出典:建築物衛生管理技術者試験令和7年度(2025年)|清掃第141問
問題
建築物衛生法における清掃の目的に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
(1) 人体に害を与えるような汚染物質を人間の活動空間から排除し、衛生的な環境を確保することである、
(2) きれいさや快適さを維持することである。
(3) 物の機能を回復させたり、長持ちさせたりすることである。
(4) 汚染物質を適切に除去することで、事故や設備の不具合を未然に防止し、安全を確保することである。
(5) 建築物の用途によらず、清掃目的の重点の置き方は同じである。
ビル管過去問|建築物衛生法と清掃目的を解説
建築物衛生法における清掃は、単に見た目をきれいにする作業ではなく、衛生環境の確保、快適性の維持、建築物や設備の保全、安全性の確保など、複数の目的をもって行われます。正しい選択肢は(5)です。建築物の用途や利用者の特性によって、清掃で重視すべき点は異なるため、「用途によらず同じ」とする記述は不適切です。

(1) 人体に害を与えるような汚染物質を人間の活動空間から排除し、衛生的な環境を確保することである、
適切です。清掃の重要な目的の一つは、ほこり、汚れ、微生物、アレルゲン、廃棄物など、人の健康に悪影響を及ぼす可能性のある汚染物質を除去することです。特に建築物衛生法の対象となるような多数の人が利用する建築物では、衛生的な環境を保つことが重要です。清掃は、感染症の予防や室内環境の悪化防止にもつながるため、単なる美観維持ではなく、健康を守るための管理行為といえます。
(2) きれいさや快適さを維持することである。
適切です。清掃には、美観を保ち、利用者が快適に過ごせる環境を維持する目的があります。床や壁、トイレ、共用部などが清潔に保たれていると、建築物を利用する人の心理的な快適性も高まります。ビル管試験では、清掃を「見た目だけの作業」と狭く考えないことが大切ですが、きれいさや快適さの維持も清掃目的の一つとして正しく押さえておく必要があります。
(3) 物の機能を回復させたり、長持ちさせたりすることである。
適切です。清掃は、建材や設備の機能を維持し、劣化を防ぐ役割もあります。例えば、床面に汚れや砂ぼこりが残ったままだと、歩行によって床材が摩耗しやすくなります。また、換気口や排水設備の汚れを放置すると、本来の機能が低下することがあります。つまり清掃は、建築物や設備を長く良好な状態で使うための保全活動でもあります。
(4) 汚染物質を適切に除去することで、事故や設備の不具合を未然に防止し、安全を確保することである。
適切です。清掃には、安全を確保する目的もあります。例えば、床に水や油分が残っていると転倒事故の原因になります。また、ほこりやごみが機械設備や排水設備に蓄積すると、不具合や詰まりの原因になることがあります。汚染物質を適切に除去することは、利用者の安全確保だけでなく、設備トラブルの予防にもつながります。
(5) 建築物の用途によらず、清掃目的の重点の置き方は同じである。
不適切です。建築物の用途によって、清掃目的の重点は異なります。例えば、病院では感染防止や衛生管理が特に重視され、食品を扱う施設では異物混入や衛生害虫の発生防止が重要になります。一方、事務所ビルでは快適性や美観の維持、商業施設では利用者に与える印象や安全性も重視されます。このように、清掃の基本目的は共通していても、どの目的を特に重視するかは建築物の用途や利用状況によって変わります。そのため、「用途によらず同じ」とする記述は誤りです。
この問題で覚えるポイント
建築物における清掃の目的は、衛生性、快適性、美観、保全性、安全性の確保に整理できます。清掃は、単に汚れを取って見た目をよくするだけではなく、人の健康を守り、建築物や設備の機能を維持し、事故や不具合を防ぐために行われます。試験では、清掃の目的を一つに限定する表現や、建築物の用途による違いを無視する表現が誤りとして問われやすいです。病院、学校、事務所、商業施設、食品関連施設などでは、求められる清掃水準や重点が異なります。基本目的は共通していても、重点の置き方は用途や利用者の特性によって変わると覚えておくことが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、「清掃目的」という広い概念を、すべての建築物で一律に考えさせようとしている点です。清掃には共通する基本目的があるため、「どの建物でも清掃の目的は同じ」と考えてしまうと誤答しやすくなります。しかし実務上は、病院では感染対策、食品施設では衛生害虫や異物混入対策、商業施設では美観や利用者の安全など、用途によって重視する内容が変わります。「基本目的は共通するが、重点は用途によって異なる」という考え方を持つと、この種の問題に対応しやすくなります。