【ビル管過去問】令和6年度 問題7|空気環境測定の方法と測定位置(建築物環境衛生管理基準)を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験|令和6年度(2024年)建築物衛生行政概論第7問

問題

建築物環境衛生管理基準に基づく空気環境の測定に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1) 測定位置は、居室の中央部の床上50cm以上175cm以下である。

(2) 気流の測定には、0.5m毎秒以上の気流を測定することができる風速計を使用する。

(3) 階数が多い場合は、各階ごとに測定しなくても良い。

(4) ホルムアルデヒドの測定は、毎年、6月1日から9月30日までの期間内に実施する。

(5) 二酸化炭素の含有率は、1日の使用時間中の平均値とする。

ビル管過去問|空気環境測定の方法と測定位置(建築物環境衛生管理基準)を解説

この問題は、建築物環境衛生管理基準における空気環境測定の基本ルールを問う問題です。測定位置、測定機器、測定頻度、測定時期、評価のしかたなど、細かい数字や表現の違いが狙われやすい分野です。正しい選択肢は、(5)二酸化炭素の含有率を1日の使用時間中の平均値で評価するという内容です。空気環境測定は、単に測ればよいのではなく、どこで、いつ、どのように評価するかまで決められているため、基準文の細部まで正確に押さえることが大切です。

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(1) 測定位置は、居室の中央部の床上50cm以上175cm以下である。

不適切です。理由は、測定位置の高さの下限が誤っているためです。建築物環境衛生管理基準では、空気環境の測定位置は、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下とされています。これは、人が通常呼吸している高さに近い範囲で室内空気の状態を把握するためです。50cmや175cmという数値は、床面近くや頭上に近い位置を含んでしまい、人が実際に吸い込む空気を代表する測定条件としては適切ではありません。試験では、このようにもっともらしい数値に置き換えて誤答を誘うことがよくありますので、75cm以上150cm以下という基準値はそのまま覚えておくことが重要です。

(2) 気流の測定には、0.5m毎秒以上の気流を測定することができる風速計を使用する。

不適切です。理由は、使用する風速計の性能要件の数値が違うためです。気流の測定には、通常、0.2m毎秒以上の気流を測定できる風速計を用います。室内環境で問題になる気流は、屋外の強い風ではなく、空調や換気に伴う比較的弱い空気の流れです。そのため、0.5m毎秒以上しか測れない機器では、居室内の微妙な気流を十分に把握できないおそれがあります。室内環境管理では、弱い気流をきちんと捉えることが大切なので、測定機器にもそれに見合った感度が求められます。

(3) 階数が多い場合は、各階ごとに測定しなくても良い。

不適切です。理由は、測定場所の考え方に反しているためです。空気環境の状態は、建物全体で一様とは限りません。階ごとに用途、人員密度、日射条件、空調の効き方、外気の影響などが異なるため、同じ建物でも階によって空気環境が変わることがあります。そのため、原則として各階ごとに測定する必要があります。とくに高層建築物では、上層階と下層階で温熱環境や換気状態に差が出やすく、代表点を一か所だけ測って全体を判断するのは危険です。この選択肢は、管理を簡略化したくなる感覚に合わせたひっかけですが、実務では各階の実態を把握するという発想が基本です。

(4) ホルムアルデヒドの測定は、毎年、6月1日から9月30日までの期間内に実施する。

不適切です。理由は、測定時期が誤っているためです。ホルムアルデヒドの測定は、毎年ではなく、新築、大規模の修繕、大規模の模様替えを行った場合などに、その使用を開始した日以後最初に到来する6月1日から9月30日までの間に実施することとされています。つまり、通常の空気環境測定のように毎回定期的に行うものではありません。ホルムアルデヒドは、建材や接着剤などから発散しやすく、とくに気温が高い時期に濃度が上がりやすいため、夏期に測定する仕組みになっています。この選択肢は、夏期に測るという部分だけはもっともらしいのですが、「毎年」という部分が誤りです。一部だけ正しい文章に見せる典型的な出題です。

(5) 二酸化炭素の含有率は、1日の使用時間中の平均値とする。

適切です。理由は、二酸化炭素の評価方法を正しく述べているためです。二酸化炭素は、居室の換気状態をみる代表的な指標であり、室内にいる人の呼気によって増加します。人の出入りや使用状況によって濃度は時間的に変動するため、一時点だけの値で判断すると、たまたま人が少ない時間や換気が一時的によかった時間の影響を受けてしまいます。そこで、建築物環境衛生管理基準では、1日の使用時間中の平均値で評価する考え方が採られています。これは、実際の居室利用の実態をより適切に反映するためです。空気環境管理では、瞬間値ではなく、使用時間全体を通した状態で判断する項目があることを押さえておくと、他の問題にも対応しやすくなります。

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この問題で覚えるポイント

空気環境の測定位置は、居室の中央部の床上75cm以上150cm以下です。人の呼吸域を意識した高さであることが重要です。 気流測定には、弱い風まで測れる風速計を用います。室内気流の測定では、0.2m毎秒以上を測定できる性能が必要です。 空気環境測定は、建物全体を一括でみるのではなく、原則として各階ごとに測定します。階によって空調条件や利用状況が異なるためです。 ホルムアルデヒド測定は、毎年の定期測定ではありません。新築や大規模修繕などの後、最初に到来する6月1日から9月30日までに実施する点が重要です。 二酸化炭素の含有率は、1日の使用時間中の平均値で評価します。換気の良否をみる指標であり、瞬間値だけではなく、使用実態に沿った評価が求められます。 試験では、測定位置の高さ、測定機器の性能、測定時期、評価方法などの細かい基準がよく問われます。数値は丸暗記ではなく、なぜその数値なのかを理解すると定着しやすくなります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、基準の文章を少しだけ変えて、受験者の「あいまいな記憶」に乗ってくるところにあります。とくに多いのは、75cm以上150cm以下を50cm以上175cm以下のように数値だけずらすパターン、0.2m毎秒以上を0.5m毎秒以上のようにもっともらしく変えるパターンです。また、ホルムアルデヒドのように「夏に測る」という一部だけ正しい知識があると、「毎年」と書かれていても見逃しやすくなります。さらに、各階ごとに測定するという原則も、日常感覚では「代表で測ればよいのでは」と思いやすいため、実務基準とのズレで間違えやすいところです。今後も、数値の微妙なズレ、一部だけ正しい文章、日常感覚に寄せた表現には注意して、基準文を正確に押さえることが大切です。

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