出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|ねずみ、昆虫等の防除第174問
問題
殺虫剤·忌避剤の種類と衛生害虫への効力の組合せとして、最も不適当なものは次のうちどれか。
(1) 有機リン剤-ノックダウンした害虫は蘇生しにくい。
(2) ピレスロイド剤-直撃した時の速効性が高い。
(3) 昆虫成長制御剤(IGR剤)-幼虫にも成虫にも効力を発揮する。
(4) プロフラニリド-殺虫剤抵抗性トコジラミにも有効である。
(5) ディート-処理面への接触を忌避させることで、吸血を防ぐ。
ビル管過去問|殺虫剤と忌避剤を解説
この問題は、殺虫剤や忌避剤の種類と、それぞれが衛生害虫にどのような効力を示すかを問う問題です。正しい選択肢は(3)です。昆虫成長制御剤、いわゆるIGR剤は、昆虫の脱皮や羽化などの成長過程を阻害する薬剤であり、主に幼虫や卵などの発育段階に作用します。成虫に対して直接的な殺虫効果を発揮する薬剤ではないため、「幼虫にも成虫にも効力を発揮する」とする記述は不適切です。

(1) 有機リン剤-ノックダウンした害虫は蘇生しにくい。
適切です。有機リン剤は、昆虫の神経伝達に関わる酵素の働きを阻害することで、神経を異常に興奮させて殺虫効果を示します。ピレスロイド剤のように速やかにノックダウンさせる作用が中心ではありませんが、いったん中毒症状を起こした害虫は回復しにくい特徴があります。そのため、ノックダウン後に蘇生しにくいという組合せは適切です。
(2) ピレスロイド剤-直撃した時の速効性が高い。
適切です。ピレスロイド剤は、昆虫の神経系に作用し、素早く活動を停止させるノックダウン効果に優れています。ハエ、蚊、ゴキブリなどに薬剤が直接かかると、比較的短時間で動きが止まることが多いため、直撃時の速効性が高い薬剤として理解しておくとよいです。ただし、速効性が高いことと、すべての個体を確実に死滅させることは同じではない点にも注意が必要です。
(3) 昆虫成長制御剤(IGR剤)-幼虫にも成虫にも効力を発揮する。
不適切です。昆虫成長制御剤は、昆虫の成長や変態を妨げる薬剤です。たとえば、幼虫が正常に脱皮できなくなったり、蛹や成虫へうまく発育できなくなったりすることで、害虫の発生を抑えます。一方で、すでに成虫になっている個体に対して、一般的な殺虫剤のように速やかに殺す効果を期待する薬剤ではありません。したがって、幼虫にも成虫にも効力を発揮するとする記述は不適切です。
(4) プロフラニリド-殺虫剤抵抗性トコジラミにも有効である。
適切です。プロフラニリドは、トコジラミなどに用いられる殺虫成分で、従来の薬剤に抵抗性を示す害虫にも効果が期待されるものです。近年、トコジラミではピレスロイド剤などに対する抵抗性が問題となることがあり、薬剤の作用機序を踏まえた防除が重要になります。殺虫剤抵抗性トコジラミにも有効であるという組合せは適切です。
(5) ディート-処理面への接触を忌避させることで、吸血を防ぐ。
適切です。ディートは、蚊やブユ、ノミ、マダニなどの吸血性害虫に対して用いられる代表的な忌避剤です。殺虫剤のように害虫を殺すことを主目的とするのではなく、人の皮膚や衣類などに処理することで、害虫が近づいたり吸血したりするのを防ぎます。吸血を防ぐための薬剤である点を押さえておくことが大切です。
この問題で覚えるポイント
殺虫剤は、害虫を殺す薬剤であり、忌避剤は害虫を近づけにくくしたり、吸血を防いだりする薬剤です。両者は目的が異なるため、試験では「殺す薬剤」なのか「避けさせる薬剤」なのかを区別して判断することが重要です。有機リン剤は神経系に作用し、蘇生しにくい中毒作用を示します。ピレスロイド剤は速効性やノックダウン効果が特徴ですが、抵抗性の問題もあります。昆虫成長制御剤は、昆虫の脱皮、羽化、発育を妨げる薬剤であり、主に幼虫などの発育段階に作用します。成虫をすぐに殺す薬剤ではない点が重要です。プロフラニリドは、殺虫剤抵抗性を示すトコジラミへの有効性が問われやすい成分です。ディートは殺虫剤ではなく忌避剤であり、蚊やマダニなどの吸血を防ぐ目的で使用されます。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、薬剤名と効力の組合せを一見もっともらしく見せている点です。特に、昆虫成長制御剤という名前から「昆虫全般に効く」と考えてしまうと誤答しやすくなります。IGR剤は昆虫の成長を制御する薬剤であり、成虫を直接すばやく殺す薬剤ではありません。「幼虫にも成虫にも効く」という表現は、作用対象を広げすぎているため注意が必要です。また、ピレスロイド剤は速効性、有機リン剤は蘇生しにくさ、ディートは忌避作用というように、各薬剤の代表的な特徴をセットで覚えておくと、似た問題にも対応しやすくなります。
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