出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|ねずみ、昆虫等の防除第177問
問題
殺鼠剤に関する次の記述のうち、最も適当なものはどれか。
(1) ネズミ防除の現場では、殺鼠剤と粘着トラップは同時に使用できない。
(2) 同じ殺鼠剤ばかりを継続して使用すると、ネズミ集団の中で抵抗性が発達してくる。
(3) 殺鼠剤を食べて死んだネズミから、ハエなどが発生することはない。
(4) 殺鼠剤を摂取しネズミが弱ってくると、体表に寄生するイエダニなども死亡し始める。
(5) ネズミが摂取しやすいように、屋根裏などに広く殺鼠剤を散布する。
ビル管過去問|殺鼠剤を解説
この問題は、ネズミ防除における殺鼠剤の使い方、抵抗性、死鼠処理、寄生ダニへの対応、安全管理について問う問題です。正しい選択肢は(2)です。殺鼠剤は有効な防除手段ですが、同じ薬剤を長期間使い続けると、薬剤に強い個体が生き残り、集団として抵抗性が発達することがあります。

(1) ネズミ防除の現場では、殺鼠剤と粘着トラップは同時に使用できない。
不適切です。殺鼠剤と粘着トラップは、状況に応じて併用されることがあります。ネズミ防除では、薬剤だけに頼るのではなく、侵入口の封鎖、餌となる食品や廃棄物の管理、粘着トラップによる捕獲などを組み合わせて行うことが重要です。したがって、同時に使用できないとする記述は誤りです。
(2) 同じ殺鼠剤ばかりを継続して使用すると、ネズミ集団の中で抵抗性が発達してくる。
適切です。同じ殺鼠剤を継続して使用すると、その薬剤に弱い個体は減りますが、薬剤に耐性を持つ個体が生き残り、繁殖する可能性があります。その結果、集団全体として薬剤が効きにくくなる抵抗性が発達します。防除では、薬剤の種類や使用方法を適切に管理し、環境的対策や物理的防除も組み合わせることが大切です。
(3) 殺鼠剤を食べて死んだネズミから、ハエなどが発生することはない。
不適切です。殺鼠剤を食べて死亡したネズミの死体を放置すると、腐敗して悪臭の原因になったり、ハエなどの発生源になったりすることがあります。特に建築物内では、衛生上の問題や利用者への不快感につながるため、死鼠は速やかに回収して適切に処理する必要があります。
(4) 殺鼠剤を摂取しネズミが弱ってくると、体表に寄生するイエダニなども死亡し始める。
不適切です。ネズミが弱ったり死亡したりすると、体表に寄生していたイエダニなどが新たな吸血源を求めて移動することがあります。その結果、人が刺される被害が発生することがあります。殺鼠剤を使用する場合は、ネズミの駆除だけでなく、死鼠の回収やダニ対策もあわせて考える必要があります。
(5) ネズミが摂取しやすいように、屋根裏などに広く殺鼠剤を散布する。
不適切です。殺鼠剤はむやみに広く散布するものではありません。誤食、二次被害、薬剤の管理不良を防ぐため、ネズミの通路や活動場所を確認したうえで、必要な場所に適切な方法で設置します。特に屋根裏などに広く散布すると、薬剤の回収が難しくなり、安全管理上も問題があります。
この問題で覚えるポイント
殺鼠剤は、ネズミ防除の有効な手段ですが、単独で万能ではありません。基本は、餌や水を与えない環境管理、侵入口の閉鎖、粘着トラップなどの物理的防除、殺鼠剤による化学的防除を組み合わせる総合的な防除です。
同じ殺鼠剤を長期間使い続けると、薬剤に強い個体が生き残り、抵抗性が発達することがあります。薬剤の効きが悪くなった場合は、単に量を増やすのではなく、薬剤の種類、設置場所、環境条件、餌の競合などを見直す必要があります。
殺鼠剤を使用した後は、死鼠の処理が重要です。死鼠を放置すると、腐敗臭、ハエの発生、衛生害虫の発生源になります。また、ネズミに寄生していたイエダニが人に移動して刺咬被害を起こすこともあります。
殺鼠剤は、ネズミが通る場所や摂食しやすい場所に、管理できる形で設置することが原則です。屋根裏や隙間に広くばらまくような使い方は、回収困難や誤食リスクにつながるため不適切です。
ひっかけポイント
この問題では、「殺鼠剤を使えばネズミも寄生虫もまとめて処理できる」という日常感覚が誤答につながります。実際には、ネズミが死亡するとイエダニが離れて人を刺すことがあり、死鼠の回収や周辺の衛生管理まで含めて考える必要があります。
また、「薬剤は多く広くまけば効果が高い」という発想にも注意が必要です。建築物衛生管理では、薬剤の効果だけでなく、安全性、回収のしやすさ、誤食防止、環境汚染防止も重要です。殺鼠剤は広く散布するのではなく、管理できる場所に適切に配置するものとして覚えてください。
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