出典:建築物衛生管理技術者試験 令和6年度(2024年)|建築物衛生行政概論 第18問
問題
事務所衛生基準規則第2条に規定されている次の条文の( )内に入る語句及び数値の組合せとして、正しいものはどれか。 事業者は、労働者を常時就業させる室の( ア )を、設備の占める容積及び床面から( イ )メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について、( ウ )立方メートル以上としなければならない。
(1) ア:容積 イ:3 ウ:8
(2) ア:気積 イ:3 ウ:10
(3) ア:気積 イ:4 ウ:10
(4) ア:容積 イ:4 ウ:12
(5) ア:気積 イ:5 ウ:12
ビル管過去問|事務所衛生基準規則の室容積基準を解説
この問題は、事務所衛生基準規則における、常時就業させる室の空間基準を正確に覚えているかを問う問題です。ポイントは、「容積」ではなく「気積」であること、算定から除く高さは床面から4メートルをこえる空間であること、そして労働者1人について10立方メートル以上とすることです。したがって、正しい選択肢は(3)です。法令の数字問題は暗記勝負に見えますが、何を確保するための基準なのかを理解すると整理しやすくなります。ここでは、室内の空気量を確保して、労働者が健康に働ける環境を保つことが目的です。
(1) ア:容積 イ:3 ウ:8
不適切です。事務所衛生基準規則で求められているのは、室の「容積」ではなく「気積」です。気積とは、室内のうち人が呼吸し、空気環境として実際に意味を持つ空間量を意識した考え方です。また、床面から3メートルをこえる高さを除くという規定ではなく、4メートルをこえる高さにある空間を除きます。さらに、労働者1人当たりの基準も8立方メートルではなく10立方メートル以上です。この選択肢は、用語も数値も複数箇所が誤っています。
(2) ア:気積 イ:3 ウ:10
不適切です。「気積」と「1人当たり10立方メートル以上」は正しいため、かなり正しそうに見える選択肢です。しかし、床面から除外する高さが誤っています。法令では、床面から4メートルをこえる高さにある空間を除くとされています。3メートルとしてしまうと、実際よりも狭い範囲しか有効な空間として認めないことになり、条文の内容と一致しません。このように、一部が正しくても、数値が1つ違えば全体として誤りになります。
(3) ア:気積 イ:4 ウ:10
適切です。事務所衛生基準規則第2条では、労働者を常時就業させる室の気積を、設備の占める容積および床面から4メートルをこえる高さにある空間を除いて、労働者1人について10立方メートル以上としなければならないと定めています。ここでいう気積は、単なる部屋全体の大きさではなく、実質的に空気環境として意味のある空間を示しています。天井が高ければよいというものではなく、あまりに高い位置の空間は労働者の呼吸環境に直接結びつきにくいため、4メートルをこえる部分は算定から除かれます。法令の趣旨まで踏まえると、正解だと判断しやすくなります。
(4) ア:容積 イ:4 ウ:12
不適切です。床面から4メートルをこえる高さにある空間を除くという部分は正しいですが、基準となる用語と数値が誤っています。法令上は「容積」ではなく「気積」です。また、1人当たりの最低基準は12立方メートルではなく10立方メートル以上です。正しい要素と誤った要素を混在させた典型的なひっかけです。数字だけでなく、用語も正確に押さえる必要があります。
(5) ア:気積 イ:5 ウ:12
不適切です。「気積」という用語は正しいですが、高さの基準と1人当たりの必要空間量が誤っています。法令では、床面から5メートルをこえる高さではなく、4メートルをこえる高さにある空間を除きます。また、必要な気積は12立方メートル以上ではなく10立方メートル以上です。数字を大きくしておけば安全そうだと感じるかもしれませんが、試験では「より厳しい数値だから正しい」という判断は通用しません。法令で定められた数値そのものを覚える必要があります。
この問題で覚えるポイント
事務所衛生基準規則第2条では、常時就業させる室について、労働者1人当たりの気積を10立方メートル以上としなければなりません。
基準となるのは「容積」ではなく「気積」です。試験ではこの用語の違いがよく問われます。気積は、室の空間のうち空気環境として実質的に意味のある部分を意識した概念です。
算定に当たっては、設備の占める容積を除きます。つまり、機械や設備で埋まっている部分まで人のための空間として数えません。
さらに、床面から4メートルをこえる高さにある空間は除きます。天井が高い室でも、その全てを有効空間として算入できるわけではありません。
数字の整理としては、「気積」「4メートル」「10立方メートル」の3点セットで覚えると得点しやすいです。
似たテーマでは、換気、温度、湿度、気流などの事務所衛生基準もあわせて問われやすいため、空間量の基準だけでなく、室内環境全体の法令基準をセットで整理しておくと対応力が上がります。
ひっかけポイント
もっとも多い罠は、「容積」と「気積」を同じように見てしまうことです。日常会話ではどちらも部屋の大きさのように感じますが、法令では用語が厳密に使い分けられています。
次に狙われやすいのが、高さの基準の微妙なズレです。3メートル、4メートル、5メートルのように近い数字を並べると、受験者はうろ覚えのまま選びやすくなります。数字問題では、「だいたいこれくらい」で解かないことが大切です。
また、「一部だけ正しい」選択肢にも注意が必要です。用語は合っているが数値が違う、数値は合っているが用語が違う、という形で作られていると、正しそうに見えてしまいます。
さらに、「厳しい基準のほうが正しそう」という思い込みも危険です。12立方メートルや5メートルのように大きい数字を見ると、より安全で妥当に感じるかもしれませんが、試験では法令の正確な文言が問われます。
今後も同じパターンとして、法令問題では「用語の厳密さ」と「数字の正確さ」が同時に問われると意識しておくと、誤答を減らせます。
