出典:建築物衛生管理技術者試験令和6年度(2024年)|空気環境の調整第76問
問題
換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 全熱交換器は、導入外気と排気の間で熱交換を行い、外気負荷軽減による省エネルギーを図る装置である。
(2) 外気処理空調機は、居室に必要な導入外気に対する温湿度調整空気浄化等の処理を専用に行う装置である。
(3) 建築基準法施行令では、住宅等の居室のシックハウス対策として、機械換気設備を用いる場合の必要換気量は、換気回数で0.3回/h以上と規定されている。
(4) 便所、浴室では、換気設備が単独で設置されることが多い。
(5) 建築物衛生法における空気調和設備を設けている特定建築物の空気環境の管理基準では、一酸化炭素の含有率は、6ppm以下とされている。
ビル管過去問|換気設備(換気方式と換気設備の基本)を解説
この問題は、換気設備の基本的な役割と、関係法令管理基準の数値を正確に理解しているかを問う問題です。正しい選択肢は、全熱交換器の説明である(1)、外気処理空調機の説明である(2)、便所や浴室の換気設備の説明である(4)、建築物衛生法における一酸化炭素基準の説明である(5)です。最も不適当なのは(3)で、住宅等の居室におけるシックハウス対策として必要な機械換気設備の換気回数は0.3回/h以上ではなく、0.5回/h以上です。建築基準法関係では住宅等の居室が0.5回/h以上、その他の居室が0.3回/h以上と整理すると覚えやすいです。
(1) 全熱交換器は、導入外気と排気の間で熱交換を行い、外気負荷軽減による省エネルギーを図る装置である。
適切です。全熱交換器は、室内から排出する空気と、外部から取り入れる空気の間で熱をやり取りさせる装置です。夏は排気の冷たさを、冬は排気の暖かさを利用して外気をあらかじめ処理できるため、空調機が受け持つ負荷を小さくできます。また、全熱交換器は顕熱だけでなく潜熱も交換できる方式があり、温度だけでなく湿度の面でも省エネルギーに寄与します。試験では「排気のエネルギーを捨てずに再利用する装置」という理解が大切です。
(2) 外気処理空調機は、居室に必要な導入外気に対する温湿度調整空気浄化等の処理を専用に行う装置である。
適切です。外気処理空調機は、その名のとおり外気の処理を主目的とした装置です。建物内に取り入れる新鮮外気について、温度調整、湿度調整、除じんなどを行い、室内環境に適した状態にして供給します。一般の空調機は室内循環空気の処理も行いますが、外気処理空調機は必要外気量の確保とその前処理に重点がある点が特徴です。換気と空調が一体化した設備を理解するときは、「人に必要な外気を確実に衛生的な状態で入れるための専用機」という視点で整理すると混乱しにくいです。
(3) 建築基準法施行令では、住宅等の居室のシックハウス対策として、機械換気設備を用いる場合の必要換気量は、換気回数で0.3回/h以上と規定されている。
不適切です。その理由は、住宅等の居室のシックハウス対策として求められる機械換気設備の基準は、換気回数0.3回/h以上ではなく、0.5回/h以上だからです。国土交通省のシックハウス対策の技術基準でも、住宅等の居室では換気回数0.5回/h以上、その他の居室では0.3回/h以上と整理されています。 この選択肢は、「0.3回/h」という数字自体はまったくの誤りではなく、その他の居室に対する基準として出てくるため、受験者が数字だけを曖昧に覚えていると引っかかりやすいです。住宅等の居室は人が長時間生活する空間であり、シックハウス対策としてより厳しい0.5回/h以上が求められると押さえてください。
(4) 便所、浴室では、換気設備が単独で設置されることが多い。
適切です。便所や浴室は、臭気、湿気、水蒸気を局所的に速やかに排出したい場所です。そのため、居室全体の空調換気とは別に、専用の排気設備や換気扇が単独で設置されることが多くなります。特に浴室では湿気の滞留が結露やかびの原因になり、便所では臭気の拡散防止が重要になるため、独立した局所換気が合理的です。建築設備では、居室は全般換気、便所や浴室は局所換気という整理で理解しておくと、設備の使い分けが見えやすくなります。
(5) 建築物衛生法における空気調和設備を設けている特定建築物の空気環境の管理基準では、一酸化炭素の含有率は、6ppm以下とされている。
適切です。建築物衛生法に基づく空気環境の管理基準では、一酸化炭素の含有率は6ppm以下とされています。厚生労働省の建築物環境衛生管理基準の説明資料でも、この基準が示されています。 以前の学習経験がある方は、過去の10ppmという数値と混同しやすいですが、現在の基準は6ppmです。このテーマでは、法改正前後の数値が混在して記憶されやすいため、「今の基準は6ppm」と最新の基準値で固定して覚えることが重要です。
この問題で覚えるポイント
全熱交換器は、外気と排気の間で熱と湿気を交換し、空調負荷を減らして省エネルギーに寄与する装置です。単なる換気装置ではなく、換気に伴うエネルギーロスを減らす役割まで含めて理解することが大切です。 外気処理空調機は、必要外気量に対して温度、湿度、空気清浄などの処理を専用に行う装置です。室内循環空気を主に扱う一般空調機との違いを区別しておくと、設備の役割を問う問題に対応しやすくなります。 シックハウス対策の換気回数は、住宅等の居室が0.5回/h以上、その他の居室が0.3回/h以上です。ここは数値問題として非常によく狙われます。0.5と0.3を逆にしないことが重要です。 便所、浴室、厨房などは、臭気、湿気、汚染物質を発生源の近くで排出する局所換気が基本です。一方、執務室や居室は空間全体を対象とする全般換気の考え方が中心です。局所換気と全般換気の違いは、換気設備分野の基本事項です。 建築物衛生法における空気環境の管理基準では、一酸化炭素は6ppm以下です。過去基準の10ppmと混同しやすいので、現在の管理基準を優先して記憶してください。
ひっかけポイント
この問題の最大のひっかけは、数字が似ている別基準を混同させる点にあります。住宅等の居室は0.5回/h以上、その他の居室は0.3回/h以上ですが、出題ではこの2つをわざと入れ替えてきます。数字だけを断片的に覚えていると、「0.3回/hという数値を見たことがある」という記憶だけで正しいと判断してしまいます。 また、一酸化炭素の基準も、昔の10ppmの印象が残っている受験者を狙った典型的なひっかけです。法令や管理基準は、古い知識が一部だけ正しいために、かえって誤答しやすくなります。「昔はそうだったが今は違う」という論点は、今後も繰り返し狙われます。 さらに、設備の名称から機能を曖昧に想像してしまうのも危険です。全熱交換器、外気処理空調機、局所換気設備などは、名前が分かっているつもりでも、何を対象に、どの空気を、どの目的で処理する装置なのかまで説明できないと、正誤判断で迷います。試験では、用語を丸暗記するのではなく、「どの空間に対して、何をする設備か」まで言えるようにしておくことが、安定した得点につながります。
