出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|労働衛生第14問
問題
厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に基づく措置に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1) ノート型機器を使用する場合には、外付けキーボードを接続して入力作業を行っている。
(2) ディスプレイとの視距離は、おおむね50cmとし、ディスプレイ画面の上端を眼の高さよりもやや下にしている。
(3) グレアの防止、騒音の低減等の措置状況及び椅子、机等の調整状況について定期に点検している。
(4) 1日の情報機器作業の作業時間が4時間未満である労働者については、自覚症状を訴える者についてのみ、情報機器作業に係る定期健康診断の対象としている。
(5) 情報機器作業に係る定期健康診断の視力検査において、近見視力の片眼視力が両眼とも0.5以上である者については、遠見視力の検査を省略している。
第二種衛生管理者|情報機器作業ガイドライン|VDT作業環境と健康管理基準を解説
情報機器作業では、眼精疲労、首・肩・腰の負担、精神的疲労などを防ぐため、作業環境管理、作業管理、健康管理を総合的に行うことが大切です。答えは(5)です。近見視力の検査結果がよいからといって、遠見視力の検査を省略できるわけではありません。近見視力と遠見視力は確認する内容が異なるため、情報機器作業に係る健康診断ではそれぞれの意味を分けて理解する必要があります。

(1) ノート型機器を使用する場合には、外付けキーボードを接続して入力作業を行っている。
適切です。ノート型機器は、画面とキーボードが一体になっているため、画面を見やすい高さに合わせるとキーボードが使いにくくなり、キーボードを打ちやすい位置に合わせると画面が低くなりやすいという特徴があります。その結果、首を前に倒した姿勢や、肩に力が入った姿勢になりやすくなります。外付けキーボードやマウスを使用すると、画面の位置と入力機器の位置を分けて調整できるため、身体への負担を減らしやすくなります。
(2) ディスプレイとの視距離は、おおむね50cmとし、ディスプレイ画面の上端を眼の高さよりもやや下にしている。
適切です。ディスプレイとの距離は、おおむね40cm以上を確保し、見やすい距離に調整することが望まれます。おおむね50cmという距離は、画面を近づけすぎず、眼の負担を軽減するうえで適切な範囲です。また、画面の上端を眼の高さよりやや下にすると、自然に少し下を見る姿勢になり、首や肩への負担を抑えやすくなります。画面が高すぎると、眼を大きく開いたり首を反らしたりしやすく、疲労につながります。
(3) グレアの防止、騒音の低減等の措置状況及び椅子、机等の調整状況について定期に点検している。
適切です。情報機器作業では、画面への映り込みやまぶしさであるグレア、周囲の騒音、机や椅子の高さの不適合などが、眼や身体の疲労を増やす原因になります。作業環境は一度整えれば終わりではなく、配置替え、機器の変更、作業者の交代などによって適切でなくなることがあります。そのため、照明、採光、騒音、机、椅子、ディスプレイの位置などを定期的に点検し、必要に応じて改善することが求められます。
(4) 1日の情報機器作業の作業時間が4時間未満である労働者については、自覚症状を訴える者についてのみ、情報機器作業に係る定期健康診断の対象としている。
適切です。情報機器作業に係る健康管理では、作業時間や作業内容に応じて健康診断の対象を判断します。1日の情報機器作業時間が長い労働者は、眼や筋骨格系への負担が大きくなりやすいため、健康診断の対象となります。一方、作業時間が4時間未満の場合は、すべての労働者を一律に対象とするのではなく、眼の疲れ、肩こり、腰痛、手指のしびれなどの自覚症状を訴える者を対象とする扱いがポイントです。
(5) 情報機器作業に係る定期健康診断の視力検査において、近見視力の片眼視力が両眼とも0.5以上である者については、遠見視力の検査を省略している。
不適切です。近見視力は、画面や手元の資料を見るような近い距離での見え方を確認する検査です。遠見視力は、遠くを見る能力を確認する検査であり、近見視力とは確認している機能が異なります。近くがよく見えるからといって、遠くも十分に見えているとは限りません。そのため、近見視力が両眼とも一定以上であることを理由に、遠見視力の検査を省略することは適切ではありません。ここでは「近見視力がよければ遠見視力も省略できる」と誤って判断しないことが重要です。
この問題で覚えるポイント
情報機器作業では、作業環境管理、作業管理、健康管理の3つを関連づけて覚えることが大切です。作業環境管理では、照明、グレア、騒音、机、椅子、ディスプレイ配置などを適切に保ちます。作業管理では、作業姿勢、視距離、作業時間、休止時間、入力機器の使いやすさなどを調整します。ノート型機器は画面とキーボードが一体のため姿勢が崩れやすく、外付けキーボードやマウスの使用が負担軽減に有効です。ディスプレイとの視距離はおおむね40cm以上を確保し、50cm程度は適切な距離と考えられます。画面の上端は眼の高さよりやや下にするのが基本です。健康管理では、情報機器作業による眼の疲労、肩こり、腰痛、手指の症状などを把握します。作業時間が長い者は健康診断の対象になりやすく、作業時間が4時間未満の場合は自覚症状の有無が判断のポイントになります。視力検査では、近見視力と遠見視力は別の検査であり、近見視力が良好であることを理由に遠見視力を省略できるとは考えないことが重要です。
ひっかけポイント
この問題のひっかけは、情報機器作業では近くの画面を見ることが中心だから、近見視力さえ確認すればよいと考えさせる点にあります。日常感覚では、パソコン作業は近くを見る作業なので、遠見視力は関係が薄いように感じるかもしれません。しかし、健康診断の検査項目は、それぞれ確認する目的が異なります。近見視力と遠見視力は似た言葉ですが、同じものではありません。また、作業時間4時間未満、自覚症状、視距離50cm、画面上端の高さなど、数字や条件が複数出てくるため、知識があいまいだと正しい選択肢まで疑ってしまいやすい問題です。情報機器作業の問題では、「作業姿勢として自然か」「眼や筋骨格系の負担を減らす内容か」「健康診断の省略が認められる根拠があるか」を分けて判断すると、同じテーマの問題にも対応しやすくなります。
