アは、送風機やポンプなどの機械振動がダクト管路系に伝わり、その振動が音として問題になるため、固体伝搬音に分類されます。ここで重要なのは、音が空気中を飛んでくるのではなく、まず固体が振動しているという点です。イは、空調機から出た音が隔壁を透過したり、壁の隙間や開口部から漏れたりして伝わるので、空気伝搬音です。ウは、ダクト内の空気中を音が進み、最終的に給排気口から放射されるため、これも空気伝搬音です。音の伝わる媒体に着目すると、この組合せが最も適当であると判断できます。
(3) ア:固体伝搬音 イ:空気伝搬音 ウ:固体伝搬音
不適切です。アとイの判断は正しいですが、ウが誤っています。ダクト内を伝搬して給排気口から放射される音は、ダクト内部の空気を媒体として伝わる音です。つまり、音波が空気中を進んでいるので、分類としては空気伝搬音です。ダクトが振動してその振動が別の部材へ伝わる場合は固体伝搬音になりますが、この選択肢のウは「ダクト内を伝搬して」「給排気口から放射される音」とあるため、主役はあくまでダクト内の空気です。ここを読み違えると誤答しやすいです。
(4) ア:空気伝搬音 イ:固体搬音 ウ:固体伝搬音
不適切です。ア、イ、ウのいずれも分類が誤っています。アはダクトや管路系の振動に起因する音なので、空気伝搬音ではなく固体伝搬音です。イは空調機から出た音が隔壁や隙間を通して伝わる現象であり、基本的には空気伝搬音です。ウはダクト内の空気中を伝わって吹出口や吸込口から出てくる音ですから、固体伝搬音ではなく空気伝搬音です。この選択肢は、固体伝搬音と空気伝搬音の定義がほぼ逆転しているため、基礎理解ができていれば除外しやすい選択肢です。
(5) ア:空気伝搬音 イ:固体搬音 ウ:空気伝搬音
不適切です。ウは空気伝搬音で正しいものの、アとイが誤っています。アは機械や設備の振動がダクトや配管に伝わって問題になる音なので、空気伝搬音ではなく固体伝搬音です。イは壁や隙間を通して伝わる空調機の音であり、空気中の音が透過漏えいしている現象なので空気伝搬音です。隔壁という言葉が入ると、壁そのものが振動しているように感じて固体伝搬音と考えたくなりますが、この問題文では「透過してくる空調機から発生した音」とあるため、空気伝搬音として捉えるのが適切です。
この問題で覚えるポイント
固体伝搬音とは、機械や設備の振動がダクト、配管、壁、床、梁などの固体部分に伝わり、その振動によって別の場所で音として知覚されるものです。送風機、ポンプ、冷凍機、モータなどの振動が原因になりやすいです。 空気伝搬音とは、音波が空気中を伝わるものです。機械室内で発生した音が空間を通って広がる場合、壁や扉の隙間から漏れる場合、隔壁を透過する場合、ダクト内の空気中を進んで吹出口から放射される場合は、基本的に空気伝搬音として扱います。 判断のコツは、何が揺れているかではなく、何を主な伝搬媒体として音が進んでいるかを見ることです。固体が主なら固体伝搬音、空気が主なら空気伝搬音です。 ダクトに関する騒音は二種類に分けて考えることが重要です。ダクト自体の振動によるものは固体伝搬音であり、ダクト内の空気中を進むものは空気伝搬音です。同じダクトが出てきても、着目点によって分類が変わります。 隔壁、扉、隙間、開口部、給排気口、吹出口といった語が出てきたときは、空気伝搬音を疑うのが基本です。一方で、振動、防振、防振吊り、防振ゴム、配管支持、躯体伝搬といった語が出てきたときは、固体伝搬音を疑うと正誤判断しやすくなります。 対策としては、固体伝搬音には防振架台、防振ゴム、防振継手、縁切りなどが有効であり、空気伝搬音には吸音材、遮音、消音器、ダクト内張り、隙間対策などが有効です。試験では伝搬音の種類と対策がセットで問われることがあります。
ひっかけポイント
最も多い罠は、ダクトという言葉が出たら何でも固体伝搬音だと思い込むことです。ダクトが振動しているのか、ダクト内の空気を音が進んでいるのかで分類は変わります。設備部材の名前だけで判断すると間違えます。 隔壁という語に引っ張られて、壁を通るのだから固体伝搬音だと考えてしまうのも典型的な誤りです。試験では「壁を介している」ことと「固体伝搬音」であることを意図的に結びつけたくなる表現が使われます。しかし、音が空気中を伝わって壁を透過してくるなら、基本は空気伝搬音です。 「一部だけ正しい」選択肢にも注意が必要です。この問題でも、正しい分類が二つ入っている選択肢があり、最後の一つだけが誤っています。受験本番では、最初の二つが合っていると安心して選んでしまいやすいです。三つすべてを個別に確認する習慣が必要です。 日常感覚では、音はすべて空気を通って聞こえるように感じますが、建築設備では振動が構造体や配管を通じて伝わり、その先で音になる現象が重要です。この専門的な見方に切り替えられないと、固体伝搬音を見落とします。 今後も同じパターンに対応するには、問題文の名詞ではなく、動詞や説明部分に注目することが大切です。「振動に起因する」「透過してくる」「ダクト内を伝搬して放射される」といった表現が、そのまま分類の手掛かりになります。
