【ビル管過去問】令和7年度 問題156|建築物の消毒と衛生管理を解説

出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|清掃第156問

問題

建築物の衛生管理と消毒に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

(1) 清掃により、ほこり、汚れ、廃棄物、汚物等を除去することは、消毒の前処理として重要な作業である。

(2) 清掃における衛生管理の基本はゾーニング管理であり、使用する清掃用具を分けて作業する。

(3) ノロウイルスは、汚染された食品及び糞便や嘔吐物を介して感染する。

(4) ノロウイルス感染により嘔吐したと思われた場合、嘔吐物をぬぐいとり、その部分を含む広い範囲を消毒する。

(5) ノロウイルスに対する消毒効果が高い消毒薬として、第四級アンモニウム塩がある。

ビル管過去問|建築物の消毒と衛生管理を解説

この問題は、建築物の衛生管理における清掃、ゾーニング、感染症対策、特にノロウイルスへの対応について問う問題です。消毒は、汚れを残したまま行っても十分な効果が得られにくいため、清掃による前処理が重要です。また、ノロウイルス対策では、一般的な消毒薬が必ずしも有効とは限らず、次亜塩素酸ナトリウムなど有効な薬剤を選ぶ必要があります。正しい選択肢は(5)です。第四級アンモニウム塩は一般細菌などには用いられますが、ノロウイルスに対して高い消毒効果があるとはいえないため、不適切です。

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(1) 清掃により、ほこり、汚れ、廃棄物、汚物等を除去することは、消毒の前処理として重要な作業である。

適切です。消毒は、対象物の表面に消毒薬を作用させて病原体を減らす作業ですが、表面にほこり、汚れ、有機物、血液、糞便、嘔吐物などが残っていると、消毒薬の効果が弱くなることがあります。そのため、まず清掃によって目に見える汚れや汚物を取り除き、その後に必要な消毒を行うことが基本です。清掃は単なる美観の維持だけでなく、感染症予防の土台となる重要な作業です。

(2) 清掃における衛生管理の基本はゾーニング管理であり、使用する清掃用具を分けて作業する。

適切です。ゾーニング管理とは、清潔区域、準清潔区域、汚染区域など、場所の汚染度や用途に応じて区域を分けて管理する考え方です。例えば、トイレで使用したモップやクロスを、病室、廊下、洗面台などで共用すると、汚染を別の場所へ広げるおそれがあります。そのため、区域ごとに清掃用具を分け、汚れを持ち込まないように作業することが衛生管理上重要です。

(3) ノロウイルスは、汚染された食品及び糞便や嘔吐物を介して感染する。

適切です。ノロウイルスは、感染者の糞便や嘔吐物に多く含まれます。また、ウイルスに汚染された食品を食べることでも感染します。特に嘔吐物の処理が不十分だと、床や周囲の物品にウイルスが残り、手指や器具を介して感染が広がることがあります。ノロウイルスは少量でも感染しやすいため、建築物の衛生管理では重要な感染症対策の対象です。

(4) ノロウイルス感染により嘔吐したと思われた場合、嘔吐物をぬぐいとり、その部分を含む広い範囲を消毒する。

適切です。ノロウイルス感染が疑われる嘔吐物は、見えている部分だけでなく、飛散した周囲にもウイルスが広がっている可能性があります。そのため、嘔吐物を適切に除去したうえで、汚染された部分だけでなく周辺を含めて広めに消毒することが必要です。処理時には、手袋、マスク、エプロンなどを使用し、作業者自身が感染しないようにすることも大切です。

(5) ノロウイルスに対する消毒効果が高い消毒薬として、第四級アンモニウム塩がある。

不適切です。第四級アンモニウム塩は、一般細菌などに対して使用されることがありますが、ノロウイルスのようなエンベロープを持たないウイルスに対しては効果が十分でない場合があります。ノロウイルス対策では、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒や、加熱処理などが重要です。この選択肢は、消毒薬であれば何でもノロウイルスに有効であるかのように見せている点が誤りです。

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この問題で覚えるポイント

建築物の衛生管理では、清掃と消毒を同じものとして考えないことが重要です。清掃は、ほこり、汚れ、廃棄物、汚物などを取り除く作業であり、消毒の効果を高める前処理にもなります。一方、消毒は病原微生物を減少させ、感染リスクを下げる作業です。汚れが残ったまま消毒しても、消毒薬が十分に作用しないことがあるため、まず清掃、その後に必要な消毒という順序で理解してください。 ゾーニング管理では、汚染度の異なる区域を分けて管理します。清潔な場所と汚染されやすい場所で同じ清掃用具を使い回すと、汚染を広げる原因になります。トイレ、汚物処理区域、一般区域などでは、モップ、クロス、バケツなどを区分して使用することが基本です。 ノロウイルスは、汚染食品、糞便、嘔吐物などを介して感染します。嘔吐物は見えている部分だけでなく、周囲に飛散している可能性があるため、広い範囲を処理する必要があります。特に少量でも感染しやすい点が重要です。 ノロウイルスに有効な消毒方法としては、次亜塩素酸ナトリウムや加熱処理を押さえておくとよいです。アルコールや第四級アンモニウム塩は、すべての病原体に万能ではありません。消毒薬は対象となる病原体に応じて選ぶ必要があります。

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ひっかけポイント

この問題のひっかけは、「消毒薬」という言葉だけで有効だと判断してしまう点にあります。第四級アンモニウム塩は消毒薬として知られているため、知識があいまいだと正しいように見えます。しかし、ノロウイルスに対して高い効果がある薬剤として覚えるべきなのは、次亜塩素酸ナトリウムです。 また、清掃と消毒を混同することもよくある罠です。清掃は汚れを取り除く作業、消毒は病原体を減らす作業です。ただし、清掃は消毒の効果を高める前処理として重要なので、両者は別物でありながら密接に関係しています。 ノロウイルスの嘔吐物処理では、見えている汚れだけを処理すればよいと考えると誤りにつながります。実際には、飛散したウイルスが周囲に広がっている可能性があるため、広い範囲を処理する必要があります。このように、日常感覚では「汚れた部分だけ」で十分に見えても、衛生管理では「見えない汚染」まで想定することが大切です。

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