出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第80問
問題
ホルムアルデヒド測定法に関する組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) アクティブ法 ――― DNPHカートリッジ捕集-HPLC法
(2) アクティブ法 ――― 検知管法
(3) アクティブ法 ――― 燃料電池法
(4) パッシブ法 ――― DNPH含浸チューブ HPLC法
(5) パッシブ法 ――― 定電位電解法
ビル管過去問|ホルムアルデヒド測定(測定方法と分析法)を解説
この問題は、ホルムアルデヒドの測定法について、アクティブ法とパッシブ法の違い、およびそれぞれに対応する分析法を正しく整理できているかを問う問題です。ポイントは、ポンプなどで空気を吸引して採取するのがアクティブ法、自然拡散で採取するのがパッシブ法という基本を押さえることです。正しい選択肢の組合せを知っているだけでなく、なぜその方法がその分類に入るのかまで理解しておくと、応用問題にも対応しやすくなります。最も不適当なのは(5)です。定電位電解法は、その場で電気化学的に濃度を測定する簡易測定法ですが、一般には空気を取り込んで測るアクティブ法として扱います。したがって、「パッシブ法 ――― 定電位電解法」という組合せは誤りです。
(1) アクティブ法 ――― DNPHカートリッジ捕集-HPLC法
適切です。DNPHカートリッジ捕集-HPLC法は、ホルムアルデヒドの代表的な精密測定法です。ポンプで一定量の空気を吸引し、DNPHでホルムアルデヒドを捕集誘導体化したうえで、HPLCで分析します。空気を機械的に吸引して試料を採取するため、これは典型的なアクティブ法です。ビル管試験では、DNPHとHPLCの組合せが出てきたら、まず精密測定法かつアクティブ法を思い浮かべられるようにしておくと安定します。
(2) アクティブ法 ――― 検知管法
適切です。検知管法は、ポンプを用いて一定量の空気を検知管に通し、試薬の変色から濃度を読み取る方法です。現場で簡便に測定できる方法ですが、空気を自ら吸い込ませるのではなく、ポンプで能動的に通気させるため、分類としてはアクティブ法です。簡易測定法であることと、パッシブ法であることは同じではありません。ここを混同すると誤答しやすいので注意が必要です。
(3) アクティブ法 ――― 燃料電池法
適切です。燃料電池法は、ホルムアルデヒドに反応して生じる電気的変化を利用して濃度を測定する方法です。簡易測定器として用いられることが多く、現場でその場測定が可能です。この種の電気化学的測定法は、測定器に空気を取り込んで検出する仕組みであり、一般にアクティブ法として整理されます。したがって、この組合せは正しいです。簡易測定法だからパッシブ法だろう、と短絡的に判断しないことが大切です。
(4) パッシブ法 ――― DNPH含浸チューブ HPLC法
適切です。DNPH含浸チューブ-HPLC法は、パッシブサンプラーを一定時間設置し、空気中のホルムアルデヒドを自然拡散で捕集して、その後HPLCで分析する方法です。ポンプを使わずに採取するため、これはパッシブ法です。DNPHを使うからすべてアクティブ法と考えてしまうと誤ります。DNPHは捕集剤の話であり、アクティブ法かパッシブ法かは、採取時にポンプを使うかどうかで区別するのが基本です。
(5) パッシブ法 ――― 定電位電解法
不適切です。定電位電解法は、電気化学反応を利用してホルムアルデヒド濃度を測定する方法で、一般には測定器に空気を取り込んで測定するアクティブ法として扱います。パッシブ法は、自然拡散によって捕集し、後から分析する方式が基本です。一方、定電位電解法は、測定器内部の電極反応を用いて比較的短時間で濃度を読み取る方式なので、パッシブ法とは性質が異なります。この問題では、「簡易測定法」と「パッシブ法」を混同しないことが重要です。簡易であっても、空気を能動的に取り込んで測るならアクティブ法に分類されます。
この問題で覚えるポイント
ホルムアルデヒド測定では、まず「アクティブ法」と「パッシブ法」の違いを整理することが最優先です。アクティブ法はポンプなどで空気を吸引して採取する方法で、パッシブ法は自然拡散で採取する方法です。分類の基準は、精密か簡易かではなく、採取のしかたです。
精密測定法の代表は、DNPHカートリッジ捕集-HPLC法です。これはポンプで一定量の空気を吸引して捕集するので、アクティブ法に入ります。ホルムアルデヒド測定の王道として頻出です。
パッシブ法の代表は、DNPH含浸チューブやバッジ型サンプラーなどを用い、自然拡散で捕集して後からHPLCなどで分析する方法です。ポンプを使わない点が本質です。
簡易測定法としては、検知管法、燃料電池法、定電位電解法、光電光度法、化学発光法などがあります。このうち検知管法、燃料電池法、定電位電解法は、現場で比較的短時間に測定値を得る方法として整理しておくとよいです。
DNPHという言葉が出てきても、それだけでアクティブ法と決めつけないことが大切です。DNPHは捕集剤であり、アクティブ法にもパッシブ法にも使われます。試験ではここをずらして問われやすいです。
定電位電解法や燃料電池法は、どちらも電気化学的な原理を使う簡易測定法です。名称が似ているため混同しやすいですが、どちらもその場測定に使われる側の知識として押さえておくと判断しやすくなります。
正誤判断では、「ポンプを使うか」「自然拡散か」「その場で読むか」「後でHPLCなどにかけるか」を軸に考えると整理しやすいです。この視点を持つと、ホルムアルデヒド以外の室内空気中化学物質の測定問題にも応用できます。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、「簡易測定法」と「パッシブ法」をわざと混同させる点です。現場で手軽に使える方法を見ると、受験者はついパッシブ法だと思いがちです。しかし、簡易であることと、自然拡散で採取することは別問題です。測定器で空気を取り込んで測るなら、簡易でもアクティブ法です。
次に狙われやすいのは、DNPHという語への反射的な判断です。DNPHが出ると、精密測定法のイメージが強いため、すべてアクティブ法だと思い込んでしまう受験者が少なくありません。実際には、DNPHは捕集剤なので、パッシブサンプラーにも使われます。試験作成者は、この「聞いたことがある単語に飛びつく癖」を突いてきます。
また、定電位電解法や燃料電池法のような電気化学的測定法は、名前だけでは採取方式が見えにくいため、受験者があいまいな記憶のまま選びやすいところです。用語を丸暗記しているだけだと、どの方式がアクティブ法かを見失います。原理のイメージまで持っておくことが大切です。
さらに、この手の問題では「一見もっともらしい組合せ」が並びます。全部それっぽく見えるので、最後は分類の軸を持っていないと迷います。今後も同じ罠に引っかからないためには、「捕集剤の名前」と「採取方式」と「分析機器」を切り分けて覚えることが有効です。これができると、少し表現を変えられても落ち着いて正誤判断できます。
