出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第75問
問題
空気調和設備の配管系における配管名称と使用区分との組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 圧力配管用炭素鋼鋼管 ――― 高温水
(2) 一般配管用ステンレス鋼鋼管 ――― 冷却水
(3) 水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管 ――― 冷却水
(4) 配管用炭素鋼鋼管(白管)――― 冷温水
(5) 耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管 ――― 蒸気
ビル管過去問|空調配管(配管名称と用途)を解説
この問題は、空調設備で使われる配管材料と、その配管がどの流体や温度条件に適しているかを問う問題です。配管は、流すものが冷水なのか温水なのか、あるいは蒸気なのかによって、必要な耐熱性、耐圧性、耐食性が大きく変わります。したがって、材料名だけを暗記するのではなく、その材質がどのような環境に強いのかを理解しておくことが大切です。正しい選択肢の組合せは、圧力配管用炭素鋼鋼管と高温水、一般配管用ステンレス鋼鋼管と冷却水、水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管と冷却水、配管用炭素鋼鋼管(白管)と冷温水です。不適当なのは、耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管を蒸気に使用する組合せです。蒸気配管では高温に加えて圧力もかかるため、樹脂系の耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管は適しません。
(1) 圧力配管用炭素鋼鋼管 ――― 高温水
適切です。圧力配管用炭素鋼鋼管は、一定の圧力や温度がかかる配管に用いられる鋼管です。高温水配管では、水温が高くなるため、通常の給水配管よりも耐熱性と耐圧性が求められます。そのため、機械的強度に優れた圧力配管用炭素鋼鋼管は高温水配管に適しています。空調設備ではボイラーや熱交換器まわりなどで高温水を扱うことがあり、このような系統では強度を確保できる配管材料を選ぶ必要があります。
(2) 一般配管用ステンレス鋼鋼管 ――― 冷却水
適切です。一般配管用ステンレス鋼鋼管は、耐食性に優れているため、冷却水系統に使用されることがあります。冷却水は開放系で使われることも多く、配管内部に腐食やスケールが生じやすい条件になりやすいです。そのため、腐食に強いステンレス鋼鋼管は冷却水配管との相性がよい材料です。特に長寿命化や保守負担の軽減を図るうえで、耐食性の高い材料を用いることには大きな意味があります。
(3) 水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管 ――― 冷却水
適切です。水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管は、鋼管の内面に硬質塩化ビニルを被覆した配管で、鋼管の強度と樹脂の耐食性を組み合わせた材料です。冷却水配管では、水質や使用条件によっては鋼管の腐食が問題となるため、内面ライニングによって腐食を抑えるこの種の管が用いられます。冷却水は蒸気ほどの高温にはならないため、適切な条件下ではこのようなライニング鋼管は十分実用的です。
(4) 配管用炭素鋼鋼管(白管)――― 冷温水
適切です。配管用炭素鋼鋼管のうち白管は、亜鉛めっきが施された鋼管で、空調の冷温水配管などに使用されることがあります。冷温水配管では、蒸気配管ほどの高温や高圧にはならず、機械的強度と施工性のバランスが重要です。そのため、一般的な冷温水系統では配管用炭素鋼鋼管が採用されることがあります。もちろん実務では水質や腐食対策、仕様基準によって選定が変わりますが、組合せとしては不適当ではありません。
(5) 耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管 ――― 蒸気
不適切です。耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管は、通常の硬質塩化ビニル管より高温に強いものの、蒸気配管に使えるほどの耐熱性や耐圧性を備えた材料ではありません。蒸気は高温であるうえ、圧力も伴うため、配管には金属管のような高い強度と安全性が求められます。樹脂管は温水や一部の給湯用途には使われることがありますが、蒸気用途では軟化、変形、劣化の危険があるため不向きです。この問題では、「耐熱性」という言葉に引っ張られて蒸気にも使えそうだと考えてしまうと誤りやすいです。耐熱性があることと、蒸気配管に適用できることは別だと押さえておくことが大切です。
この問題で覚えるポイント
配管材料は、流体の種類、温度、圧力、腐食性を踏まえて選定します。 高温水や蒸気のように温度が高い系統では、耐熱性だけでなく耐圧性も重要です。 蒸気配管には、原則として金属管が用いられます。樹脂管は高温で軟化や劣化のおそれがあるため、蒸気には不適です。 冷却水配管では腐食が問題になりやすいため、ステンレス鋼管やライニング鋼管のような耐食性を考慮した材料が使われます。 冷温水配管は蒸気配管ほど過酷ではないため、配管用炭素鋼鋼管が使われることがあります。 試験では、「高温に強い」と「蒸気に使える」を同一視しないことが大切です。温水用、給湯用、蒸気用はそれぞれ要求性能が異なります。 樹脂管と金属管の違いとして、樹脂管は耐食性に優れる一方で、高温高圧には弱いという基本を押さえておくと、類題にも対応しやすくなります。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「耐熱性」という言葉を見た受験者に、蒸気にも使えそうだと思わせる点にあります。受験者は、耐熱性という表現から単純に高温用途全般に適すると連想しやすいですが、実際には蒸気配管では高温だけでなく圧力への耐性も必要です。つまり、言葉の一部だけが正しそうに見える「一部だけ正しい文章」が罠になっています。 また、冷却水や冷温水のように温度条件が比較的近いものについては、どの材料が使えるのか感覚で判断してしまいがちです。しかし試験では、日常感覚ではなく、耐熱性、耐圧性、耐食性という性能要件で整理して判断することが求められます。今後も、「耐熱」「耐食」「高強度」などの言葉だけで即断せず、その材料がどの温度域、圧力域、流体条件まで対応できるのかをセットで考えるようにすると、同じパターンのひっかけに強くなります。
