【第二種衛生管理者過去問】2025年4月公表問題|問15|労働衛生統計の基礎知識|平均値・分散・有所見率・発生率|労働衛生を解説

出典:第二種衛生管理者2025年(令和7年度)4月公表問題|労働衛生第15問

問題

労働衛生管理に用いられる統計に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1) 病休度数率は、在籍労働者の延べ実労働時間数100万時間当たりの疾病休業件数で示される。

(2) 集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

(3) ばらつきをもって分布するデータの代表値として、平均値、中央値などがあるが、どの代表値を選択するかは、データの内容と分布による。

(4) 二つの事象の間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められても、それらの間に因果関係がないこともある。

(5) 健康管理統計において、ある時点での検査における有所見者の割合を有所見率といい、これは発生率と同じ意味で用いられる。

第二種衛生管理者|労働衛生統計の基礎知識を解説

労働衛生統計では、平均値や中央値などの代表値、分散によるばらつき、有所見率や発生率などの意味を正しく区別することが大切です。答えは(5)です。有所見率は、ある時点の健康診断などで異常所見があった人の割合を示す静態的な指標であり、新たに発生した疾病などの頻度を示す発生率とは意味が異なります。

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(1) 病休度数率は、在籍労働者の延べ実労働時間数100万時間当たりの疾病休業件数で示される。

適切です。病休度数率は、疾病による休業がどの程度の頻度で発生しているかを示す指標です。一般に、延べ実労働時間数100万時間当たりの疾病休業件数で表します。労働災害統計の度数率と同じように、単なる件数ではなく、労働時間を基準にして比較できる点が重要です。労働者数や労働時間が異なる事業場同士でも、一定の基準にそろえて疾病休業の発生状況を比較できます。

(2) 集団を比較する場合、調査の対象とした項目のデータの平均値が等しくても分散が異なっていれば、異なった特徴をもつ集団であると評価される。

適切です。平均値はデータの中心的な位置を示す代表値ですが、集団全体のばらつきまでは表しません。平均値が同じでも、全員が平均値付近に集まっている集団と、極端に高い値や低い値が多い集団では、性質が異なります。分散はデータが平均値からどの程度ばらついているかを示す指標であり、集団の特徴を評価するうえで重要です。

(3) ばらつきをもって分布するデータの代表値として、平均値、中央値などがあるが、どの代表値を選択するかは、データの内容と分布による。

適切です。代表値には平均値、中央値、最頻値などがあります。平均値は全データを足して個数で割るため全体の傾向を把握しやすいですが、極端に大きい値や小さい値の影響を受けやすい特徴があります。中央値はデータを小さい順に並べたときの中央の値であり、極端な値の影響を受けにくい代表値です。データの分布が偏っている場合は、平均値だけで判断すると実態を誤解することがあります。

(4) 二つの事象の間に、統計上、一方が多いと他方も多いというような相関関係が認められても、それらの間に因果関係がないこともある。

適切です。相関関係とは、二つの事象が一緒に増えたり、一方が増えると他方が減ったりするような統計上の関係をいいます。ただし、相関があるからといって、一方が他方の原因であるとは限りません。第三の要因が関係している場合や、偶然同じような動きをしている場合もあります。労働衛生統計では、数字の関係だけで原因を断定しないことが大切です。

(5) 健康管理統計において、ある時点での検査における有所見者の割合を有所見率といい、これは発生率と同じ意味で用いられる。

不適切です。有所見率は、ある時点で健康診断などを行ったとき、検査結果に異常所見があった人の割合を示します。これは、ある時点の状態を切り取って見る静態的な指標です。一方、発生率は、一定期間内に新たに疾病や異常などが発生した割合を示す動態的な指標です。つまり、有所見率は「今どれくらい所見があるか」、発生率は「一定期間に新しくどれくらい発生したか」を見るものであり、同じ意味ではありません。

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この問題で覚えるポイント

労働衛生統計では、代表値、ばらつき、割合、頻度の意味を区別することが正誤判断に直結します。平均値はデータ全体の中心を示しますが、極端な値の影響を受けやすいため、分布が偏っている場合は中央値の方が実態を表しやすいことがあります。分散は平均値からのばらつきの大きさを示す指標であり、平均値が同じ集団でも分散が異なれば集団の特徴は異なると判断できます。相関関係は二つの事象に統計上の関連があることを示しますが、因果関係を直接証明するものではありません。有所見率は、ある時点の検査で所見があった人の割合を示す静態的な指標です。発生率は、一定期間内に新しく発生した疾病や異常の割合を示す動態的な指標です。病休度数率は、延べ実労働時間数100万時間当たりの疾病休業件数で示され、事業場間の比較に用いられます。

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ひっかけポイント

この問題の大きなひっかけは、有所見率と発生率を同じような「割合」として混同させる点です。どちらも健康管理統計で使われるため似ていますが、有所見率はある時点の状態、発生率は一定期間内に新たに起きた事象を表します。「割合」という言葉だけで判断すると誤りやすくなります。また、平均値が同じなら同じ集団と考えてしまうのも典型的な罠です。統計では中心だけでなく、ばらつきも集団の特徴を表します。さらに、相関関係があると原因と結果の関係があるように見えますが、統計上の関連と因果関係は別物です。衛生管理者試験では、用語の意味を日常感覚で捉えず、何を分母にしているのか、どの時点や期間を見ているのかを確認することが重要です。

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